プレスリリース

2008年8月11日
関西電力株式会社
株式会社森生テクノ

火力発電所の高温配管保温材を再生利用した保水性セメント成形材の開発~リゾート施設「リゾ鳴尾浜」で屋外冷房として実証試験を実施~

 当社は、この度、株式会社森生テクノと共同で、火力発電所で使用する保温材を再生利用した保水性セメント成形材を開発し、これを用いて、兵庫県鳴尾浜臨海公園南地区にあるリゾート施設「リゾ鳴尾浜」(兵庫県西宮市)において、屋外冷房としての効果を検証する実証試験を行います。


 今回、再生利用した保温材は、火力発電所の高温蒸気配管等を覆い、配管からの熱放散を抑え、温度を一定に保つ効果を持つものです。この保温材は、定期点検時や配管の修復工事の際に取り外され、復元が不可能なものは、これまで産業廃棄物として埋め立て処分していました。本研究では、通常処分する保温材を有効利用することに着目し、保温材の持つ高い保水能力を利用し、冷房効果を持つ保水性セメント成形材の開発を行ったものです。


 具体的には、物体に付着した水分が蒸発する際、気化熱※1により、物体の表面温度が低下する性質を利用するものです。今回開発した保水性セメント成形材は、通常のコンクリートより保水能力が高く、気化熱の影響を多く受けることが可能であり、これを用いた構造物の内部は、周辺の温度が上昇するなかでも、低温に保たれるという冷房効果(クールスポット効果)が得られるものです。
 保水性セメント成形材の冷房効果について、これまで照射実験※2で検証を行なった結果、通常のコンクリートの場合、照射直後から照射終了(約45時間)まで表面温度が55℃程度まで上昇する一方、保水性セメント成形材は、照射開始時から約20時間経過しても表面温度は30℃程度で推移し、その後も表面温度は40℃程度にとどまりました。
  ※1: 液体が蒸発するときに必要とする熱量。水が液体から気体に変わる際、熱を必要とし、物体の熱が蒸発する水に熱を奪われる。
  ※2: 500Wのハロゲンランプによる照射実験。約45時間連続照射し、温度の変化を計測。


 こうした実験結果を踏まえ、この度、保水性セメント成形材が実際に直射日光の当たる屋外環境において、どれだけの冷房効果を発揮するかを検証するため、「リゾ鳴尾浜」で実証試験を行います。平成20年8月から9月にかけて、施設敷地内(屋外)に保水性セメント成形材を用いた構造物を設置し、内部温度の変化を観察するとともに「リゾ鳴尾浜」のお客さまに体感いただき感想の収集等を行うことで、その冷房効果を検証します。


 今後は、廃棄する保温材を再生利用することで環境負荷の低減に寄与するとともに、開発した保水性セメント成形材を用いて、クールスポット効果が得られる屋外冷房等の実用化を目指した開発を進め、ヒートアイランド対策等に貢献する商品を開発してまいります。 

以  上

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