プレスリリース

2009年5月22日
関西電力株式会社

高浜発電所3号機の定期検査開始について

高浜発電所3号機 第19回定期検査の概要

1.主要工事等
(1)低圧タービン取替工事 図−1参照

 国外で発生した低圧タービン円板の翼取付部における応力腐食割れ事象を踏まえ、予防保全対策として、低圧タービン(3基)について、材料強度の変更、全一体ロータ構造および最新の翼形状などを採用した低圧タービンに取り替えます。

(2)耐震裕度向上工事 図−2参照

 既設設備の耐震性を一層向上させるため、余熱除去系統や主蒸気系統などの配管、伝送器の支持構造物を強化します。

(3)原子炉冷却系統設備小口径配管他取替工事 図−3参照

 国外PWRプラントにおける応力腐食割れ事象を踏まえ、1次冷却材の流れがない配管(高温環境で溶存酸素濃度が高い)の溶接部について、計画的に対策工事*1を実施しており、今定期検査では、余熱除去系統の低温側安全注入ラインの配管溶接部1箇所を耐食性に優れた材料に変更します。また、取替作業時の作業性を考慮し、対象となる溶接部周辺の弁および配管の一部についても取り替えます。

  • *1 応力集中が小さい形状への変更と耐食性に優れた材料への変更。
(4)高サイクル熱疲労割れに係る対策工事 図−4参照

 国内外PWRプラントにおける高サイクル熱疲労割れ事象(温度揺らぎによる熱疲労)を踏まえ、対策工事を実施します。
 余熱除去系統入口配管と出口配管の2箇所において、熱疲労を抑制するため配管ルートを変更します。
 2系列ある充てん配管のうち、熱疲労が発生しやすい、使用していない系列の充てん配管、隔離弁などを撤去します。

(5)600系ニッケル基合金溶接部の応力腐食割れに係る予防保全工事
図−5参照

 国内外PWRプラントにおける応力腐食割れ事象を踏まえ、予防保全対策として、加圧器のサージ管台、安全弁管台、逃がし弁管台、スプレイ弁管台の溶接部を、600系ニッケル基合金から耐食性に優れた690系ニッケル基合金に取り替えます。

(6)原子炉照射試験片取出工事

 中性子照射による原子炉容器の材料特性変化を定期的に把握するため、原子炉容器内部に設置している照射試験片を取り出します。

2.設備の保全対策
(1)格納容器ガスモニタ取替工事

 格納容器内の空気の放射性ガス濃度を計測している格納容器ガスモニタについて、伝送装置が製造中止となったことから、今後の保守性を考慮して、現在の電離箱式*2から同等の性能を有するプラスチックシンチレーション式*3に取り替えます。

  • *2 放射線により電離箱内の格納容器内にあった空気(サンプルガス)が電子とイオンに電離し、それぞれプラスの電極、マイナスの電極に集まる。各電極の電子、イオンが電離電流として、監視盤へ送信される。
  • *3 放射線が容器(プラスチックシンチレータ)内に入射すると微弱な光を発する。発生した光を増加させるとともに、電気信号に変換し、監視盤へ送信される。
(2)2次系配管の点検等 図−6参照

 当社の定めた「2次系配管肉厚の管理指針」に基づき、2次系配管660箇所について超音波検査(肉厚測定)を実施します。
 また、過去の点検において減肉が確認された部位15箇所、配管の保守性を考慮した部位50箇所、合計65箇所を耐食性に優れたステンレス鋼もしくは低合金鋼の配管に取り替えます。

3.燃料集合体の取り替え

 燃料集合体全数157体のうち、73体(うち56体は新燃料集合体)を取り替える予定です。

4.今後の予定
原子炉起動、臨界 :平成21年8月下旬
調整運転開始 :平成21年8月下旬
本格運転再開 :平成21年9月中旬

 なお、定期検査の作業工程については、別紙を参照下さい。

以 上

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