プレスリリース

2011年1月31日
関西電力株式会社

当社水力発電所の設備更新について

 当社はこの度、今後10年間で黒部川第二発電所、市荒川(いちあらかわ)発電所および三尾(みお)発電所など、約20の水力発電所において、水車や発電機等を取り替える設備更新を計画的に実施することとしました。

 当社は昨年10月に策定した「関西電力グループ中長期計画」(以下、「中長期計画」)において、本格的な高経年化対策に力を入れていくこととしております。特に当社の水力設備は、運転開始から50年以上経過している発電所も多く、高経年化によって設備更新が必要となっていることから、今回、その一環として、設備更新を計画的に実施するものです。
 設備更新にあたっては、水力発電は、発電過程でCOを排出しない再生可能エネルギーであり、中長期計画で掲げた「電気の低炭素化の加速」を実現する上で、重要な役割を担っていることを踏まえて、「劣化診断技術の精度向上」と「新たな三次元流れ解析技術」を組み合わせて、既存の設備を最大限に活用しながら、より発電効率の良い設備に取り替え、発電電力量の増加を図ってまいります。

【今回の設備更新の特長】

1劣化診断技術の精度向上
 従来から発電所を構成する水車や発電機等の設備を更新する際には、設備の劣化度合いを診断し、適切な時期に更新してきましたが、今回、水圧で回転する水車ランナに至る水の導管であるケーシングについて、当社独自の診断評価手法の「き裂進展解析システム(Sim Crack)」を採用し、劣化診断技術の更なる精度向上を図りました。これにより、設備の安全性を十分に確保した上で、より適切な時期に設備更新を実施することが可能となり、既存の設備を最大限に活用してコスト低減を図っていきます。
2新たな三次元流れ解析技術の活用
 水車ランナやケーシングの設備を更新する際、これまでは模型を使って性能試験を行い、どのような形状が良いか検討しておりましたが、今回、模型を使わずに、水流や水圧を三次元でシミュレーションすることができる「CFD(Computational Fluid Dynamics:三次元流れ解析)」という新たな解析技術を活用します。本技術を用いて、発電所が立地する河川の状況に合わせ、水車ランナやケーシングを最適化することで、発電効率を向上させ、年間の発電電力量の増加につなげていきます。

 こうした新たな技術を活用して、今後10年間で、約20の発電所で設備更新を実施することにより、既存の設備を最大限に活用するとともに、年間約1億kWhの発電電力量の増加が期待できます。
 また、水力発電による電気の低炭素化に関する取組みとして、大桑野尻発電所や新黒薙第二発電所(仮称)といった中小水力発電所の新設や黒部川第二発電所や新黒部川第二発電所における放水設備の構造を改良する設備改修に取り組んでおり、平成24年の年末までに年間約1億kWhの発電電力量の増加を見込んでいます。
 今回の設備更新と合わせると、年間約2億kWh(一般家庭 約5.6万軒分)の増加となり、年間のCO排出量を約5.5万t(大阪市の面積の約4割にあたる 約8,500haの森林が1年間に吸収する量に相当)削減することが可能となります。

 当社は、引き続き、原子力発電所の安全・安定運転に取り組むとともに、純国産エネルギーである水力発電についても最大限に活用し、「低炭素社会のメインプレーヤー」として、電気の低炭素化を加速させてまいります。

以 上

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