プレスリリース

2011年11月28日
関西電力株式会社

福島第一原子力発電所事故を踏まえたソフト面等の安全対策実行計画の策定について

(添付資料)

福島第一原子力発電所事故を踏まえたソフト面等の安全対策実行計画について(概要)

1.はじめに
 平成23年3月11日に発生した、東北地方太平洋沖地震に起因する東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故について、原子力発電所の安全確保に係るご要請を頂き、去る4月8日に安全性向上対策の実行計画について取り纏め、報告しております。その後、福井県当局、安全対策検証委員会等のご意見を踏まえた追加対策、ならびに6月7日に発出された国の指示文書(シビアアクシデントが発生した場合でも迅速に対応するための措置の実施)に対する取組みを追加し、現在、鋭意実施中です。
 今回、10月17日に福井県当局から改めてソフト面等の安全対策実施のご要請を頂いたことを踏まえ、これまでの取組みに加え、県民の皆さま方の安心獲得の観点において、以下のとおり具体的計画を取り纏めてまいりました。
2.ソフト面の対策について
(1)緊急時対応体制の強化
  • ○休日・夜間に、複数プラントにおいて過酷事故が発生した場合でも、初動対応を確実に行えるよう、同時対応を可能とするための体制強化、ならびに多様な運転初動操作のための運転員助勢要員確保【平成23年度実施予定】
  • ○要員召集強化策として、緊急時呼出システムの呼出連絡対象の拡大、サーバの複数拠点化、ならびに召集命令を直接伝えるための寮などへの衛星携帯電話の配備【平成23年度実施予定(サーバ複数拠点化は平成24年度実施予定)】
  • ○社長、原子力事業本部長、発電所長や副所長への新たな衛星携帯電話の配備、ならびに社長、原子力事業本部長、発電所長等の指揮者やその他要員の迅速かつ確実な召集のため、ヘリポートの拡充や海路の小型船舶の夜間航行装備の検討【平成23年度中に実施予定】
(2)発電所支援体制の強化
  • ○発電所が被災した場合においても、十分な支援が行えるよう、原子力事業本部の放射線管理の充実や通信機能の確保など災害対応の強化について検討、機能拡充【平成24年度中に実施予定】
  • ○プラントメーカ技術者の若狭地区への常時配置および緊急時における早期支援体制の確立、プラントメーカとの衛星通信を利用した確実な通信手段構築の検討【平成24年度実施完了目途】
(3)通信の強化
  • ○発電所内の通信設備の免震事務棟への移設、および必要に応じた、通信機能強化の検討【平成28年度中に実施予定】
  • ○衛星携帯電話の追加配備、ならびに社内LANが使用可能な衛星可搬局の設置【平成23年度中に実施予定(衛星可搬局の設置は平成24年度中に実施予定)】
(4)マニュアルの整備と訓練の実施
  • ○過酷事故のマニュアルについて、地震や津波などを想定し、事故収束に必要な機器の故障や復旧遅れ等、種々のケースを想定した場合においても対応可能かという視点で確認し、必要に応じマニュアルの見直しを実施【平成23年度中に確認予定】
  • ○整備したマニュアルに基づいた訓練を行うことによる対応の習熟化、およびマニュアル改善事項の抽出【継続的に実施】
  • ○全ユニット同時対応や福島事故を反映した防災訓練の充実【本年度は1〜3月に実施予定】
(5)資機材運搬手段の多様化
  • ○海路を使った関西方面等からの大型船舶による資機材運搬手段の充実、ならびに発電所の船舶接岸部の耐震・耐津波補強の実施【平成23年度中に検討予定】
  • ○要員移送のため、社宅、寮近隣ヘリポートからの輸送、ならびに小型船舶の夜間航行装備の検討【平成23年度中に検討予定】
(6)被ばく管理の強化
  • ○災害発生時の作業員の被ばく管理を確実に行うため、内部被ばく評価用測定器を追加配備【平成23年度中に実施予定】
  • ○測定器に操作や評価の方法を記したシートを添付し、内部被ばく評価を誰でも迅速かつ容易にできるよう検討【平成23年度中に実施予定】
3.ハード面の対策について
(1)防潮堤・防護壁等の設置
  • ○津波が直接到達する外海側に、平成14年評価値+9.5mの津波を想定し、美浜、高浜発電所においては、T.P.+11.5mの高さの防潮堤を設置(大飯発電所においては、放水ピット壁をT.P.+15mまでかさ上げ)【美浜、大飯発電所:平成25年度中、高浜発電所:平成27年度中に設置予定】
  • ○内海側には、津波の回り込みを考慮し、耐震バックチェック値(T.P.+2〜3m程度)に余裕を考慮したT.P.+6m高さの発電所周囲を囲むような防潮堤を設置(大飯発電所は既存防波堤をT.P.+8mにかさ上げ)。【美浜発電所:平成27年度中、高浜発電所:平成26年度中、大飯発電所:平成25年度中に設置予定】
  • ○多重防護の観点から重要設備の周囲には防護壁(T.P.+6m)を設置【平成25年度中に設置予定】
(2)免震事務棟の設置
  • ○事故対応時の現場対応体制の確保や作業員の安全性確保の観点から、免震構造で放射線遮へい性能を有する免震事務棟を各発電所に設置予定であるが、運用開始時期を約1年前倒し【平成28年度までに設置】
(3)送電線の改修など外部電源の信頼性向上・強化工事
  • ○盛土崩壊や地すべり、急傾斜地の土砂崩壊に関する評価結果に基づき、鉄塔の移設や、法面補強工事を実施【平成24年度完了予定】
  • ○送電線の強化や外部電源の信頼性向上、開閉所等の浸水・地震対策について、具体的計画の明確化
(4)その他
  • ○緊急炉心冷却系統における支持構造物の外観目視点検やボルトの緩み確認【再起動前に実施予定】
  • ○屋内外タンク基礎ボルトの外観目視点検やタンク基礎部の塗装の劣化・変形の確認【再起動前に実施予定】
4.今後の対応
 これまでの要請等に基づき実施している実行計画に加え、今回、新たに策定した実行計画を鋭意実施し、更なる安全性向上対策の充実、信頼性向上に取り組んでまいります。
 今後も、福島第一原子力発電所事故についての情報収集、分析を継続し、新たな知見獲得に努めるとともに、更なる安全性向上対策を迅速かつ的確に実施し、原子力発電所の安全性を向上させ、県民の皆さま方に安心していただけるよう、全社一丸となって努力してまいります。

以 上

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