プレスリリース
2005
2005年1月18日
関西電力株式会社
大飯発電所1号機の原子炉手動停止について
(加圧器安全弁出口温度上昇についての原因と対策)
大飯発電所1号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力117万5千キロワット、定格熱出力342万3千キロワット)は、定格熱出力一定運転中の平成17年1月9日23時40分頃に、3台ある加圧器安全弁※1 のうち、1台(C-加圧器安全弁)の出口温度が、通常範囲(~約70℃程度)を超え、上昇する傾向を示していることが認められたため、監視強化を行っていたところ、1月10日1時11分に「加圧器安全弁出口温度高」警報(設定値91.1℃)が発信しました。C-加圧器安全弁の出口温度は、最大約107℃(同日11時頃)まで上昇しましたが、同日11時頃から下降し、12時43分に警報はリセットされ、18時頃には通常範囲内に戻りました。
その後、監視強化を継続していましたが、再度、温度が通常範囲を超えて緩やかな上昇傾向にあったことから、加圧器安全弁シート部から加圧器逃がしタンクへの流入が継続しているものと考えられるため、ただちに運転に支障のあるものではありませんでしたが、原子炉を計画的に停止して点検を行うこととしました。準備を整え、13日17時55分から出力降下を開始し、14日01時00分に発電を停止し点検を行うこととしました。
なお、本事象による環境への影響はありませんでした。
※1: | 加圧器安全弁 加圧器と加圧器逃がしタンクとの間には、加圧器圧力が約16MPa以上になった際に開放し、加圧器逃がしタンクに圧力を逃がす「加圧器逃がし弁」2台と、そのバックアップとして、約17MPa以上になった際に自動的に開放される「加圧器安全弁」3台がある。 |
〔平成17年1月11日、12日 お知らせ済み〕
C-加圧器安全弁を取り外し、点検を実施した結果は以下のとおりです。
1. 調査結果
(1) 漏えい調査
当該弁を分解する前に漏えい確認を実施したところ、定期検査時に確認している圧力(15.51MPa)に達するまでに漏えいを確認しました。
(2) 弁取付状態確認、外観点検
弁の取り付け状態に異常は認められませんでした。また、分解点検を実施した結果、弁棒、弁体等の各部品の組み込み状況に異常は認められませんでした。
また、弁棒、バネ等、弁構成品各部に変形、焼付及び腐食等の異常は認められませんでしたが、弁体シート面および弁座のシート面の一部に漏えい跡が確認されました。
(3) 浸透探傷検査(PT)
シート面を浸透探傷検査(PT)した結果、浸透指示模様は認められませんでした。
(4)異物混入可能性調査
分解点検等でシート面の漏れ跡以外に異常が認められなかったことから、シート面に異物がかみ込んだ可能性は否定できないと判断されたため、異物混入の可能性について調査を行いました。
当該弁は、毎定期検査時に分解点検と機能検査※2 を行っているが、分解点検後の弁組立て作業については、クリーンハウス内で行うなど徹底した異物管理を行っていることから、組立て時の異物混入の可能性は低いと考えられました。
しかし、組立て後に行う機能検査(吹出し検査)については、検査装置内のフィルタ※3 下流部からシート面上流側までの間(弁座内面および検査装置内のフィルタ、プラグ※4 に異物が付着していた場合に、シート面への異物混入の可能性があることが判りました。
2. 推定原因
当該弁の各部品のはめ込み状態等に異常はなかったが、漏えい検査により漏えいが確認されるとともにシート面の一部に漏えい跡が確認されたことから、原因は、シート面に異物が付着したため微少な漏えいが発生し、当該弁の出口温度が上昇したものと推定されました。
なお、異物がシート面に付着した原因については、前回定期検査で実施した当該弁の機能検査において、当該弁が開動作した際、弁座内面や検査装置テスト架台のフィルタおよびプラグに付着していた異物が、弁体と弁座が接するシート面に付着したものと推定されました。
※ 2: | 加圧器安全弁が設定どおりの圧力で動作すること、また、漏えいがないことを確認する検査。 検査では、弁組立て後に、弁シート部を窒素ガスで加圧し弁の動作および漏えいを確認する。 |
※ 3: | 検査装置から加圧器安全弁に窒素を供給する系統に設置された、異物を取り除くためのフィルタ。 |
※ 4: | フィルタを押さえている部品。 |
3. 対策
(1) 当該弁の弁体シート面及び弁座シート面の手入れを行い、復旧することとします。
(2) 加圧器安全弁機能検査前には、必ず検査装置のフィルタの取替並びにプラグの清掃を実施することを作業手順書へ反映します。
今後、当該弁の組立て後、漏えい確認、設定圧力確認を実施し、当該弁の健全性を確認した上で、1月21日に原子炉を起動し、翌22日には発電を再開する予定です。
以 上