プレスリリース
2005
2005年12月5日
関西電力株式会社
大飯発電所1号機の原子炉起動および調整運転の開始について
1. | 主要な工事等について |
(1)燃料取替用水タンク取替工事 | (図−1参照) |
屋外に設置されている燃料取替用水タンク(ステンレス製)については、建設当初に外面塗装を施していなかったため、海塩粒子の付着による塩素型応力腐食割れの発生が考えられることから、応力腐食割れに強いステンレス製で、外面塗装を施した燃料取替用水タンクに取り替えました。 | ||||
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(2)主変圧器取替工事 | (図−2参照) |
主変圧器のコイル絶縁性能が経年劣化の傾向にあるため、予防保全対策として主変圧器を取り替えました。 |
2. | 保全対策について |
(1)原子炉容器管台溶接部の応力腐食割れに係る点検 | (図−3参照) |
国内外PWRプラントにおいて、600系ニッケル基合金を用いた1次冷却材系統の溶接部で応力腐食割れが発生した事例に鑑み、溶接箇所に600系ニッケル基合金が使用されている原子炉容器冷却材出口管台、加圧器サージ管台、蒸気発生器冷却材出入口管台について、外観目視点検や超音波探傷検査を実施し、異常がないことを確認しました。 |
(2)高サイクル熱疲労割れに係る点検 | (図−4参照) |
国内PWRプラントにおいて、再生熱交換器の胴側出口配管部で、高温水と低温水の混合により発生する温度ゆらぎを主な要因とする高サイクル熱疲労割れが発生した事例に鑑み、同様の熱疲労割れが発生する可能性のある余熱除去クーラバイパスライン接続部について、超音波探傷検査を実施し、異常がないことを確認しました。 |
(3)2次系配管の点検等 | (図−5参照) |
美浜発電所3号機事故を踏まえ、2次系配管1,136箇所について超音波検査(肉厚測定)等を実施しました。(超音波検査1,082箇所、目視点検54箇所) その結果、計算必要厚さを下回っている箇所が3箇所確認され、さらに余寿命評価の結果、2箇所について次回定期検査までに計算必要厚さを下回る可能性があると評価されました。この計5箇所のうち3箇所は炭素鋼から耐食性に優れたステンレス鋼、残り2箇所は炭素鋼の配管に取り替えました。 過去の点検結果から減肉傾向の見られる部位等420箇所について、計画的に炭素鋼から耐食性の優れたステンレス鋼等の配管に取り替えました。 |
(4)中央制御室への蒸気流入に係る点検 | (図−6参照) |
美浜発電所3号機事故において、中央制御室につながるケーブルトレイおよび電線管の壁貫通部等のシール施工が不適切であったため、中央制御室への蒸気浸入が認められたことを踏まえ、中央制御室貫通部等349箇所のシール施工状況を点検し、不適切な箇所25箇所を含む299箇所について補修を実施しました。 |
3. | 蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査(ECT)の結果 |
4台ある蒸気発生器のうち、AおよびC−蒸気発生器伝熱管(計6,764本:3,382本×2台)について、健全性を確認するため、渦流探傷検査(ECT)を実施した結果、有意な信号は認められませんでした。 |
4. | 定期検査中に確認された異常事象 |
余熱除去ポンプシール水クーラ空気抜き作業中における漏えいについて 定期検査のため、原子炉を停止した後、B−余熱除去ポンプの起動準備として、当社運転員が、当該ポンプのシール水のクーラ出口にある空気抜き弁を少し開けたところ、漏斗形状の受皿に差し込まれている当該弁下流の配管端部から、水と蒸気(1次冷却水)が流れ出し、当該ポンプ室内の漏水検知の警報と、火災警報が発信しました。この際、弁操作を行っていた運転員にしぶきがかかりましたが、運転員は同室内から直ちに退避し、火傷や負傷、放射能による外部汚染、内部被ばくはありませんでした。その後、当該系統を隔離し、当該弁を閉止しました。 本事象による環境への放射能の影響はありませんでした。 原因は、余熱除去系統を昇温、昇圧した後に、弁の開操作を行いましたが、その際、弁体と弁座が強く締め付けられていた状態で弁開度が追従せず、弁体が弁座から瞬間的に離れ一気に流路が生じたため、水と蒸気が噴出したものと推定されました。 対策として、空気抜き弁を操作する時期は、系統の昇温、昇圧前に実施すること、および弁操作にあたっての注意喚起をマニュアルに明記しました。また、ベント水の飛散防止のため、漏斗状の受け皿を撤去し、空気抜き配管を直接、漏水検知用ピットにつなぎ込みました。 |
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[平成17年9月22日、10月25日 お知らせ済み] |
5. | 燃料集合体の取替え |
燃料集合体全数193体のうち85体(うち60体は新燃料集合体。そのうち52体は55,000MWd/t高燃焼度燃料)を取り替えました。 また、燃料集合体(33体)について外観検査を実施した結果、異常は認められませんでした。 |
6. | 次回定期検査 |
平成18年度 冬頃 |
以 上