プレスリリース

2011年3月4日
関西電力株式会社

高浜発電所および大飯発電所における高圧ガス保安法に基づく工事の手続き漏れの再発防止対策について

 当社は、他社の原子力発電所において、高圧ガス保安法※1に基づく工事の許可申請・届出を実施していないことが判明したため、当社の原子力発電所においても同様の事がないか調査した結果、一部の設備で、高圧ガス保安法第19条第1項(許可申請)※2、同条第2項(軽微な変更届出)※3に基づいた手続きを行っていないことを確認し、2月4日、福井県に報告しました。

この調査において、

  • ・高浜発電所3号機及び4号機の発電機付属設備で5件、
  • ・大飯発電所3号機及び4号機の発電機付属設備で9件、
  • ・高浜発電所3、4号機「アセチレン、アルゴンガス貯蔵庫※4」で1件、

 弁等の交換に際し、高圧ガス保安法に基づく工事の許可申請・届出を実施していないことを確認しました。

平成23年2月4日お知らせ済み]

 これら許可申請・届出漏れが確認された設備については、2月9日までに必要な手続きを終えました。また、2月10日に福井県より、高圧ガス保安法に基づく許可申請・届出漏れについて、厳重注意を受け、3月10日までに再発防止対策を報告するように指示を受けました。

平成23年2月10日お知らせ済み]

 この指示に基づき、原因について調査を行い、再発防止対策を取りまとめ、本日、福井県に報告しました。

1.調査結果

(1)手続き要否判断に関する調査結果
 関係者への聞き取り調査等の結果、以下のことが判明しました。
  • 1高浜発電所3号機、4号機及び大飯発電所3号機、4号機発電機付属設備
     作業担当課は、当該弁の取り替えの際、当該弁が、高圧ガス保安法の対象であることは知っていたが、同一仕様品への取り替えであることから、電気事業法での取り扱いと同様に、許可申請、軽微変更届出は不要と判断していました。
  • 2高浜発電所3、4号機「アセチレン、アルゴンガス貯蔵庫」
     作業担当課は、当該貯蔵庫の改造工事の際に、過去に配管、弁等を取り替えた1、2号機の貯蔵庫では、許可申請対象外であったため、同様に許可申請が不要と判断していました。
(2)社内標準での法令手続きに関する調査結果
 設備の補修や改造工事等を実施する場合は、社内標準に基づき「法令等適合性チェックシート」で、法令手続き要否の確認を行うことになっています。
 作業担当課は「法令等適合性チェックシート」を使用していましたが、「法令等適合性チェックシート」には、高圧ガス保安法の弁の取り替え時等の手続き要否判断の具体的な事項が記載されていませんでした。
(3)同種工事の調査結果
 過去の同種工事を調査した結果、同一仕様品への取り替えであっても、高圧ガ ス保安法に基づく所定の手続きが適切に行われた工事があることが確認され、その工事は経験が豊富かつ高圧ガスの取り扱いに専門知識を有する会社が工事に関与していることが分かりました。

2.推定原因

  • (1)当社社員の高圧ガス保安法における手続き要否に対する知識が不十分でした。
  • (2)「法令等適合性チェックシート」では、高圧ガス保安法に係る手続き要否等、手続きに関する具体的な事項が明示されていなかったため、十分な確認ができませんでした。

3.再発防止対策

  • (1)高圧ガスを管理、取り扱う者を対象に高圧ガス保安法の手続きに関する教育を充実します。
  • (2)工事等の計画段階における法令等適合性の判断に使用する「法令等適合性チェックシート」に、高圧ガス保安法の手続きに関する具体的な事項を明示します。また、系統図に色塗りを行い高圧ガス保安法の適用範囲を明確化するとともに、過去の変更工事に係る高圧ガス保安法の手続き実績を設備ごとに整備し、作業担当課が法令適合性判断に使用できるようにします。
     加えて、今回の事象を踏まえた「法令等適合性チェックシート」の充実内容及び活用方法について、各発電所の関係者に対して周知徹底を図ります。
  • (3)さらに、高圧ガスの取り扱いに専門知識を有する会社に教育の助勢をいただくとともに、工事の作業計画段階から関与いただくことで、高圧ガス保安法に基づく手続きに関する関係者の理解向上を図ります。また、高圧ガスの取り扱いに専門知識を有する会社に、手続き要否等の相談窓口を設けます。

以 上

  • ※1 高圧ガス保安法
     高圧ガスの製造施設、貯蔵施設を規制する法律であり、設備の規模に応じ施設の設置や変更の際に都道府県知事の事前の許可、又は軽微なものは事後の届出を義務付けるもの。その他、保安責任者の選任、保安教育などを規定している。原子力発電所における対象設備は、発電機内の水素ガスが漏洩した際の火災防止用としての窒素ガス貯蔵施設等がある。
  • ※2 高圧ガス保安法第19条第1項(許可申請)
     高圧ガス保安法で定める設備の工事を実施する場合(軽微な変更の工事を除く)は、都道府県知事の許可を事前に受けなければならない。
  • ※3 高圧ガス保安法第19条第2項(軽微な変更届出)
     高圧ガス保安法で定める設備について、軽微な変更の工事を実施した場合は、都道府県知事に事後で届け出なければならない。
  • ※4 アセチレン、アルゴンガス貯蔵庫
     2次系系統水の水質管理用の分析装置に必要なアルゴンガスとアセチレンガスを供給・貯蔵する設備。
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