プレスリリース

2005年8月11日
関西電力株式会社

美浜発電所1号機 A-主給水ポンプ下部ケーシングからのわずかな漏えいの原因と対策について

 美浜発電所1号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力34万キロワット、定格熱出力103万1千キロワット)は、平成17年4月25日から第21回定期検査中ですが、8月5日、原子炉起動前に、A-主給水ポンプ(以下「ポンプ」)に水を張った後、当社運転員がポンプ周りの点検を実施していたところ、17時50分頃、タービン建屋1階にあるポンプの台の上に水溜りを発見し、ポンプの下部ケーシング(羽根車を内蔵するポンプの胴体)から、水(約30℃)が滴下していることを確認しました。このため、18時10分、ポンプに水を供給している系統を隔離したところ、水漏れ量は減少し、にじむ程度の漏れとなりました。
 このため、8月5日に予定していた原子炉起動を延期し、ポンプの点検を実施することとしました。
 なお、本事象による環境への放射能の影響はありません。

 ※主給水ポンプ: 復水器において水に戻った冷却水を蒸気発生器へ供給するポンプ。美浜1号機には3台(A,B,C)あり、運転中においては、2台は運転、1台は予備機として停止している(自動待機状態)。
〔平成17年8月5日 お知らせ済み〕

1.現地調査結果
   A-主給水ポンプ下部ケーシングについて、外観目視点検を実施した結果、第2段車室から第3段車室へ向かう流路の第2段出口部付近の外表面に漏えい箇所(長さ約2mm)認められました。
   漏えい箇所の外面について浸透探傷試験を実施した結果、当該漏えい部で直径約3mmの指示模様が認められ、漏えい部付近には、その他に直径約2mmと直径約1.5mmの指示模様が認められました。
   当該ポンプ分解後、漏えい箇所について、外表面から水圧をかけ、内面をファイバースコープで観察したところ、内面2箇所で水の噴き出しが認められ、貫通欠陥であることが確認されました。
   漏えい部付近について、ファイバースコープによる内面観察や、超音波検査(肉厚測定)を実施した結果、有意な減肉がないことが確認されました。
   漏えい箇所周辺について、外表面手入れ(深さ約0.2mmバフ研磨)後、スンプ観察を実施した結果、長さ約6mm、幅約1mmの欠陥が観察されました。欠陥は、両先端が丸みを帯びて、中は空洞となっており、進展性のある割れではなく、当該ケーシング製造時の内在欠陥(鋳巣欠陥)の様相を示していました。
 ※スンプ観察: 金属組織を調べるため、金属の表面を磨いた後、検査面にフィルムを貼り付けて、微小な凹凸(金属組織)を転写させ、転写したフィルムを光学顕微鏡で観察する方法。
 ※鋳巣欠陥: 鋳物(型の中に金属を流し込み成型する製造物)の製造段階において、型枠に金属を流し込む際に細かな空気等が抜けきらずに金属内に残存したもの。

2.工場における調査結果
   当該ポンプ下部ケーシングを工場に搬出し、漏えい箇所の金属内部の調査を行うため、外表面から段階的に研削しながら、外観観察、浸透探傷試験を行った結果、表面から各層にわたって、丸みを帯びた製造時の内在欠陥(鋳巣欠陥)の様相を示す複数の欠陥が確認されました。
   また、欠陥は板厚方向にほぼ直線状に連続して存在していることが確認され、約23mm研削した時点で、点在する欠陥の一部が内面側に到達(貫通)しました。

3.原 因
   鋳造製品である当該ケーシングの製造過程で発生した内在欠陥(鋳巣欠陥)が、板厚方向にほぼ直線状に連続的に存在していましたが、その後の当該ポンプの運転に伴う内圧等により、内在欠陥がつながって貫通欠陥に至り、漏えいが発生したものと推定されました。

4.対 策
   当該漏えい箇所については、工場にて内在欠陥(鋳巣欠陥)を除去し、溶接補修を実施します。補修後、再び発電所に搬入してポンプ組み立てを行った後、ポンプの耐圧試験、試運転により健全性を確認したうえで、原子炉起動を行う予定です。(今後2週間程度要する見込み)

以 上

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