プレスリリース
2010
2010年10月20日
関西電力株式会社
大飯発電所2号機の原子炉起動および調整運転の開始について
大飯発電所2号機 第23回定期検査の概要
- 1.主要工事等
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(1)耐震裕度向上工事 (図−1参照) 既設設備の耐震性を一層向上させるため、安全注入系統や余熱除去系統などの配管、アニュラス浄化系統や補助建屋よう素除去排気系統などのダクト、余熱除去クーラやほう酸タンクなどの機器の支持構造物を強化しました。
(2)余熱除去系統入口部小口径配管他取替工事 (図−2参照) 余熱除去系統入口部において、下記の工事を行いました。なお、これらの工事は対象箇所が隣接することから、作業性を考慮し、対象箇所の間に設置されている配管や弁等についても併せて取り替えました。
国外PWRプラントにおける応力腐食割れ事象を踏まえ、1次冷却材の流れがない配管(高温環境で溶存酸素濃度が高い部位)の溶接部について、計画的に対策工事※1を実施しており、今回は当該系統8箇所について溶接形状と材料を変更しました。
- ※1:応力集中が小さい溶接形状への変更と耐食性に優れた材料への変更
外国製の電動弁について、保守性向上の観点から部品調達が容易な国産弁に取り替えました。
熱疲労を抑制するため、一部配管ルートを変更しました。
(3)格納容器再循環サンプスクリーン取替工事 (図−3参照) 1次冷却材喪失事故時に格納容器再循環サンプスクリーンが異物混入により機能低下することを防止する観点※2から、スクリーンをより表面積が大きいものに取り替えました。
また、同スクリーンを通過した異物が流量調整弁で閉塞しないよう弁開度(隙間)を大きくするため、一部の流量調整弁を新品に取り替えるとともに、弁の下流側に流量調整用オリフィスを設置しました。
なお、取替後のサンプスクリーンを使った事前の試験において、セラミックファイバー製保温材がスクリーンに詰まる可能性が確認されていることから、前回の定期検査に引き続き、蒸気発生器4台のうち残りの2台の保温材について、セラミックファイバー製からロックウール製に取り替えました。- ※2:国外BWRプラントでの非常用炉心冷却系統ストレーナの閉塞事象を踏まえた原子力安全・保安院の指示を受け、格納容器再循環サンプスクリーンの有効性を評価した結果、設備上の対策が必要であると評価された。なお、設備上の対策を講じるまでは、閉塞事象発生時対応マニュアルの整備などの暫定対策を講じており、安全上の問題が生じることはない。
(4)600系ニッケル基合金溶接部の応力腐食割れに係る予防保全工事 (図−4参照) 国内外PWRプラントにおける応力腐食割れ事象を踏まえ、予防保全対策として、加圧器サージ管台について、600系ニッケル基合金で溶接された管台から耐食性に優れた690系ニッケル基合金で溶接された管台に取り替えました。
(5)高サイクル熱疲労割れに係る対策工事 (図−5参照) 国内外PWRプラントにおける高サイクル熱疲労割れ(温度ゆらぎによる熱疲労)を踏まえ、AおよびB余熱除去クーラバイパスライン合流部の配管2箇所について、温度ゆらぎを抑制するため、配管ルートを変更するとともに、応力集中が小さい溶接形状に変更しました。
(6)燃料取換クレーン取替工事 (図−6参照) 燃料取扱作業の作業性向上の観点から、外国製の燃料取換クレーンを国産の燃料取換クレーンに取り替えました。
(7)原子炉保護装置取替工事 (図−7参照) 原子炉保護装置※3について、電子部品が製造中止になったことから、今後の保守性を考慮して、電子部品と電子回路の一部を最新設計のものに取り替えました。
- ※3:1次冷却材系統の圧力・温度信号などからプラントの異常を検出して、原子炉トリップしゃ断器および工学的安全施設を動作させるための装置
- 2.設備保全対策
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2次系配管の点検等 (図−8参照) 当社が定めた「2次系配管肉厚の管理指針」に基づき、2次系配管1,476箇所について超音波検査(肉厚測定)等を行った結果、必要最小厚さを下回ると評価された箇所および次回定期検査までに必要最小厚さを下回る可能性があると評価された箇所はありませんでした。
(超音波検査:1,430箇所、内面目視点検:46箇所)
また、今定期検査開始時に計画していた123箇所の配管について、炭素鋼から、耐食性に優れたステンレス鋼または低合金鋼の配管に取り替えました。
- 3.蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査結果
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蒸気発生器4台のうち、AおよびC−蒸気発生器伝熱管全数(3,382本×2台、計6,764本)について渦流探傷検査を実施し、異常のないことを確認しました。
- 4.燃料集合体の取り替え
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燃料集合体全数193体のうち56体(うち52体は新燃料集合体で55,000MWd/tの高燃焼度燃料)を取り替えました。
燃料集合体の外観検査(97体)を実施した結果、異常は認められませんでした。
- 5.次回定期検査の予定
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平成23年秋頃
なお、定期検査の作業工程については、別紙を参照下さい。
以 上