プレスリリース

2008年6月19日
関西電力株式会社

美浜発電所1号機の原子炉起動および調整運転の開始について

美浜発電所1号機 第23回定期検査の概要

1. 主要な工事等について
 (1)1次冷却材ポンプ供用期間中検査および熱遮へい装置取替工事 (図−1参照)
   1次冷却材ポンプ供用期間中検査として、A号機の主フランジ締め付け部について、外観目視点検や超音波探傷検査を行い、健全性を確認しました。
 また、海外プラントでの1次冷却材ポンプ熱遮へい装置※1の熱疲労割れ事象(温度ゆらぎによる疲労)を踏まえ、予防保全としてA号機の熱遮へい装置を新品に取り替えました。
 
※1: 1次冷却材ポンプの軸受部および軸シール部の潤滑・冷却を行う封水が注入されなくなった場合、高温の1次冷却材が軸受、軸シール部に進入し損傷する可能性があるため、その1次冷却材を冷やす装置である。
(注) 今定期検査ではB号機の供用期間中検査と熱遮へい装置の取り替えを行う予定でしたが、次回定期検査に延期する。理由は、新たに製作した熱遮へい装置の内部に異物を確認したことから、この装置を製作し直すこととしたためである。

 (2)耐震裕度向上工事 (図−2参照)
   既設設備の耐震性を一層向上させるため、格納容器冷却水クーラや格納容器冷却水タンク、電気計装盤類の支持構造物を強化しました。また、格納容器循環系統ダクトの支持構造物について、追加で強化しました。

 (3)湿分分離加熱器取替工事 (図−3参照)
   湿分分離加熱器A号機で第22回定期検査(平成18年)に加熱管の損傷が確認された事象を踏まえ、加熱管全数をステンレス製の新品に取り替えました。
 加熱管の直管部の外表面はフィン加工されていますが、最終管支持板とフィンが干渉したことが損傷の原因と推定されたことから、最終管支持板近傍の直管部についてはフィン加工しないこととしました。


2. 今回の定期検査中に実施した保全対策について
 (1)高サイクル疲労割れに係る対策工事  (図−4参照)
   国内PWRプラントにおける高サイクル熱疲労割れ事象(温度ゆらぎによる疲労)を踏まえ、AおよびB余熱除去冷却器バイパスライン合流部の2箇所について、温度ゆらぎを抑制できる合流部形状に変更するとともに、応力集中が小さい溶接形状に変更しました。

 (2)2次系配管の点検等   (図−5参照)
  1 美浜発電所3号機2次系配管破損事故を踏まえ、853箇所※2について超音波検査(肉厚測定)等を行った結果、必要最小厚さを下回る箇所、および次回定期検査までに必要最小厚さを下回る可能性があると評価された箇所はありませんでした。(超音波検査839箇所※2、内面目視点検14箇所)
   
※2: 定期検査開始時の計画では、970箇所の超音波検査(肉厚測定)を実施する予定でしたが、下記の点について見直しを行い、合計131箇所が減少しました。
・他プラントの減肉事象を踏まえた追加 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・59箇所増
・近接した測定箇所を追加 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・8箇所増
・配管取り替えによる変更 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 198箇所減
合計131箇所減
     
  2 今定期検査開始時には57箇所の配管取替えを計画していましたが、取替計画を見直して266箇所を追加して、合計323箇所の配管を取り替えました。

 (3)格納容器送気弁および排気弁取替工事
   格納容器換気系統※3に設置された海外製の送気弁2台および排気弁2台を、保守性向上の観点から部品調達が容易な国産弁に取り替えました。
※3: 定期検査中に、原子炉格納容器内の換気を行うために設けられた系統である。


3. 蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査(ECT)
   蒸気発生器2台のうち、A−蒸気発生器伝熱管全数(2,918本)について、渦流探傷検査を実施し異常のないことを確認しました。

4. 燃料集合体の取替え
   燃料集合体の外観検査(20体)を実施した結果、異常は認められませんでした。
 また、燃料集合体全数121体のうち37体(うち20体は新燃料集合体)を取り替えました。

5. 次回定期検査の予定
   平成21年夏頃

以  上

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