プレスリリース

2006年4月12日
関西電力株式会社

高浜発電所2号機の定期検査開始について

1.主要な工事等について
(1)原子炉冷却系統設備小口径配管他取替工事 (図−1参照)
   海外での損傷事例に鑑み、溶存酸素濃度が高く応力腐食割れの可能性がある安全注入系統の配管分岐部について、応力集中を低減させるため溶接形状を変更し、耐食性に優れた材料に取り替えます。
 
(2)1次冷却材管内構造物流体振動対策工事 (図−2参照)
   本年1月に新しい技術基準が施行されたことを踏まえ、配管内に設置されている温度計ウェル(さや管)などの円柱状構造物の流体振動評価を行った結果、流体振動が発生する可能性があると評価された1次冷却材系統の温度計ウェル(6本)について、ウェルと1次冷却材配管の隙間を無くすなど、流体振動の発生を回避した剛構造のものと取り替えます。

※: 当社は、国内での損傷事例(平成7年)に踏まえ、配管内に設置されている温度計ウェルなどについて、当時の知見をもとに評価を行い流体振動が発生しないことを確認していましたが、その後、日本機械学会において、「配管内円柱状構造物の流力振動評価指針」として整備され、本年1月より技術基準として適用されたことを受けて、改めて保守的な評価を行いました。
 
2.保全対策について
(1)原子炉容器管台溶接部等の応力腐食割れに係る点検 (図−3参照)
   国内外PWRプラントにおいて、600系ニッケル基合金を用いた1次冷却材系統の溶接部で応力腐食割れが発生した事例に鑑み、溶接箇所に600系ニッケル基合金が使用されている、原子炉容器冷却材出入口管台、蒸気発生器冷却材出入口管台および加圧器サージ管台について、外観目視点検や超音波探傷検査を実施します。
 
(2)高サイクル熱疲労割れに係る点検 (図−4参照)
   国内PWRプラントにおいて、再生熱交換器の胴側出口配管部で、高温水と低温水の混合により発生する温度ゆらぎを主な要因とする高サイクル熱疲労割れが発生した事例に鑑み、同様の熱疲労割れが発生する可能性のある余熱除去クーラバイパスライン接続部について、超音波探傷検査を実施します。
 
(3)2次系配管の肉厚検査等 (図−5参照)
   美浜発電所3号機2次系配管破損事故を踏まえ、1,278箇所について超音波検査(肉厚測定)等を実施します。
 (超音波検査1,265箇所、内面目視点検13箇所;今回で未点検箇所の点検を終了)
 また、過去の点検結果から減肉傾向の見られる部位等326箇所について、計画的に炭素鋼から耐食性に優れたステンレス鋼の配管に取り替えます。
 
(4)中央制御室への蒸気流入に係る点検 (図−6参照)
   美浜発電所3号機2次系配管破損事故において、中央制御室につながるケーブルトレイ及び電線管の壁貫通部等のシール施工が不適切であったため、中央制御室への蒸気浸入が認められたことを踏まえて、中央制御室貫通部等のシール施工状況を点検し、不適切な箇所については補修を行います。
 
3.燃料集合体の取り替え
   燃料集合体全数157体のうち73体(うち52体は新燃料集合体)を取り替える予定です。
 
4.今後の予定
 
 原子炉起動、臨界:平成18年6月下旬
 調整運転開始:平成18年6月下旬
 本格運転再開:平成18年7月下旬
なお、定期検査の作業工程については、別紙を参照下さい。

以  上

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