プレスリリース

2007年8月27日
関西電力株式会社

美浜発電所1号機の原子炉起動および調整運転の開始について

美浜発電所1号機 第22回定期検査中の保全品質情報等について

 美浜発電所1号機 第22回定期検査中における保全品質情報等について、以下のとおりお知らせします。


1.保全品質情報について

実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則および電気関係報告規則に基づく報告事象や安全協定の異常時報告事象に該当する事象を含め、保安活動向上の観点から、産官学において情報共有することが有益である事象



(1) 法令に基づく報告事象や安全協定の異常時報告対象のうち重要な事象

   なし



(2)(1)に至らない軽微な事象
発電所名  美浜発電所1号機 発 生 日 第22回定期検査中(11月28日)
件  名 A−湿分分離加熱器加熱管の損傷について  (添付図1参照)
事象概要
および
対 策 等
 平成18年11月28日、A−湿分分離加熱器※1の加熱管の渦流探傷検査(ECT)※2等を実施したところ、1本が破断し(以下「A管」という)、1本で一部破口していました(以下「B管」という)。


 調査した結果、加熱管損傷の経過は以下のとおり推定されました。
 A管は平成17年9月17日、プラント出力を下げて運転した際※3に、加熱管で熱伸び幅の差※4が生じ、外面のフィン※5が最終の第13管支持板と引っかかり、さらにその後の熱伸びにより、他の管支持板およびB管と引っかかり拘束された状態になりました。このような状況下で、同年9月29日、プラント停止時※6の加熱管収縮等により、き裂が発生し、プラント運転再開時に進展し破断に至りました。
 またB管は、A管から噴出した蒸気により減肉し、破口しました。


 対策については、以下のとおり実施します。
 A管とB管およびECTの判定基準(減肉深さ10%)を超えた加熱管等の合計42本について施栓し、A管とB管のその周辺の加熱管の10本については、振れ止め防止用の補強棒を挿入しました。
 また、次回定期検査時に当該湿分分離加熱器の加熱管を、最終の第13管支持板とフィンが引っかからない構造のものに取り替えます。


 本事象による環境への影響はありません。


※1: 湿分分離加熱器
低圧タービンの水分による翼浸食防止とタービンの熱効率向上のため、高圧タービン排気蒸気中の湿分を除去し、主蒸気を使用して再熱し低圧タービンに供給するための機器。
※2: 渦流探傷検査(ECT)
コイルを内蔵した探触子に電流を通し、細管の中に入れ、発生する磁界(電気によって生じる磁力線)の変化によって、損傷箇所を探す非破壊検査。
※3: B−湿分分離器加熱蒸気ドレン管温度計管台溶接部の補修に伴いプラント出力を50%まで下げて運転。
※4: 熱伸び幅の差
加熱管は、運転時に発生する蒸気等により熱伸びが生じる。出力低下に伴って蒸気量が減少すると温度差が生じ、加熱管の入口側と出口側では熱伸び幅に差が生じることがある。
※5: フィン
加熱管の熱交換をよくするため、加熱管の外面に円周方向に加工されている円形状の放熱板。
※6: A−1次冷却材ポンプシール部不調に伴いプラントを停止し、シール部を補修した。

[平成19年2月15日 お知らせ済み]



2.その他情報
(1)不具合情報
発電所名  美浜発電所1号機 発 生 日 第22回定期検査中(11月15日)
件  名 燃料集合体での異物発見について  (添付図2参照)
事象概要
および
対 策 等
 平成18年11月15日、使用済燃料ピットで水中カメラによる燃料集合体外観検査※1を行っていたところ、燃料集合体下部に金属屑らしき異物が付着していることを確認しました。この異物を回収するため、当該燃料集合体を検査場所から回収作業を行うのに十分な広さのあるキャスクローディングエリア※2へ移動し、再度、水中カメラで確認したところ、異物は確認されませんでした。このため使用済燃料ピット内および燃料集合体全数を点検しましたが、発見には至りませんでした。なお、この点検において、他の燃料集合体2体から2個の金属屑の付着が確認されたため、回収しました。


 回収できなかった異物は、ピット底部に残存しているものと推定されますが、ピット底部に水の流れはなく、ピット底部と燃料集合体下部との間に十分な距離があることから、再度、燃料集合体に付着するようなことはないと考えております。


 異物の混入経路について調査した結果、混入経路の特定には至りませんでしたが、原子炉格納容器内に設置されている燃料取替クレーン上の狭隘部に過去の作業で発生した金属屑が確認されたこと、また、原子炉補助建屋内に設置されている使用済燃料ピットのクレーン上で使用する工具等に金属屑が付着していた可能性が否定できないことから、これらの金属屑が落下し燃料集合体に付着した可能性があると推定しました。


 対策として、燃料取替クレーン上の狭隘部について清掃を実施するとともに、より確実な異物混入防止を図るため、今回の事例を関係者に周知し、工具等への付着物を含めた異物管理の重要性を再徹底しました。


※1: 燃料集合体外観検査:燃料集合体を水中カメラで外観上異常がないことを確認する検査。
※2: キャスクローディングエリア:使用済燃料輸送容器の取り扱い場所。

[平成19年2月15日 お知らせ済]


発電所名  美浜発電所1号機 発 生 日 第22回定期検査中(1月21日)
件  名 原子炉容器炉内計装用熱電対シール部からの水のにじみについて  (添付図3参照)
事象概要
および
対 策 等
 平成19年1月21日、1次冷却材系統内の空気抜き作業のため、当該系統内の圧力を上げたところ、3箇所ある原子炉容器炉内計装用熱電対のうち、1箇所の上部シール部からわずかな水のにじみ(約90秒に1滴)を確認しました。
 その後、当該系統の水抜きを行い、炉内計装用熱電対シール部の分解点検を行った結果、当該シール部であるパッキン(定期検査毎に取り替え)に変形や傷、異物などは認められませんでしたが、シール面を詳細に観察した結果、支持筒(コラム)との接触部において、漏えい経路の可能性が否定できない跡が確認されました。
 対策として、新しいパッキンに取り替え再組立を行いました。
 本事象による環境への影響はありません。


※: 燃料集合体(炉心)の温度測定用として原子炉容器上部に設置されている温度検出器

[平成19年2月15日 お知らせ済]


発電所名  美浜発電所1号機 発 生 日 第22回定期検査中(2月1日)
件  名 A−加圧器逃がし弁シート部の不具合について  (添付図4参照)
事象概要
および
対 策 等
 平成19年2月1日、1次冷却材系統の漏えい検査※1を実施中のところ、2台ある加圧器逃がし弁※2下流の温度が上昇傾向を示し、加圧器逃がしタンク水位もわずかに上昇していることを確認しました。 
 また、A側の出口配管表面温度に変化が認められたことから、A−加圧器逃がし弁(以下「A弁」という)のシート部(弁の内部にあり、流体を止める部分)に不具合の可能性があると考えられたため、検査を中断しました。


 当該系統の水抜きを行い、A弁の分解点検を行った結果、弁体シート部に漏えいした跡が認められ、微小な鉄錆が噛み込んでいることが確認されました。
 対策として、弁体、弁棒、弁座、ケージ押さえを予備品に取り替え復旧します。
 なお、B−加圧器逃がし弁についても分解点検を実施し、シート部に漏えい跡や付着物がないことを確認しており手入れ後復旧します。


 本事象による環境への影響はありません。


※1: 1次冷却材系統の圧力を上昇させて原子炉容器、蒸気発生器伝熱管等、1次冷却材系統設備からの漏えいがないことを確認する検査(毎定検実施)。
※2: 加圧器逃がし弁は、1次冷却材系統の圧力を調整する加圧器の圧力が上昇しすぎた場合に、加圧器逃がしタンクに圧力を逃がすために設置している。

[平成19年2月15日 お知らせ済]




(2)その他情報(工学的安全施設の予防保全作業)

   なし


  保全品質情報については、下記の公開サイトにおいても、準備が整い次第掲載していきます。
  当社ホームページ(http://www.kepco.co.jp/knic/meeting/index.html)“原子力情報センター(保全品質情報)”
  日本原子力技術協会ホームページ(http://www.nucia.jp)“原子力施設情報公開ライブラリー「ニューシア」”

以 上

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