当社の原子力発電所における運営状況について、以下のとおりお知らせします。
1.運転状況について(平成18年9月14日現在) |
発電所 |
電気 出力 (kW) |
運転状況 |
備 考 |
美 浜
発電所 |
1号機 |
34.0万 |
運転中 |
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2号機 |
50.0万 |
運転中 |
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3号機 |
82.6万 |
事故停止中[第21回定期検査中]
H16年8月9日 2次系配管破損事故により停止
(引き続き、H16.8.14〜 第21回定期検査)
H17年1月5日〜 定期検査作業中 |
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高 浜
発電所 |
1号機 |
82.6万 |
運転中 |
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2号機 |
82.6万 |
運転中 |
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3号機 |
87.0万 |
第17回 定期検査中
H18年8月18日に「B−蒸気発生器水位異常低」警報が発信し、原子炉が自動停止
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(引き続き、H18年8月19日〜第17回定期検査(H18年12月上旬までの予定)) |
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【お知らせ済み】
「B−蒸気発生器の水位異常低」警報発信による原子炉自動停止の原因調査状況について
詳細は2(1)のとおり。
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4号機 |
87.0万 |
運転中 |
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大 飯
発電所 |
1号機 |
117.5万 |
運転中 |
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2号機 |
117.5万 |
運転中 |
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3号機 |
118.0万 |
運転中 |
【新 規】
大飯発電所3,4号機予備変圧器の油中ガス濃度の上昇について
詳細は2(2)のとおり。 |
4号機 |
118.0万 |
運転中 |
【新 規】
大飯発電所4号機 B-電動補助給水ポンプの待機除外について
詳細は2(2)のとおり。 |
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2.保全品質情報※について
※ |
実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則および電気関係報告規則に基づく報告事象や安全協定の異常時報告事象に該当する事象を含め、保安活動向上の観点から、産官学において情報共有することが有益である事象 |
(1)法令に基づく報告事象や安全協定の異常時報告対象のうち重要な事象 |
発電所名 |
高浜発電所3号機 |
発 生 日 |
8月18日 |
件 名 |
「B−蒸気発生器の水位異常低」警報発信による原子炉自動停止の原因調査状況について
(添付図−1参照) |
事象概要
および
対 策 等 |
第17回定期検査のため、平成18年8月18日から出力降下を開始し、翌19日に発電停止する予定でしたが、出力降下中の8月18日、電気出力約11%にてB系統の給水制御を主給水流量制御弁から主給水バイパス流量制御弁へ切替操作を行っていたところ、「B−蒸気発生器水位異常低」警報が発信し、原子炉が自動停止しました。
なお、この事象による環境への放射能の影響はありません。
事象発生時の状況について調査を行った結果、以下のとおりです。
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・ |
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運転員は、電気出力約11%において、給水流量が主給水バイパス流量制御弁で制御できる範囲にあることを確認した上で、B系統の主給水流量制御の自動切替操作を開始しました。 |
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・ |
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主給水流量制御弁は閉動作しましたが、これに応じて開動作すべき主給水バイパス流量制御弁は閉状態のままであったことから、B−蒸気発生器※への給水流量が低下し、蒸気発生器水位が低下しました。 |
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・ |
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このため、運転員は自動切替操作を中止し、手動で主給水流量制御弁を開き、蒸気発生器水位の回復操作を行いましたが、水位低下が継続し、原子炉が自動停止しました。 |
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※ |
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高浜発電所3号機には、蒸気発生器はA,B,Cの3台があり、そのうちの1台の水位が低下。 |
主給水バイパス流量制御弁の点検状況については、以下のとおりです。
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・ |
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事象発生時の状況から、主給水バイパス流量制御弁に動作不良が発生したものと考えられるため、当該弁の動作試験を実施しました。 |
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・ |
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その結果、弁開度を調整するポジショナーにおいて、入力信号(弁開度要求信号)に対する出力信号(弁開度調整信号)の応答が遅いことが確認されました。 |
当該ポジショナーを工場に持ち帰り詳細点検するとともに、当該弁について、弁本体および制御系の点検を行います。
[平成18年8月19日、21日 お知らせ済]
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(2)(1)に至らない軽微な事象 |
発電所名 |
大飯発電所3,4号機 |
発 生 日 |
6月30日 |
件 名 |
予備変圧器の油中ガス濃度の上昇について (添付図−2参照) |
事象概要
および
対 策 等 |
大飯発電所3,4号機は、定格熱出力一定運転中の平成18年6月30日に所内機器に電気を供給している予備変圧器(*1)の油中ガスを分析(1回/半年)した結果、アセチレンガス等(*2)のガス濃度が前回測定(平成17年11月28日)結果よりも若干高くなっていることを確認しました。同変圧器の機能に支障を及ぼすガス濃度ではありませんでしたが、変圧器内部で微小放電が発生した可能性が考えられたため、今後の運転に万全を期す観点から、平成18年8月1日に同変圧器を停止し点検を行いました。
その結果、変圧器内のコイル等に放電跡が確認されました。前回測定以降で、放電が発生する可能性がある事象について調査した結果、平成17年12月22日に発生した送電線ギャロッピング事象(*3)による短絡事故が確認されました。このため、短絡事故発生時の同変圧器の状態について詳細解析を行った結果、短絡事故により瞬時的な電圧が変圧器内に侵入し、その周波数が変圧器の共振周波数(*4)と一致したことにより、コイル等に設計を超える高い電圧が発生したことで、放電が発生した可能性があることが判明しました。
対策として、放電跡が認められたコイルおよび、隣接コイルを新品に取り替えるとともに、絶縁バリアを追加するなど絶縁耐力を向上させます。
また、定例の油中ガス分析に加え、短絡事故が発生した場合には、その都度、油中ガス分析を行い変圧器の健全性を確認することを社内規定に明記します。
なお、点検のため同変圧器を停止しましたが、他の変圧器で所内機器に電気を供給しており、プラントの運転に支障はありません。
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*1 |
: |
予備変圧器(大飯発電所3,4号機の場合)
外部からの電気を、発電所の所内機器に供給するために電圧を変換する設備。
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*2 |
: |
アセチレンガス等
変圧器内のコイル等が放電すると、変圧器内の絶縁油が熱分解しアセチレンガス、エチレンガス、水素ガス等が発生する。
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*3 |
: |
ギャロッピング
着氷雪した送電線が風により大きく振動する現象。これにより、送電線の短絡事象が発生する場合がある。
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*4 |
: |
共振周波数
変圧器が電気的に有している固有振動数のことで、外部から侵入する瞬時的な電圧の周波数が固有振動数と一致した場合には、共振作用により、更に高い電圧が変圧器内部で発生する。
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発電所名 |
大飯発電所4号機 |
発 生 日 |
8月25日 |
件 名 |
B−電動補助給水ポンプの待機除外(※1)について (添付図−3参照) |
事象概要
および
対 策 等 |
定格熱出力一定運転中の平成18年8月25日10時41分、2台(A、B)ある電動補助給水ポンプ(※2)の定期試験(1回/月)において、B—電動補助給水ポンプを起動したところ、ポンプの軸封部より湯気が出るとともに異臭がしたことから、10時44分に当該ポンプを停止し、試験を中断しました。このため、11時12分に保安規定で定める運転上の制限(※3)を満足していないものと判断しました。その後、11時32分に当該ポンプを待機除外とし、点検を行いました。
当該軸封部は、ポンプ内の水が主軸に沿って漏れ出るのを抑制するため、ひも状のパッキン6本をポンプの主軸に巻きつけており、ポンプ内の一部の水は主軸とパッキンの接触面に流れ、軸封部の冷却も行っています。また、パッキンは、現場で実機にあった長さに調整(切断)した後、軸封部に取り付けられています。
当該ポンプの点検記録を確認したところ、第10回定期検査(平成17年度)のポンプ分解点検時にパッキン全数を取り替えていました。また、軸封部の分解点検結果で、異物としてパッキンの切れ端が発見されるとともに、2本のパッキンの内周面(主軸との接触面)にへこみと端部にわずかな切れ残りが確認されました。
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※1 |
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待機除外:通常、いつでも起動できる状態(待機状態)にある機器の故障や点検等のため、自動起動できない状態とすることをいう。
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※2 |
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予備変圧設備。 補助給水ポンプ:主給水系統事故時など通常の給水系統の機能が失われた場合に、蒸気発生器に給水するためのポンプ。大飯発電所4号機には、電動が2台、タービン動が1台ある。 |
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※3 |
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保安規定で定める運転上の制限:運転中は、補助給水ポンプ3台が動作可能であること。
今回は、点検作業により、プラント運転中に待機除外とするため、万一の事故に備え、
10日間に待機状態に復帰させる必要がある。その間、もう2台のポンプが健全である
ことを4時間以内で確認し、その後は8時間毎に確認することとしている。
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調査の結果、前回定期検査でパッキン取替え作業を行った際、パッキンの切断が悪く切れ残りが生じていました。これがポンプ運転時にパッキンからちぎれて異物となり、パッキンと主軸の接触面に入って摺動抵抗が増加し、摩擦熱により冷却用の水が湯気となるとともに、パッキンが過熱し、異臭が発生したものと推定されました。
対策として、主軸に異常がないことを確認した上で、軸端側および継手側軸封部のパッキン(計12本)を新品に取り替え、ポンプを試運転し健全性を確認した後、8月26日1時15分に当該ポンプを待機状態とし、運転上の制限を満足する状態に復帰しました。
また、パッキン取付け作業を行う際には、パッキン切断面に切れ残りがないことを確認しながら取り付けることなどを作業手順書に明記します。
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3.その他情報
(1)不具合情報
なし
(2)その他情報(工学的安全施設の予防保全作業)
なし
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保全品質情報については、下記の公開サイトにおいても、準備が整い次第掲載していきます。
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当社ホームページ(/knic/meeting/index.html)“原子力情報センター(保全品質情報)”
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日本原子力技術協会ホームページ(http://www.nucia.jp)“原子力施設情報公開ライブラリー「ニューシア」”
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以 上