プレスリリース
2005
2005年7月29日
関西電力株式会社
大飯発電所3号機の原子炉起動および調整運転の開始について
1. | 保全対策について |
(1)原子炉容器管台溶接部等の応力腐食割れに係る点検 | (図-1参照) |
国内外PWRプラントにおいて、600系ニッケル基合金を用いた原子炉容器上部ふた管台や1次冷却材系統の溶接部で応力腐食割れが発生した事例に鑑み、以下の点検等を実施し、異常のないことを確認しました。 |
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原子炉容器上部ふた管台の点検等 原子炉容器上部ふた管台全数(70本)について、上部ふた表面の外観目視点検を実施し、異常がないことを確認しました。 なお、前回定期検査時に、溶接部の応力腐食割れにより1次冷却水の漏えいが認められた制御棒駆動装置取付管台(No.47)、および上部ふた外周部に位置し、当該管台(No.47)と同様な溶接形状である温度計取付管台(No.69)について、知見拡充の観点から、超音波探傷試験などを実施し、異常のないことを確認しました。 |
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1次冷却材系統管台溶接部等の点検 溶接箇所に600系ニッケル基合金が使用されている原子炉容器冷却材出入口管台および蒸気発生器出入口管台について、外観目視点検や超音波探傷検査を実施し、異常がないことを確認しました。 |
(2)高サイクル熱疲労割れに係る点検 | (図-2参照) |
国内PWRプラントにおいて、再生熱交換器の胴側出口配管部で、高温水と低温水の混合により発生する温度ゆらぎを主な要因とする高サイクル熱疲労割れが発生した事例に鑑み、同様の熱疲労割れが発生する可能性のある余熱除去クーラバイパスライン接続部(A系1箇所、B系2箇所、計3箇所)について、超音波探傷検査を実施しました。 その結果、B系の1箇所で溶接施工時の溶け込み不足による信号指示が認められたため、健全性には問題ありませんでしたが、当該溶接部を含む配管を取り替えました。 |
(3)2次系配管の点検等 | (図-3参照) |
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美浜発電所3号機事故を踏まえ、1,392箇所(超音波検査1,372箇所、目視点検のみ20箇所)について超音波検査(肉厚測定)等を実施しました。 その結果、全て計算必要厚さを満足しており、余寿命評価においても、次回定期検査までに計算必要厚さを下回る可能性があると評価された部位は認められませんでした。 |
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過去の点検結果から減肉傾向の見られる部位など、61箇所について当初計画通り炭素鋼から耐食性に優れたステンレス鋼、または低合金鋼の配管に取り替えました。 |
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今後の保守性を考慮して、外径約2インチ(約5cm)以下の小口径配管229箇所について、炭素鋼から耐食性に優れたステンレス鋼の配管に取り替えました。 |
※ | 大飯発電所3号機の第11回定期検査開始時の計画では、2次系配管892箇所について肉厚測定を実施する計画でしたが下記について計画を見直し、1,372箇所について超音波検査を実施した。 |
・ | スケルトン図と現場との照合結果の反映等・・・・・・・・・・・・ 32箇所削減 |
・ | 定期検査開始以降に他プラントで減肉が確認された配管の水平展開・・・ 131箇所追加 |
・ | 配管内面からの目視点検により減肉が認められた高圧排気管の直管部・・ 27箇所追加 |
・ | 配管取替・点検箇所見直し・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 354箇所追加 |
(4)中央制御室への蒸気流入に係る点検 | (図-4参照) |
美浜発電所3号機事故において、中央制御室につながるケーブルトレイおよび電線管の壁貫通部等のシール施工が不適切であったため、中央制御室への蒸気浸入が認められたことを踏まえ、中央制御室貫通部等160箇所のシール施工状況を点検し、不適切な箇所86箇所を含む113箇所について補修を実施しました。 |
2. | 蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査(ECT) |
4台ある蒸気発生器のうち、BおよびD-蒸気発生器伝熱管(計6,764本: 3,382本×2台)について、健全性を確認するため渦流探傷検査(ECT)を実施した結果、有意な信号は認められませんでした。 |
3. | 燃料集合体の取り替え |
燃料集合体全数193体のうち、77体(うち64体は新燃料集合体)を取り替えました。 なお、新燃料集合体64体のうち、20体は集合体最高燃焼度 55,000MWd/tの高燃焼度燃料です。 また、燃料集合体の外観検査(9体)を実施した結果、異常は認められませんでした。 |
4. | 次回定期検査の予定 |
平成18年秋頃 |
以 上