プレスリリース

2008年8月21日
関西電力株式会社

高浜発電所4号機の定期検査開始について

高浜発電所4号機 第18回定期検査の概要

1.今回の定期検査を利用して実施する主要な工事
(1) 耐震裕度向上工事
図−1参照
   既設設備の耐震性を一層向上させるため、伝送器および、安全注入系統や余熱除去系統などの配管の支持構造物を強化します。
 
(2) 高サイクル熱疲労割れに係る対策工事
図−2参照
   国内外PWRプラントにおける高サイクル熱疲労割れ事象(温度ゆらぎによる疲労)を踏まえ、対策工事を実施します。
 2系列ある充てん配管のうち、熱疲労が発生しやすい、使用していない1系列の充てん配管、隔離弁等を撤去します。
 また、AおよびB余熱除去冷却器バイパスライン合流部の2箇所について、熱疲労が抑制できる合流部形状に変更するとともに、応力集中が小さい溶接形状に変更します。
 さらに、余熱除去系統入口部1箇所と出口部1箇所において、熱疲労を抑制するため、配管ルートを変更します。
 
2.今定期検査中に実施する保全対策について
(1)600系ニッケル基合金溶接部の応力腐食割れに係る点検・予防保全工事
  図−3参照
   国内外PWRプラントにおける応力腐食割れ事象を踏まえ、600系ニッケル基合金が使用されている原子炉容器冷却材出入口管台、蒸気発生器出入口管台の溶接部について、超音波探傷検査や渦流探傷検査を実施します。
 点検後、蒸気発生器出口管台の溶接部については、溶接部表面の残留応力を低減させるため、ショットピーニング工事*1を実施します。
 また、蒸気発生器入口管台の溶接部については、他のプラントにおいて傷が認められていることを踏まえ、傷が認められない場合でも、内表面を一様に切削し、耐食性に優れた690系ニッケル基合金で肉盛溶接を行います。
 なお、点検および切削・肉盛溶接作業にあたっては、作業性や被ばく低減の観点から、事前に蒸気発生器入口エルボを取り外して行い、作業完了後に新品のエルボで復旧します。


  *1: 金属表面に金属の玉を高速度でたたきつけることにより、溶接部表面の引張残留応力を圧縮応力に変化させる。
 
(2)2次系配管の点検等 (図−4参照)
   当社の定めた「2次系配管肉厚の管理指針」に基づき、2次系配管1,619箇所について超音波検査(肉厚測定)を実施します。
 また、過去の点検において減肉が確認された部位50箇所、今後の保守作業を考慮した部位213箇所、合計263箇所を耐食性に優れたステンレス鋼もしくは低合金鋼の配管に取り替えます。
 
(3) 格納容器ガスモニタ取替工事
 
   格納容器ガスモニタについて、伝送装置が製造中止となったことから、今後の保守性を考慮して、現在の電離箱式*2から同等の性能を有するプラスチックシンチレーション式*3のものに取り替えます。

  *2: 放射線により電離箱内の格納容器内にあった空気(サンプルガス)が電子とイオンに電離し、それぞれプラスの電極、マイナスの電極に集まる。各電極の電子、イオンが電離電流として、監視盤へ送信される。
  *3: 放射線が容器(プラスチックシンチレータ)内に入射すると微弱な光を発する。発生した光を増加させるとともに、電気信号に変換し、監視盤へ送信される。
 
3.燃料集合体の取り替え
   燃料集合体全数157体のうち77体(うち60体は新燃料集合体)を取り替える予定です。
 
4.今後の予定
 
 原子炉起動、臨界:平成20年12月下旬
 調整運転開始:平成20年12月下旬
 本格運転再開:平成21年 1月下旬


 なお、定期検査の作業工程については、別紙を参照下さい。

以  上

本文へ戻る

プレスリリース