プレスリリース
2008
2008年3月14日
関西電力株式会社
大飯発電所1、2号機高経年化技術評価等報告書の提出について
添付
大飯発電所1、2号機高経年化に関する技術評価および長期保全計画の概要について
当社の大飯発電所1号機は昭和54年3月27日、大飯発電所2号機は昭和54年12月5日に営業運転を開始し、それぞれ平成21年に30年を迎えるため、高経年化技術評価と長期保全計画の策定を実施しました。これは、当社では平成18年に実施した美浜発電所3号機に続くもので、6、7基目となります。大飯発電所1、2号機は、これまで評価してきたプラントと比較して、出力が大きく、原子炉格納容器内にアイスコンデンサを持つウェスティングハウス社設計の原子炉です。
以下にその概要を記載します。
○ 高経年化対策について | ||
1.高経年化技術評価 | ||
運転開始後、30年を迎える大飯発電所1、2号機については、約15万ある機器・構造物を対象に、これまでの運転経験や知見等を踏まえ、腐食、疲労損傷、減肉等の経年劣化事象が発生していないか、今後の運転で経年劣化事象が発生しないかを検討しました。更に、経年劣化事象が発生する機器・構造物は、運転開始60年経過後の劣化状況を想定し、現状の保全活動で安全性が確保されているかを確認するための評価を行いました。
これら高経年化技術評価にあたっては、最新の知見や国内外のトラブルを踏まえた運転経験を反映しており、近年発生したトラブルについても評価を行っております。 |
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2.長期保全計画 | ||
高経年化技術評価において、経年劣化状況を個別に評価した結果、大部分の機器・構造物で経年劣化事象の進展が緩やか、もしくは適切に管理・対処されていると評価されましたが、一部の機器・構造物では現状の保全活動に加えて追加すべき保全策を抽出しました。これらの追加すべき保全策は、原子炉施設の保全のために実施すべき措置に関する10年間の計画(長期保全計画)として策定しています。
以下に大飯発電所1、2号機の高経年化に関する技術評価、長期保全計画、および最も至近の美浜発電所3号機の評価以降、新たに反映した大飯発電所1、2号機特有設備の例を示します。 |
[高経年化技術評価の例] |
部位 | 劣化事象 | 事象の説明 | 健全性評価結果 |
原子炉容器 | 中性子照射脆化 | 原子炉容器の胴部は放射線(中性子)の照射を受けることにより材質が硬く脆くなっていく現象が起こる。 | 製造時に同じ材料から作成した試験片から得られたデータを基に、脆化予測式等による評価を行い、問題ないことを確認した。 |
コンクリート構造物 | 強度低下 | コンクリートが熱や放射線等の影響を受けると強度が低下することが考えられる。 | 実機サンプリングデータ等に基づく評価の結果、強度低下が発生する可能性は小さい。 |
炭素鋼配管他 | 腐食、減肉 | 配管の内部を流れる高温水または2相流体の流れにより、配管が腐食、減肉する。(大飯2号機の湿分分離加熱器空気抜き管からの漏洩事象も反映している。) | 超音波を用いた配管の肉厚計測による余寿命管理に基づく取替の継続と検査結果を踏まえた社内指針の改訂をしていくことが必要と評価された。 |
原子炉容器等 | 疲労割れ | プラントの起動・停止時の温度・圧力変化等の繰り返しにより、金属疲労することが考えられる。 | プラントの起動・停止等の回数に基づく解析により評価を行った結果、発生の可能性はない。 |
[長期保全計画の例] |
部位 | 劣化事象 | 長期保全計画の概要 | 実施時期 |
原子炉容器 | 中性子照射脆化 | 国や民間の技術開発、規格基準化に参画し、脆化予測式の精度向上等に取り組んでいく。 | 中長期 |
コンクリート構造物 | 強度低下 | コンクリートの圧縮強度を推定する非破壊試験等を実施し、強度に急激な経年劣化が生じていないことを確認していく。 | 中長期 |
炭素鋼配管他 | 腐食、減肉 | 肉厚計測による余寿命管理を継続していくともに、管理要領をまとめた社内指針については検査結果を踏まえた改訂を継続的に行っていく。 | 短期 |
原子炉容器等 | 疲労割れ | 疲労評価は、プラントの起動・停止等の回数に依存するため、今後はプラントの起動・停止等の回数を確認していく。 | 次回高経年化技術評価で実施 |
[大飯1、2号機特有設備] | |||||||||||||||
大飯1、2号機には、既に高経年化技術評価を行ったプラントにはないアイスコンデンサ*1と呼ばれる設備があり、下記のような評価を行っています。 | |||||||||||||||
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○ 今後の予定 | ||
本日、経済産業大臣に提出した高経年化技術評価と長期保全計画をまとめた報告書の内容については、必要により立ち入り検査が実施されるなど国による審査を受けることになります。
なお、高経年化技術評価は10年を超えない期間毎に再評価をすることが義務付けられており、今後も国内外の運転経験や最新知見を積極的に取り込み再評価を行ってまいります。 |
以 上