プレスリリース
2010
2010年5月25日
関西電力株式会社
大飯発電所4号機の原子炉起動および調整運転の開始について
大飯発電所4号機 第13回定期検査の概要
- 1.主要工事等
-
(1)耐震裕度向上工事 (図−1参照) 既設設備の耐震性を一層向上させるため、主蒸気系統や余熱除去系統などの配管ならびに、ポーラクレーンの支持構造物を強化しました。
(2)1次系小口径曲げ配管取替工事 (図−2参照) 国外BWRプラントにおいて、芯金を使用して曲げ加工した配管の内面で応力腐食割れが発生した事象を踏まえ、予防保全として、1次冷却材系統につながる曲げ配管のうち、芯金を使用して曲げ加工したものを、芯金を使用せずに曲げ加工した配管に取り替えました。
(3)高サイクル熱疲労割れに係る対策工事 (図−3参照) 国内外PWRプラントにおける高サイクル熱疲労割れ事象(温度ゆらぎによる熱疲労)を踏まえ、2系列ある充てん配管のうち、使用していない系列の充てん配管、隔離弁などを撤去しました。
(4)格納容器再循環サンプスクリーン取替工事 (図−4参照) 1次冷却材喪失事故時に格納容器再循環サンプスクリーンが異物混入により機能低下することを防止する観点から、スクリーンの表面積をより大きいものに取り替えました。
また、同スクリーンを通過した異物が流量調整弁を閉塞しないよう開度(隙間)を大きくすることから、流量調整用オリフィスを設置しました。- *国外BWRプラントでの非常用炉心冷却系統ストレーナの閉塞事象を踏まえた原子力安全・保安院の指示を受け、格納容器再循環サンプスクリーンの有効性を評価した結果、設備上の対策が必要であると評価された。なお、設備上の対策を講じるまでは、閉塞事象発生時対応マニュアルの整備などの暫定対策を講じており、安全上の問題が生じることはない。
(5)600系ニッケル基合金溶接部の応力腐食割れに係る予防保全工事 (図−5参照) 国内外PWRプラントにおける応力腐食割れ事象を踏まえた予防保全対策として、600系ニッケル基合金が使用されている原子炉容器出口管台溶接部について、溶接部全周を一様に研削した後、耐食性に優れた690系ニッケル基合金で溶接を実施しました。また、原子炉容器入口管台溶接部、原子炉容器炉内計装筒の内面および管台溶接部について、表面の残留応力を低減させるためにウォータージェットピーニング工事※1を施工しました。
- ※1:金属表面に高圧ジェット水を吹きつけることにより、金属表面の引張応力を圧縮応力に変化させる。
- 2.設備の保全対策
-
(1)2次系配管の点検等 (図−6参照) 当社の定めた「2次系配管肉厚の管理指針」に基づき、2次系配管735箇所※2について超音波検査(肉厚測定)を行った結果、必要最小厚さを下回る箇所および次回定期検査までに必要最小厚さを下回ると評価された箇所はありませんでした。 (超音波検査727箇所、内面目視点検8箇所)
- ※2:今定期検査時の計画では、737箇所の超音波検査(肉厚測定)等を実施する予定であったが、配管の追加取替えにより2箇所減少し、合計735箇所について測定を実施した。
また今定期検査開始時に計画していた68箇所に加え、配管取替作業性を考慮した2箇所を追加し、合計70箇所を耐食性に優れたステンレス鋼または低合金鋼の配管に取り替えました。
- 3.蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査結果
-
蒸気発生器4台のうち、AおよびC−蒸気発生器伝熱管全数(3,382本×2台、計6,764本)について渦流探傷検査を実施し、異常のないことを確認しました。
- 4.燃料集合体の取り替え
-
燃料集合体全数193体のうち101体(うち72体は新燃料集合体で55,000MWd/tの高燃焼度燃料)を取り替えました。
また、燃料集合体の外観検査(62体)を実施した結果、異常は認められませんでした。
- 5.次回定期検査の予定
-
平成23年夏頃
以 上