A-湿分分離加熱器の加熱管の渦流探傷検査(以下ECT)を実施したところ、加熱管1本(アドレス:1列-No22)のU曲げ付近の第13管支持板部(最終管支持板)に貫通信号が認められたことから、カメラを当該加熱管に挿入し状況を確認したところ、同部位で加熱管が分離(破断)していることを確認しました。
加熱管の分離部をカメラで観察した結果、破面は周方向で概ね直線的であり分離距離は約5mmで、管の外側についているフィン※1の跡が見られた。同種事例を調査したところ、加熱蒸気量のばらつきにより出入口温度差が大きい加熱管での熱伸び時にフィンが管支持板に引っかかり、拘束力が発生することが考えられました。
また、疲労試験結果※2から、加熱管が管支持板部で引っかかっていた場合には、運転開始からこれまでのプラント起動、停止回数で疲労損傷する可能性があることが判明しました。なお、運転パラメータでは平成17年3月頃から当該加熱器の蒸気流量等に若干の変化が認められましたが、その変化量は非常に小さいものであり分離した時期の特定には至りませんでした。
以上のことから、当該加熱管フィンがプラントの運転に伴う加熱管の熱伸びにより第13管支持板部に引っかかり、プラントの起動・停止時に繰り返し応力が作用したことで、疲労き裂が発生し分離(破断)したものと推定されました。
対策として、貫通信号が認められた加熱管1本については、振れ止め防止用の補強棒を挿入した後、施栓を実施しました。
また、ECTの結果、判定基準(10%の減肉)を超えた66本については施栓を実施しました。更に、予防保全として、ECT波形の評価により曲がり傾向が認められた17本についても施栓を実施しました。
次回定期検査以降、ECTおよび漏えい検査を毎定期検査で実施することとします。
本事象による環境への影響はありません。
※1 |
フィン:加熱管の熱交換をよくするため、加熱管の円周方向に取り付けられている円形状の放熱板。 |
※2 |
疲労試験結果:実機相当材による疲労試験で得られた曲線を基に、加熱管の疲労強度を求めたもの。 |
以 上 |