プレスリリース

2008年12月17日
関西電力株式会社

美浜線No.21鉄塔事故に関する電気関係事故報告の提出について

 平成20年9月15日、美浜線No.21鉄塔事故が発生し、協力会社の作業員2名の方がお亡くなりになり、2名の方が負傷されました。事故後、工事中に当該鉄塔が片側架線状態になり、一部の鉄塔部材の強度が不足していたこと、事前に強度計算を行っていなかったことを確認しました。10月14日には、電気関係報告規則第3条の規定に基づき、経済産業省に「電気関係事故報告(第1報)」を提出するとともに、二次的な設備被害を回避するため、安全対策工事を実施することとしました。
 当社はその後、警察ご当局の捜査に全面的に協力するとともに、巡視・点検記録の確認調査、部材補修、材料性能、鉄塔設計、工事施工などの観点から原因調査を行ってきました。本日、当社として以下のとおり原因を推定し、再発防止対策について取りまとめ、経済産業省に「電気関係事故報告(第2報)」を提出し、同省から電気事業法に基づく行政処分等を実施する旨の通知を受け取りました。
 また、安全対策工事については、10月15日に着手し12月8日に終了しました。なお、準備が整い次第、美浜線の送電を再開する予定です。



  <「電気関係事故報告(第2報)」の要点>
    【推定原因】
     社内規則に基づき工事設計業務が進められたが、当該既設鉄塔の強度には余裕があるとの判断のもと、強度計算が行われなかった。また、工事設計審査では、今回の工事が一般的な工法であったこと、新鉄塔の荷重条件についての議論が中心となったことから、既設鉄塔の強度について審査されることがなかった。これらのことから、工事中の片側架線状態において一部の鉄塔部材の強度が不足していることを認識できず、必要な対策がとられなかったため鉄塔の損壊につながったものと推定した。

背景となる重要要因
  <強度計算について>
    1 設計に関する社内規則には、工事中に片側架線状態となる場合の強度計算の必要性を明確には記載していなかった
    2 過去の同種工事において鉄塔損壊はなく、強度計算の結果、部材補強が必要となったケースも少なかったことから、リスクの大きさに気づかず、工事中の状態の強度計算を規則上明確にはしてこなかった
  <工事設計審査について>
    3 工事設計審査に関する社内規則では、審議項目等について詳細には決めていなかった
  <上記に共通する要因>
    4 近年の大型工事の減少により、職場に経験豊富な技術者が少なくなり、設計者が日常的にアドバイスを受ける機会等が減少した
       
【再発防止対策】
  a. 工事中の状態の鉄塔強度を必ず計算するよう、社内規則を改正する(←要因1
  b. 工事設計審査に関する実施方法を詳細に決め、社内規則を改正する(←要因3
  c. 当社と協力会社間で潜在的なリスクに関する意思疎通を充実する(←要因2
  d. 工事全般にわたる潜在的リスクを改めて抽出、再評価し、改善活動を継続的に実施する(←要因2
  e. 送電工事設計者の技術力のさらなる向上を図る(←要因4


 当社としましては、今後も引き続き警察ご当局の捜査に全面的に協力しつつ、本日の経済産業省による措置を厳粛に受け止め、適切に対応するとともに、この度策定した再発防止対策を着実かつ継続して実施することで、安全の実績を着実に積み上げ、ゆるぎない安全文化を構築してまいります。

以  上

<添付資料>

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