プレスリリース
2005
2005年7月15日
関西電力株式会社
高浜発電所3号機の原子炉起動および調整運転の開始について
1. | 主要な工事について |
2次系熱交換器他取替工事 | (図-1参照) |
2次系給水系統の水質向上対策として、低圧給水加熱器などの伝熱管を、銅合金から耐食性に優れたステンレス製に取り替えました。これにより蒸気発生器への不純物の持ち込み低減を図ります。 |
2. | 今定期検査中に実施する保全対策について |
(1)原子炉容器管台溶接部等の応力腐食割れに係る点検 | (図-2参照) |
国内外PWRプラントにおいて、600系ニッケル基合金を用いた原子炉容器上部ふた管台や1次冷却材系統の溶接部で応力腐食割れが発生した事例に鑑み、以下の点検等を行い、異常がないことを確認しました。 |
![]() |
原子炉容器上部ふた管台の点検等 原子炉容器上部ふた管台全数(66本)について、上部ふた表面の外観目視点検を実施し、異常がないことを確認しました。 また、大飯発電所3号機の原子炉容器上部ふた制御棒駆動装置取付管台からの漏えい事象を踏まえ、原子炉容器上部ふた管台からの漏えいを早期に検知するため、漏えい監視装置を設置しました。 |
![]() |
1次冷却材系統管台溶接部等の点検 溶接箇所に600系ニッケル基合金が使用されている原子炉容器冷却材入口管台、加圧器スプレ管台、蒸気発生器出口管台等について、外観目視点検や超音波探傷検査を実施し、異常がないことを確認しました。 |
(2)高サイクル熱疲労割れに係る点検 | (図-3参照) |
国内PWRプラントにおいて、再生熱交換器の胴側出口配管部で、高温水と低温水の混合により発生する温度ゆらぎを主な要因とする高サイクル熱疲労割れが発生した事例に鑑み、同様の熱疲労割れが発生する可能性のある余熱除去クーラバイパスライン接続部について、超音波探傷検査を実施し、異常がないことを確認しました。 |
(3) 2次系配管の点検等 | (図-4参照) |
![]() |
美浜発電所3号機事故を踏まえ、2次系配管1,272箇所について超音波検査(肉厚測定)を実施しました。
その結果、計算必要厚さを下回っている箇所が1箇所確認され、さらに余寿命評価の結果、2箇所について次回定期検査までに計算必要厚さを下回る可能性があると評価されました。 この計3箇所については、炭素鋼から耐食性に優れたステンレス鋼に取り替えました。 |
※ | 高浜発電所3号機の第16回定期検査開始時の計画では、2次系配管1,197箇所について肉厚測定を実施する計画でしたが、下記の計75箇所について追加で肉厚測定を実施しました。 |
・スケルトン図と現場との照合結果の反映・・・・・・・・・・・・・・・16箇所 |
・定期検査開始以降に他プラントで減肉が確認された配管の水平展開・・・41箇所 |
・配管内面からの目視点検により減肉が認められた高圧排気管の直管部・・18箇所 |
![]() |
過去の点検結果から減肉傾向の見られる部位など、35箇所について当初計画通り炭素鋼から耐食性に優れたステンレス鋼や低合金鋼の配管に取り替えました。 |
(4)中央制御室への蒸気流入に係る点検 | (図-5参照) |
美浜発電所3号機事故において、中央制御室につながるケーブルトレイおよび電線管の壁貫通部等のシール施工が不適切であったため、中央制御室への蒸気浸入が認められたことを踏まえ、中央制御室貫通部等436箇所のシール施工状況を点検し、不適切な箇所114箇所を含む261箇所について補修を実施しました。 |
3. | 定期検査中に確認された異常事象 |
可動小型中性子束検出器の所在不明について | (図-6参照) |
平成17年6月24日に、3号機用可動小型中性子束検出器(核燃料物質)について法令に基づく実在庫確認(年1回)を実施したところ、検出器1個が所定の保管庫(鍵付きロッカー)に保管されていないことが判明しました。 このため、管理区域内を調査しましたが、当該検出器は発見できませんでした。 また、前回の実在庫確認(平成16年7月)以降に発生した廃棄物(ドラム缶)について調査を実施していますが、現時点では当該検出器の発見に至っておらず、この調査には9月中旬頃までを要する見込みです。 所在不明に至った原因調査の結果、核燃料物質としての管理が不十分であったことが確認されたことからマニュアルを見直し核燃料物質の管理の強化を図るとともに、関係者に核燃料物質の管理の重要性を周知徹底しました。 |
本日、美浜、高浜、大飯発電所において、若狭支社長から核燃料物質の取り扱いの重要性など、再発防止対策の確実な実施について発電所員に周知徹底しました。 |
4.蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査(ECT) | (図-7参照) |
3台ある蒸気発生器の伝熱管全数(既施栓管を除く9,786本)について、渦流探傷検査(ECT)を実施した結果、異常は認められませんでした。 なお、高浜発電所3号機については 、前回定期検査から、検出性を向上させたマルチコイル型(インテリジェント)ECT検査装置を導入しております。 |
5. | 燃料集合体の取り替え |
燃料集合体全数157体のうち、73体(うち56体は新燃料集合体)を取り替えました。 また、燃料集合体の外観検査(20体)を実施した結果、異常は認められませんでした。 |
6. | 次回定期検査の予定 |
平成18年夏頃 |
以 上