プレスリリース
2010
2010年6月3日
関西電力株式会社
中国電力島根原子力発電所1、2号機の保守管理の不備等に関する当社の確認結果について
<別 紙>
保守管理の仕組みに関する確認結果の概要
<確認方法>
当社原子力発電所の保守管理手法は、美浜発電所の運転開始以降、書類による管理から情報処理システムによる管理へと変遷してきている。この変遷や中国電力と当社との保守管理手法の相違点を踏まえたうえで、社内標準類、マニュアル類を中心に業務フローを調査し、実際の点検計画策定に係る確認行為の内容等について帳票、システム画面等により確認した。
<確認内容>
1.当社における保守管理手法の変遷に係る確認
当社の保守管理は、初期(昭和50年代)は手書き、ワープロ等の書類によって実施していたが、平成元年頃から一部を情報処理システムによる管理に移行した。また、平成13年頃より、点検方法、点検計画を一元的に管理できる原子力保全総合システム(以下「M35」という)の開発に着手し、平成15年に運用を開始した。現在も、継続的改善を実施しながら同システムを運用している。
M35システムの運用開始以降これまでに、社内監査や定期安全管理審査の結果などを踏まえて運用方法の継続的な改善を実施するとともに、システムの中でエラーを防止するための改善を行ってきていることを確認した。
2.中国電力の中間報告に記載された問題点の確認
中国電力の中間報告では、次の(1)から(3)の各段階での問題が抽出されており、これらの点について当社の保守管理の仕組み等を中心に確認した。
- (1)点検計画表の策定段階の問題
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【問題の概要】
中国電力は平成15年からの定期事業者検査導入に伴い、新たに「点検計画表」(*1)を策定して、これを用いた検査の運用を開始したが、この際、過去の点検実績を十分踏まえずに点検計画を設定したり、一部の点検実績を誤って記入するなどの問題があった。
【当社の確認結果】
当社では、過去からの点検実績を十分に配慮して点検計画を策定するとともに、システムにアラーム機能を付加するなど、誤りに気づきやすい環境となっており、さらに誤りが確認された場合には是正される仕組みとなっている。
- (2)点検の実施段階における問題
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【問題の概要】
中国電力では「点検計画表」策定以降も、従来様式である「点検周期リスト(*2)」等を併用していたことから、最終的な工事の実施指示書である「工事仕様書」(*3)に、点検すべき項目が適切に取り込まれていなかった。
また必要な資材の手配ができず、点検等が計画通り行われなかった場合等は不適合処置(*4)を行う必要があるが、適切な対応が行われていなかった。
【当社の確認結果】
点検計画は、点検設備や点検実績をデータベース化したM35を通じて一元的、自動的に作成されるとともに、「工事仕様書」にはシステムから自動的に出力された「工事対象機器一覧表」が添付され、点検設備や点検実績の整合が図られる。
また何らかの理由により計画した工事が実施できない場合には、不適合処置等の適切な対応を行っている。
- (3)点検実績の反映段階の問題
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【問題の概要】
中国電力では、点検計画表の管理部署と点検実施部署が分かれており、かつ、点検実施部署から点検未実施の連絡がなければ、点検計画表の管理部署は点検実績ありと判断し、点検計画表の更新を行うこととなっていた。
【当社の確認結果】
点検計画表の管理部署と点検実施部署が同一であり、連絡ミスに起因する点検計画の更新誤りは発生しないしくみになっている。
<確認結果の概要(結論)>
中国電力の中間報告で主要な直接的原因とされている問題について確認したところ、当社の保守管理の仕組みにおいて、同様の問題はなかった。
また、仮に誤りが発生した場合においても適切に是正措置がなされる仕組みとなっていることを確認した。
- (*1)点検計画表:平成15年以降の定期事業者検査導入に対応するものとして、設備単位ごとに定めた点検内容に対して、時期を定めたもの。
- (*2)点検周期リスト:中国電力において、点検計画表が策定される以前に、設備主管課が機器ごとの点検内容や時期を独自に定め使用していたもの。
- (*3)工事仕様書:工事等の契約のために、工事の範囲や仕様、内容等の要求事項を記載したもの。
- (*4)不適合処置:発生した不適合が放置されることを防ぐために、不適合が起きた場合の対応を明確にし、適切な処置を実施すること。
以 上