プレスリリース

2006年2月14日
関西電力株式会社

高浜発電所4号機の原子炉起動および調整運転の開始について

1.今回の定期検査を利用して実施した主要な工事
  2次系熱交換器他取替工事 (図−1参照)
   2次系給水系統の水質向上対策として、低圧給水加熱器などの伝熱管を銅合金から耐食性に優れたステンレスに取り替えました。これにより蒸気発生器への不純物の持ち込み低減を図りました。
 
2.今定期検査中に実施した保全対策について
(1)原子炉容器管台溶接部等の応力腐食割れに係る点検 (図−2参照)
   国内外PWRプラントにおいて、600系ニッケル基合金を用いた原子炉容器上部ふた管台や1次冷却材系統の溶接部で応力腐食割れが発生した事例に鑑み、以下の点検等を行い、異常がないことを確認しました。
   原子炉容器上部ふた管台の点検等
   原子炉容器上部ふた管台全数(66本)について、上部ふた表面の外観目視点検を実施し、異常がないことを確認しました。
   1次冷却材系統管台溶接部等の点検
   溶接箇所に600系ニッケル基合金が使用されている原子炉容器冷却材入口管台、加圧器スプレ管台、蒸気発生器出口管台等について、外観目視点検や超音波探傷検査を実施し異常がないことを確認しました。
 
(2)高サイクル熱疲労割れに係る点検 (図−3参照)
   国内PWRプラントにおいて、再生熱交換器の胴側出口配管部で、高温水と低温水の混合により発生する温度ゆらぎを主な要因とする高サイクル熱疲労割れが発生した事例に鑑み、同様の熱疲労割れが発生する可能性のある余熱除去クーラ出口バイパスライン接続部について超音波探傷検査を実施し、異常がないことを確認しました。
 
(3)2次系配管の点検等 (図−4参照)
 
 美浜発電所3号機事故を踏まえ、1,280箇所について超音波検査(肉厚測定)等を実施しました。(超音波検査1,275※1箇所、目視点検5箇所)
  その結果、計算必要厚さを下回っている箇所が1箇所確認され、当該箇所については、炭素鋼から耐食性に優れたステンレス鋼の配管に取り替えました。それ以外に余寿命評価で、次回定期検査までに計算必要厚さを下回る可能性があると評価された部位はありませんでした。
 過去の点検結果から減肉傾向の見られる部位等168箇所※2について、計画どおり炭素鋼から耐食性に優れたステンレス鋼または低合金鋼の配管に取り替えました。(合計で169箇所について配管取替を実施)
 
※1 今定期検査開始時の計画では、2次系配管1,231箇所について超音波検査(肉厚測定)等を実施する計画でしたが、下記について計画を見直し、1,275箇所の超音波検査を実施しました。
・2次系配管肉厚の管理指針改正に伴う変更・・・・・・・・ 10箇所追加
・現場確認結果結果による・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12箇所追加
・配管取替範囲見直による変更・・・・・・・・・・・・・・・・・・  8箇所追加
・配管内面からの目視点検により減肉が認められた
  高圧排気管の直管部・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
14箇所追加
計 44箇所追加
※2 定期検査開始当初は、125箇所の取替を計画していたが、作業性の観点から43箇所を追加した。
 
(4)中央制御室への蒸気流入に係る点検 (図−5参照)
   美浜発電所3号機事故において、中央制御室につながるケーブルトレイおよび電線管の壁貫通部などのシール施工が不適切であったため、中央制御室への蒸気浸入が認められたことを踏まえ、中央制御室貫通部など432箇所のシール施工状況を点検し、不適切な箇所104箇所を含む287箇所について補修を実施しました。
 
3.蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査(ECT)
   3台ある蒸気発生器の伝熱管全数(既施栓管を除く9,758本)について、渦流探傷検査(ECT)を実施した結果、異常は認められませんでした。
 なお、高浜発電所4号機については、前回(第15回)定期検査から、検出性を向上させたマルチコイル型(インテリジェント)ECT検査装置を導入しております。
 
4.燃料集合体の検査結果
   燃料集合体の外観検査(29体)を実施した結果、異常は認められませんでした。
 また、燃料集合体全数157体のうち73体(うち56体は新燃料集合体)を取り替えました。
 
5.次回定期検査の予定
   平成19年春頃

以  上

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