プレスリリース
2010
2010年12月21日
関西電力株式会社
高浜発電所3号機の原子炉起動および調整運転の開始について
高浜発電所3号機 第20回定期検査の概要
- 1.主要工事等
-
(1)格納容器再循環サンプスクリーン取替工事 (図−1参照) 1次冷却材喪失事故時に、格納容器再循環サンプスクリーンが異物混入により機能低下することを防止する観点※1から、スクリーンをより表面積が大きいものに取り替えました。
- ※1 国外BWRプラントでの非常用炉心冷却系統ストレーナの閉塞事象を踏まえた原子力安全・保安院の指示を受け、格納容器再循環サンプスクリーンの有効性を評価した結果、設備上の対策が必要であると評価された。なお、設備上の対策を講じるまでは、閉塞事象発生時対応マニュアルの整備などの暫定対策を講じており、安全上の問題が生じることはない。
(2)1次系小口径曲げ配管他取替工事 (図−2参照) 国外BWRプラントにおいて、芯金を使用して曲げ加工した配管の内面で応力腐食割れが発生した事象を踏まえ、予防保全として、1次冷却材系統につながる曲げ配管のうち、芯金を使用して曲げ加工したものを、芯金を使用せずに曲げ加工した配管に取り替えました。
また、近傍の配管について、信頼性向上の観点から、溶接継手部を応力集中の小さい溶接形状(突合せ溶接)のものに取り替えました。(3)原子炉保護装置取替工事 (図−3参照) 原子炉保護装置※2の電子部品が製造中止になったことから、今後の保守性を考慮して、一部を最新設計のものに取り替えるとともに、1次冷却材系統の圧力・温度等を測定する検出器について、信頼性向上のため、現在3台のものを4台に変更し、原子炉停止信号や工学的安全施設※3作動信号の発信に用いられている信号を増やしました。
- ※2 1次冷却材系統の圧力・温度信号などからプラントの異常を検出して、原子炉トリップしゃ断器および工学的安全施設を動作させるための信号を送る装置。
- ※3 工学的安全施設とは、原子炉施設の破損、故障等に起因して原子炉内の燃料の破損等による多量の放射性物質の放散の可能性がある場合に、これらを抑制又は防止するための機能を備えている施設で、非常用炉心冷却設備や原子炉格納容器スプレイ設備などがある。
(4)1次冷却材ポンプ電源監視回路改造工事 (図−4参照) 1次冷却材ポンプ駆動用電源の電圧および周波数の低下を監視する装置の電源が喪失した状態で運転することを防止するため、監視装置の電源が喪失した場合には中央制御室に警報を発報するとともに、「電源電圧低」および「電源周波数低」の信号を発信する回路構成に変更しました。
- * 国内PWRで、1次冷却材ポンプ駆動用電源の監視装置の電源が喪失した状態で運転した事象を踏まえ、平成22年5月、原子力安全・保安院は事業者に対し監視装置の電源が喪失した場合に中央制御室に警報を発報する等の設備改善を行うよう指示した。
- 2.設備の保全対策
-
(1)2次系配管の点検等 (図−5参照) 当社の定めた「2次系配管肉厚の管理指針」に基づき、2次系配管526箇所について超音波検査(肉厚測定)を実施しました。その結果、必要最小厚さを下回る箇所、および次回定期検査までに必要最小厚さを下回る可能性があると評価された箇所はありませんでした。
また、過去の点検において減肉が確認された部位3箇所、今後の保守作業を考慮した部位113箇所、合計116箇所を耐食性に優れたステンレス鋼もしくは低合金鋼の配管に取り替えました。
- 3.蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査結果
-
3台ある蒸気発生器の伝熱管全数(既施栓管を除く9,786本)について、渦流探傷検査を実施し、異常がないことを確認しました。
- 4.燃料集合体の取り替え
-
燃料集合体全数157体のうち、77体について取り替えました。77体のうち8体はMOX燃料とし、この8体を含む64体は新燃料です。
燃料集合体の外観検査(8体)を実施した結果、異常は認められませんでした。
- 5.次回定期検査の予定
-
平成23年度 冬頃
以 上