プレスリリース
2011
2011年7月7日
関西電力株式会社
原子力発電所の外部電源の信頼性確保に係る開閉所等の地震影響評価結果報告書(中間報告)の提出について
添付資料
原子力発電所の外部電源の信頼性確保に係る開閉所等の地震影響評価結果(中間報告)について
- 1.概 要
- 東北地方太平洋沖地震により福島第一原子力発電所において観測された地震データは、一部は明らかにされているものの、福島第一原子力発電所1号機、2号機の遮断器等の損傷原因は解明されておらず、福島第一原子力発電所において観測された地震データだけでは、詳細な評価は難しい。
したがって、福島第一原子力発電所において観測された地震データを用いて評価することは難しいため、今回の評価においては、過去の全国の大規模地震データを考慮した開閉所等の電気設備の設計指針であるJEAG※15003(変電所等における電気設備の耐震設計指針)の評価方法に準拠し、開閉所は動的評価を行い、また変圧器は静的評価により影響評価を行った。
なお、原子力発電所の開閉所等の電気設備は、原子力発電所の耐震重要度分類においてCクラスであり、一般産業施設と同等の耐震性(静的地震力1.0Ci※2)を有することが要求されている。- ※1:日本電気協会電気技術指針
- ※2:建築基準法で定められた基準値の1.0倍
- 2.評価対象設備
- 開閉所等の電気設備は、送電線系統と発電所内の系統と接続している機器で、特高開閉所設備および、送電線と発電所内の電圧を変換する変圧器が対象。
<各設備の機能>
ブッシング:鉄塔や、遮断器のケーブルを一旦中継する。
断路器:線路構成を切り替える際に使用する。(事故時に遮断する機能なし)
遮断器:電源を入り切りする際に使用する。(事故時に遮断する機能あり)
変圧器:系統電圧を発電機や所内の電圧に変換する。
GIS:ガス絶縁開閉装置(Gas Insulated Switchgear)
- 3.評価結果
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- ○動的評価(JEAG5003の評価手法)
- 開閉所の機器については、構造的に揺れやすいということから、過去75年間の地震観測データ(東北地方太平洋沖地震を除く)のうち、機器が共振する周波数帯域(固有振動数)0.5〜10Hz(0.1秒〜2秒周期での揺れ)帯のデータにおいて、機器に与える力の動的評価を適用することとした。
具体的には、JEAGでは、加速度3m/s2の共振正弦2波(2回の振動)での応力が働いても耐えられる設計を要求しているが、共振正弦を3波(3回の振動)としJEAGの設計要求の1.3倍の応答倍率とした場合、過去75年間の地震をほぼ包絡できる。 - その結果、JEAGの設計要求を1とした場合、各機器が保有している裕度は1.3倍以上あることを確認した。
- ○静的評価(JEAG5003の評価手法)
- 構造的に揺れにくい変圧器(固有振動数が15Hz以上)については、福島第一での観測データのピーク周波数帯域(0.5〜10Hz)から外れていることから、静的評価を用いることとした。
具体的には、JEAGでは5m/s2で基礎ボルトがせん断しない設計を要求されており、裕度が1.0倍以上であることを確認した。 -
- 4.今後の対応
- 今回の評価では、JEAG5003、また過去の地震観測データを踏まえた解析を行い、各機器の裕度が満足していることを確認した。
今後、東京電力において、遮断器等の損傷についての詳細評価が予定されており、その評価結果に基づく新たな知見が得られた場合は、反映すべきものがないか判断し、最終報告を行う予定である。
以 上