プレスリリース
2009
2009年5月7日
関西電力株式会社
高浜発電所2号機の原子炉起動および調整運転の開始について
高浜発電所2号機 第25回定期検査の概要
- 1.今回の定期検査を利用して実施した主要な工事
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(1)耐震裕度向上工事 (図−1参照) 既設設備の耐震性を一層向上させるため、原子炉冷却系統や安全注入系統などの配管、アニュラス循環系統や補助建屋よう素除去排気系統などのダクト、復水タンクなどの機器の支持構造物を強化しました。
(2)原子炉冷却系統設備小口径配管他取替工事 (図−2参照) 国外PWRプラントにおける応力腐食割れ事象を踏まえ、1次冷却材の流れがない配管(高温環境で溶存酸素濃度が高い)の溶接部を、計画的に応力集中が小さい形状に変更しており、今定期検査では、安全注入系統の配管溶接部21箇所について溶接形状を変更しました。
また、取替作業時の作業性を考慮し、対象となる溶接部周辺の弁および配管の一部についても取り替えました。(3)高サイクル熱疲労割れに係る対策工事 (図−3参照) 国内外PWRプラントにおける高サイクル熱疲労割れ(温度揺らぎによる熱疲労)を踏まえ、AおよびB余熱除去冷却器バイパスライン合流部の配管2箇所について、温度揺らぎを抑制するため配管ルートを変更するとともに、応力集中が小さい溶接形状に変更しました。
(4)1次冷却材ポンプ軸シール部改造工事 (図−4参照) 設備の信頼性を一層向上させる観点から、シール部の摺動面で発生した摩耗粉がシールの動きを阻害することを防止するため、1次冷却材ポンプ3台のNo.3シール部に1次系純水を供給して摩耗粉を排出する系統を新たに設置しました。
(5)亜鉛注入装置設置工事 (図−5参照) 作業員の被ばく低減を図るため、コバルト-60などの放射性物質が機器や配管内表面へ付着することを抑制するため、1次冷却材中に亜鉛を注入する※1装置を化学体積制御系統に設置しました。
- ※1 1次冷却材中に放射化しにくい亜鉛を注入して、機器や配管内表面に皮膜を形成させることにより、コバルト-60などの放射性物質が機器・配管内表面へ付着することを抑制し、1次冷却材系配管などの線量を低減する。亜鉛注入は、国内プラントでの実績がある。
(6)600系ニッケル基合金溶接部の応力腐食割れに係る予防保全工事 (図−6参照) 国内外PWRプラントにおける応力腐食割れ事象を踏まえ、600系ニッケル基合金が使用されている原子炉容器出入口管台溶接部について超音波探傷検査を、蒸気発生器出口管台溶接部については渦流探傷試験を実施した結果、異常は認められませんでした。
また、予防保全対策として、蒸気発生器出口管台溶接部について、溶接部表面の残留応力を低減させるため、ショットピーニング工事※2を施工しました。- ※2 金属表面の引張り残留応力を低減させる工法で、金属表面に微小な金属の玉を高速度で叩き付ける工法。
- 2.今定期検査中に実施した保全対策について
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(1)2次系配管の点検等 (図−7参照) 当社の定めた「2次系配管肉厚の管理指針」に基づき、2次系配管1,117箇所について超音波検査(肉厚測定)等を実施した結果、必要最小厚さを下回る箇所、および次回定期検査までに必要最小厚さを下回る可能性があると評価された箇所はありませんでした。
(超音波検査1,104箇所、内面目視点検4箇所、内面目視点検および超音波検査9箇所※3)- ※3 高圧排気管直管部13箇所について、配管内面から内面目視点検を実施した結果、9箇所に減肉が認められたため、配管外面からの超音波検査を追加で実施した。
過去の点検で減肉が確認された部位など32箇所を耐食性に優れたステンレス鋼や低合金鋼の配管に取り替えました。
- 3.蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査結果
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蒸気発生器3台のうち、B−蒸気発生器伝熱管全数(3,382本×1台、計3,382本)について、渦流探傷検査を実施し、異常のないことを確認しました。
- 4.燃料集合体の取り替え
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燃料集合体全数157体のうち73体(うち56体は新燃料集合体)を取り替えました。
燃料集合体の外観検査(10体)を実施した結果、異常は認められませんでした。
- 5.次回定期検査の予定
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平成22年 夏頃
なお、定期検査の作業工程については、別紙を参照下さい。
以 上