プレスリリース

2007年11月26日
関西電力株式会社
沖電気工業株式会社

アクセス系光ファイバー網における超大容量通信技術の開発について

 関西電力株式会社(以下、関西電力)と沖電気工業株式会社(以下、OKI)は、アクセス系光ファイバー網(※1)(以下、アクセス系)における情報通信容量を、大幅に向上させる技術を開発しました。


 現在の光ファイバー網は、一般的に、幹線系(※2)が光ファイバー1本あたり毎秒数十ギガビットから数百ギガビット程度、アクセス系が毎秒1ギガビット程度の通信容量を持っていますが、ブロードバンドの普及に伴って、わが国の通信回線上の情報の総量は急速に増加しており(※3)、将来的には、より大きな通信容量が必要になると想定しています。この想定に基づき、関西電力とOKIは、光ファイバー網の大幅な性能向上を目指して研究開発に取り組んでまいりましたが、幹線系ではすでに、関西電力が毎秒
1.28テラ( 1,280ギガ)ビットの大容量通信の屋外実験に成功しており(※4)、実用化の目途が立っています。


 アクセス系においては、ご家庭に設置されている装置(メディアコンバータという。伝送されてくる情報に添付されている宛先を読み、必要な情報のみ取り込む装置。以下、 MC)の処理能力不足が大容量化のネックになっていましたが、今回「ビット多重方式」という情報通信方式を採用することで、MCの処理能力を大幅に向上させ、実用化されている容量の40倍にあたる、毎秒40ギガビットでの屋内情報通信実験に成功しました。


 現在のアクセス系では、1本の光ファイバーに流れる毎秒1ギガビットの情報を、最大32ユーザーで分け合う方式が用いられていますが、今回開発した技術を実用化すれば、1本の光ファイバーを40ユーザーで共有しても、1ユーザーあたり毎秒1ギガビットの容量を、常時確保することができるようになります。例えば、ご家族全員が別々のパソコンで、ハイビジョン映像の視聴や、ご家庭で撮影したビデオ映像の外部との送受信、専門医による遠隔診療の受診などを同時に行ったり、電気事業において、リアルタイム映像で設備を遠隔監視したりすることが可能になるなど、大容量のデータを活用する場面で、利便性を格段に向上させられると考えています。


 関西電力とOKIは今後、装置の小型化やコストダウンの検討を進めるとともに、気温変化に伴う通信への影響を検証するための屋外実験を実施するなど、平成22年(2010年)以降の実用化に向けて準備を進めてまいります。


(※1) 通信局と事業所やビル、各ご家庭をつなぐ光回線。
(※2) 通信局間をつなぐ光回線。
(※3) 「我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計・試算」(総務省。平成19年5月時点)によると、通信回線上の情報の総量は毎秒約720ギガビットで、平成18年5月比で 1.4倍、平成17年5月比で1.7倍。
(※4) 平成17年10月26日お知らせ済み。気象条件などにより、光ファイバーの通信特性が変化するため、屋外で安定して通信できることが、開発の一つのポイントになる。

以  上

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