プレスリリース
2005
2005年9月28日
関西電力株式会社
美浜発電所3号機の定期検査状況について(補助蒸気配管サポートの損傷の原因と対策)
美浜発電所3号機(加圧水型軽水炉定格電気出力82万6千キロワット、定格熱出力244万キロワット)は事故により停止中(第21回定期検査中)ですが、補助蒸気配管取替工事*1の準備作業として、9月12日から補助蒸気供給を停止し、隔離弁(2台)の取付作業を行っていました。
隔離弁取付作業完了後の、9月16日15時47分頃から、補助蒸気供給を再開したところ、16時07分頃、タービン建屋1階を通行中の当社社員が大きな音を確認したため、直ちに補助蒸気供給元弁を閉止したところ音は徐々に収まったことから、補助蒸気通気に伴うウォーターハンマー*2であると判断しました。その後、16時30分に、1,2号機からの補助蒸気供給弁を閉止したところ、17時頃にハンマリング音は収束しました。
その後、補助蒸気配管を点検した結果、補助蒸気配管のサポート2箇所が損傷(折損:1箇所、曲がり:1箇所)し、保温材3箇所の外れ等が確認されました。なお、配管の溶接部52箇所について浸透探傷検査を行ったところ、異常は認められませんでした。
2.推定原因
隔離弁設置工事のため、原子炉補助建屋側への補助蒸気の供給を一時停止しました。工事期間中、閉止した供給元弁上流側の補助蒸気供給母管内に貯まるドレン水の排出操作を定期的に実施していたことから、供給母管内にドレンはないと考えました。
しかし、供給母管への補助蒸気の供給が継続されていたため、定期的な排出操作ではドレン水が十分排水されず、供給母管内は満水状態であったと推定されました。この状態で、補助蒸気供給元弁をわずかに開放したため、蒸気(約170℃)が供給元弁上流側のドレン水(約100℃以下)に取り込まれ、急激に凝縮し、大きな圧力変化(ウォーターハンマー)が発生し、その衝撃力によりサポートが損傷したものと推定されました。
隔離弁取付作業完了後の、9月16日15時47分頃から、補助蒸気供給を再開したところ、16時07分頃、タービン建屋1階を通行中の当社社員が大きな音を確認したため、直ちに補助蒸気供給元弁を閉止したところ音は徐々に収まったことから、補助蒸気通気に伴うウォーターハンマー*2であると判断しました。その後、16時30分に、1,2号機からの補助蒸気供給弁を閉止したところ、17時頃にハンマリング音は収束しました。
その後、補助蒸気配管を点検した結果、補助蒸気配管のサポート2箇所が損傷(折損:1箇所、曲がり:1箇所)し、保温材3箇所の外れ等が確認されました。なお、配管の溶接部52箇所について浸透探傷検査を行ったところ、異常は認められませんでした。
* 1 : 補助蒸気配管取替工事 | ||
美浜3号機事故の再発防止対策として、人のアクセスする可能性のある配管(曲がり部等)をステンレス配管に取り替える工事。【平成17年8月29日お知らせ済】 | ||
* 2 : ウォーターハンマー(水撃現象) | ||
高温の蒸気が液体と接触し急激に冷やされると、蒸気が水に戻され急激な体積収縮が生じ、大きなエネルギーを持つ圧力波が伝播される現象。 |
〔平成17年9月20日お知らせ済み〕
今回の衝撃音は、補助蒸気配管内で水撃現象(ウォーターハンマー)が発生したものと推測されたため、その発生原因について調査を行いました。
1.調査結果(1) | 原子炉補助建屋への補助蒸気供給停止時の状況 | ||||
・ | 3号機では、1,2号機側から補助蒸気の供給を受け、固体廃棄物処理設備(アスファルト固化装置)が運転中でした。 | ||||
・ | 原子炉補助建屋内で隔離弁の設置工事を行うため、同建屋側に補助蒸気を供給している補助蒸気供給元弁を閉止するとともに、補助蒸気供給母管のドレントラップ*3下流側弁を閉止し、補助蒸気の供給を停止(系統隔離)しました。 | ||||
・ | 補助蒸気供給元弁を閉止しましたが、その上流側の補助蒸気供給母管内では、行き止まった蒸気が冷やされ、ドレン水として貯まることから、運転員が定期的に(約1回/4時間)にドレントラップのドレン弁を、高温の蒸気が出るまで数分間「開」操作し、貯まったドレン水を排出していました。 | ||||
・ | 隔離弁の設置完了後、原子炉補助建屋側への補助蒸気の供給を開始しましたが、その際、供給母管のドレン水は定期的に排出していたため、供給母管にドレン水はたまっていないと考え、補助蒸気の供給を開始しました。 | ||||
|
(2) | 補助蒸気供給母管内のドレン水の状況 |
超音波を用いて補助蒸気供給母管内に貯まったドレン水の状況を調査したところ、供給母管水平部は満水状態であり、約5,500リットルのドレン水が回収されました。このことから、補助蒸気の供給を開始した時点において、供給母管内はドレン水で満たされた状態であったと推定されました。 | |
(3) | ドレン水量の評価 |
運転員の聞き取り調査から、定期的なドレン水排出操作により排出された量は、約80リットル/日であったと推定されました。また、タービン建屋の補助蒸気供給母管内に発生するドレン水は、解析で約1,300リットル/日と推定されたことから、供給を停止して約3日程度で母管内は満水状態となり、ドレン水排出操作を定期的に行っても、供給母管への補助蒸気の供給が継続しているため、供給母管内の満水状態が維持されたと推定されました。 なお、ドレン水排出操作の際、運転員は高温の蒸気を確認した上でドレン水が抜けたものと判断し、排出操作を停止していたが、高温の蒸気は供給母管内にある高温のドレン水が排出される際に蒸気となったものと推定されました。 |
|
(4) | ウォーターハンマー発生時の荷重 |
ウォーターハンマー発生時の衝撃力を評価した結果、配管内面に20MPaの衝撃力が発生し、これにより、配管内で圧力波が伝播し、配管曲がり部では、サポートの破断荷重(約4.7トン)を上回る約24トンの荷重が発生したと推定されました。 |
2.推定原因
隔離弁設置工事のため、原子炉補助建屋側への補助蒸気の供給を一時停止しました。工事期間中、閉止した供給元弁上流側の補助蒸気供給母管内に貯まるドレン水の排出操作を定期的に実施していたことから、供給母管内にドレンはないと考えました。
しかし、供給母管への補助蒸気の供給が継続されていたため、定期的な排出操作ではドレン水が十分排水されず、供給母管内は満水状態であったと推定されました。この状態で、補助蒸気供給元弁をわずかに開放したため、蒸気(約170℃)が供給元弁上流側のドレン水(約100℃以下)に取り込まれ、急激に凝縮し、大きな圧力変化(ウォーターハンマー)が発生し、その衝撃力によりサポートが損傷したものと推定されました。
3. | 対 策 |
・ | 損傷が認められたサポートや保温材については、新しいものに取り替えます。 |
・ | 工事等により補助蒸気の供給を一時的に停止(系統隔離)した後、供給を再開するにあたっては、隔離範囲の上流側配管内に貯まったドレン水も完全に排出するよう、その旨、社内マニュアルに記載します。 |
以 上