プレスリリース

2010年11月26日
関西電力株式会社

架空送電線の計画的な設備更新のための新たな技術開発について

 当社は本年10月、「関西電力グループ中長期計画」を見直し、本格的な高経年化対策を行うため、今後の設備の大量更新に向けた準備と確実な実施に取り組んでいるところですが、この度、架空送電線の設備更新を計画的に行うための新技術を開発しました。

 鉄塔間の架空送電線については、巡視や点検により設備実態を把握し、必要に応じて、計画的な設備更新を行っておりますが、電線に塩分や水分が付着・浸透すると、内部のアルミ線が腐食することがあります。
 この内部腐食が進行すると、腐食生成物が発生し、電線が膨れて太くなるため、現在は、鉄塔上部および地上からの目視点検や、電線への宙乗りによる点検等により、腐食の進行状況を把握していますが、このような外観点検では、内部腐食の定量的な診断が難しく、内部で進行している腐食の状態まで検出できないことから、この度、 1環境条件による架空送電線の改修時期推定手法と、2X線による電線劣化検出システムを開発しました。具体的には、以下のとおりです。

1環境条件による架空送電線の改修時期推定手法の開発】(別紙1参照)
 当社はこれまでも、地域的な劣化状況を予測して、設備更新を行っていましたが、今回、海岸からの距離や風向、温湿度などから算出した架空送電線の周囲の環境条件(飛来する塩分量と湿度80%以上の状態が継続する時間)と、当該地点の撤去電線の状態との関係を分析することで、架空送電線の改修時期を推定する手法を開発しました。
 これにより、環境条件から定量的に架空送電線の劣化状況および改修時期を管内全域にわたり同じ基準で推定することができ、効率的な設備の維持・更新が可能となります。
 今後、当社管内全ての架空送電線の環境条件を算出するとともに、撤去電線のデータ収集・分析も進め、推定手法の精度を向上させながら、設備改修計画の立案に活用してまいります。
2X線による電線劣化検出システムの開発】(別紙2参照)
 架空送電線の腐食については、外観点検では初期のうちに発見することは困難であり、ある程度腐食が進行し、電線が太くなってから検出しております。
 当社は、株式会社ジェイ・パワーシステムズおよび九州電技開発株式会社と共同で、電線のX線撮影画像を用いて、腐食を検出する新技術を、世界で初めて開発しました。
 具体的には、電線にX線を照射した場合、腐食の進行具合によって、その透過量の分布が異なることから、測定した電線のX線透過量の分布を画像処理し、これまでに蓄積した画像と比較することで、腐食の程度を検出するものです。
 これにより、電線が太くなる前の初期段階での腐食検出が期待でき、より設備実態に基づいた計画的な設備更新が可能となります。
 今後、データの更なる蓄積による精度向上等を行いながら、実用化を検討してまいります。

 当社は引き続き、計画的な設備更新などの高経年化対策につながる技術開発を積極的に推進し、安全を最優先に電力の安全・安定供給に努めることで、「お客さまと社会のお役に立つ」という変わらぬ使命を果たしてまいります。

以 上

プレスリリース