プレスリリース
2013
2013年1月23日
一般社団法人電力系統利用協議会
東京中部間連系設備の増強について
東京中部間連系設備の増強に係わる提言
電力系統利用協議会(ESCJ)は、東日本大震災に伴う需給逼迫に関し、当協議会ルールに基づく評価とともに、一般電気事業者9社の検討提起を受けて、安定供給確保の観点から、東京中部間連系設備(以下、FCという。)の増強等について検討した。その結果を、下記のとおり提言する。
記
- (1)FCの増強について
- 東日本大震災により多くの電源設備が被災し、その後、電気事業法に基づく電力使用制限が行われるなど、社会的に大きな影響があったことを踏まえると、稀頻度ながら影響の大きい大規模電源が広域的に停止するようなリスクが発生した場合の長期間にわたる需要側対策を回避するために、FCを90万kW増強(210万kWまで増強)することが必要である。
この際、FCの増強案は、大規模災害時の安定供給確保の観点や経済性等を考慮して、既設地点(新信濃FC)を増強し、長野方面で直流送電を活用して連系する案により、2020年度を目標に運用開始を目指すことを確認した。当該期間内に整備を実現するため、併せて、行政の取組による後押しが期待される。
なお、今回の提言は、当協議会が平成21年3月に安定供給確保の観点から提言した30万kW増強の内容も含めて総合的に検討した上で行うものである。 - (2)FCの利用について
- 増強後のFCについては、今回の増強が安定供給の確保という目的によるものであることに鑑み、大規模な災害発生に伴う需給逼迫時には、全てのFC容量を安定供給のために活用する必要がある。他方、平常時には可能な限り託送利用のために活用できるようにするなど、取引活性化や系統利用者の利便性向上につながる方策を検討していく必要がある。利用方法の詳細については、設備の運転開始までに具体化する。
- (3)費用負担について
- 本提言におけるFC増強は、50Hz地域及び60Hz地域全体の安定供給確保を目的としたものである。また、スポット取引に開放される容量が増加する等、取引活性化への貢献も期待できる。したがって、9エリア1それぞれに受益があると考えられることから、受益者負担の観点から、9エリアのネットワーク全利用者の「一般負担2」とすることが適当である。
- (4)更なるFCの増強について
- 90万kWの増強は、発災後1ヶ月程度の間、計画停電などの社会的に大きな影響を与え得る需要側対策で対応することを前提としている。他方、「地域間連系線等の強化に関するマスタープラン研究会」の中間報告書においては、政策的な観点からは必ずしも十分ではないとし、「できるだけ早期に300万kWまで増強することとする」と整理されていることに鑑み、増強案等について比較検討し、有力な案や検討に際しての留意事項等について整理を行った。
今後、政府において適切な検討の場を設け、当該比較検討の結果等を踏まえつつ、具体的な政策的支援のあり方や留意事項等を考慮しながら、政策的観点から可能な限り早期に更なる判断がなされることが望まれる。
以 上
- 1 北海道、東北、東京、中部、関西、北陸、中国、四国、九州の9つのエリアをいう。
- 2 特定の事業者の負担ではなく、すべての系統利用者が託送料金により負担するもの。