プレスリリース
2010
2010年10月21日
関西電力株式会社
美浜発電所2号機の原子炉起動および調整運転の開始について
美浜発電所2号機 第26回定期検査の概要
- 1.主要工事等
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(1)耐震裕度向上工事 (図−1参照) 既設設備の耐震性を一層向上させるため、安全注入系統や余熱除去系統などの配管、中央制御室空調系統や格納容器循環系統のダクト、蒸気発生器や加圧器などの機器の支持構造物の強化等を行いました。
(2)高サイクル熱疲労割れに係る対策工事 (図−2参照) 国内外PWRプラントにおける高サイクル熱疲労割れ事象(温度ゆらぎによる熱疲労)を踏まえ、2系列ある充てん配管のうち、使用していない系列の充てん配管、隔離弁などを撤去しました。
(3)1次系小口径配管継手部取替工事 (図−3参照) 信頼性向上の観点から、安全注入系統の通水時に生じる母管の振動と共振する可能性のある小口径分岐配管の溶接継手部を、応力集中の小さい溶接形状(突合せ溶接)のものに取り替えました。
(4)格納容器再循環サンプスクリーン取替工事 (図−4参照) 1次冷却材喪失事故時に格納容器再循環サンプスクリーンが異物混入により機能低下することを防止する観点※1から、スクリーンをより表面積の大きいものに取り替えました。
- ※1 国外BWRプラントでの非常用炉心冷却系統ストレーナの閉塞事象を踏まえた原子力安全・保安院の指示を受け、格納容器再循環サンプスクリーンの有効性を評価した結果、設備上の対策が必要であると評価された。なお、設備上の対策を講じるまでは、閉塞事象発生時対応マニュアルの整備などの暫定対策を講じており、安全上の問題が生じることはない。
(5)亜鉛注入装置設置工事 (図−5参照) 作業員の被ばく低減の観点から、コバルト−60等の放射性物質が1次冷却材系統などの機器や配管内表面に付着することを抑制するため、1次冷却材中に亜鉛を注入する装置※2を化学体積制御系統に設置しました。
- ※2 1次冷却材中に放射化しにくい亜鉛を注入して、機器や配管内表面に皮膜を形成させることにより、コバルト−60等の放射性物質が機器・配管内表面へ付着することを抑制し、1次冷却材系配管等の線量を低減する。亜鉛注入は、国内プラントでの実績がある。
(6)1次冷却材ポンプ電源監視回路改造工事※3 (図−6参照) 1次冷却材ポンプ駆動用電源の電圧および周波数の低下を監視する装置の電源が喪失した状態で運転することを防止するため、監視装置の電源が喪失した場合には中央制御室に警報を発報するとともに、「電源電圧低」および「電源周波数低」の信号を発信する回路構成に変更しました。
- ※3 国内PWRで、1次冷却材ポンプ駆動用電源の監視装置の電源が喪失した状態で運転した事象を踏まえ、平成22年5月、原子力安全・保安院は事業者に対し、監視装置の電源が喪失した場合に中央制御室に警報を発報する等の設備改善を行うよう指示した。
(7)起動変圧器取替工事 (図−7参照) 起動変圧器の基礎脚部の一部に腐食が確認されたことから、予防保全対策として変圧器を予備品に取り替えました。
- 2.設備保全対策
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(1)2次系配管の点検 当社の定めた「2次系配管肉厚の管理指針」に基づき、2次系配管901箇所について超音波検査(肉厚測定)等を行いました。
(超音波検査872箇所、内面目視点検29箇所)
その結果、必要最小厚さを下回る箇所、および次回定期検査までに必要最小 厚さを下回る可能性があると評価された箇所はありませんでした。
- 3.蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査結果
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蒸気発生器2台のうち、A−S/G−蒸気発生器伝熱管全数(3,382本)について、渦流探傷検査を実施し、異常のないことを確認しました。
- 4.燃料集合体の取り替え
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燃料集合体全数121体のうち20体(全て新燃料集合体)を取り替えました。
燃料集合体の外観検査(13体)を実施した結果、異常は認められませんでした。
- 5.次回定期検査の予定
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平成23年秋頃
なお、定期検査の作業工程については、別紙を参照下さい。
以 上