プレスリリース
2006
2006年5月24日
関西電力株式会社
美浜発電所2号機の原子炉起動および調整運転の開始について
1. | 主要な工事等について |
(1)原子炉冷却系統設備小口径配管取替工事 | (図−1参照) |
海外での損傷事例に鑑み、化学体積制御系統など溶存酸素濃度が高く応力腐食割れの可能性がある配管分岐部について、応力集中を低減させるため溶接形状を変更し、耐食性に優れた材料に取り替えました。 |
(2)化学体積制御系抽出水配管継手部取替工事 | (図−1参照) |
高経年化技術評価により、プラント起動・停止時の温度変化に伴う疲労割れに対する点検が必要とされている、化学体積制御系統抽出水配管の溶接継手部について、今後の保守性を考慮して、応力集中を低減させるため溶接形状を変更し、耐食性に優れた材料に取り替えました。 |
(3)制御棒駆動装置冷却ユニット設置工事 | (図−2参照) |
原子炉格納容器内雰囲気温度による計器等への影響を緩和するため、制御棒駆動装置の冷却用空気ダクトに水冷式の冷却ユニットを設置し、制御棒駆動装置から格納容器へ排出される循環空気の温度低減を図りました。 |
2. | 保全対策について |
(1)原子炉容器管台溶接部等の応力腐食割れに係る点検 | (図−3参照) |
国内外PWRプラントにおいて、600系ニッケル基合金を用いた1次冷却材系統の溶接部で応力腐食割れが発生した事例に鑑み、溶接箇所に600系ニッケル基合金が使用されている、原子炉容器冷却材入口管台、蒸気発生器冷却材出入口管台について、外観目視点検や超音波探傷検査を実施し、異常のないことを確認しました。 |
(2)高サイクル熱疲労割れに係る点検 | (図−4参照) |
国内PWRプラントにおいて、再生熱交換器の胴側出口配管部で、高温水と低温水の混合により発生する温度ゆらぎを主な要因とする高サイクル熱疲労割れが発生した事例に鑑み、同様の熱疲労割れが発生する可能性のある余熱除去クーラ出口バイパスライン接続部について、超音波探傷検査を実施し、異常がないことを確認しました。 |
(3)2次系配管の肉厚検査等 | (図−5参照) |
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美浜発電所3号機事故を踏まえ、1,113箇所について超音波検査(肉厚測定)等を実施しました。 (超音波検査1,077※1箇所、目視点検36箇所) |
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その結果、計算必要厚さを下回っている箇所が9箇所確認され、さらに1箇所について次回定期検査までに計算必要厚さを下回ると評価されました。これら計10箇所については、炭素鋼から耐食性に優れたステンレス鋼の配管に取り替えました。 |
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過去の点検結果から減肉傾向の見られる部位7箇所、他プラントにおいて減肉傾向の見られる類似部位4箇所、保守性・作業性を考慮し取り替えた部位83箇所、合計94箇所について、同種材料(炭素鋼)、または耐食性に優れたステンレス鋼の配管に取り替えました。 |
(4)中央制御室への蒸気流入に係る点検 | (図−6参照) |
美浜発電所3号機事故において、中央制御室につながるケーブルトレイおよび電線管の壁貫通部等のシール施工が不適切であったため、中央制御室への蒸気浸入が認められたことを踏まえ、中央制御室貫通部等124※2箇所のシール施工状況を点検し、不適切な箇所11箇所を含む94箇所について補修を実施しました。 | |||
※2: | 前回定期検査において98箇所を点検(今定期検査での点検箇所数との合計:222箇所)し、不適切な箇所15箇所を含む36箇所について補修を実施した(今定期検査での補修箇所数との合計:130箇所)。 |
3. | 蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査(ECT) |
2台ある蒸気発生器のうち、B−蒸気発生器伝熱管(3,382本)について、健全性を確認するため、渦流探傷検査(ECT)を実施し、異常がないことを確認しました。 |
4. | 燃料集合体の取り替え |
燃料集合体全数121体のうち41体(うち36体は新燃料集合体)を取り替えました。 また、燃料集合体の外観検査(29体)を実施した結果、異常は認められませんでした。 |
5. | 次回定期検査の予定 |
平成19年夏頃 |
以 上