プレスリリース
2005
2005年1月11日
関西電力株式会社
大飯発電所3号機の原子炉起動および調整運転の開始について
1.保全対策について
国内外PWRプラントにおいて、600系ニッケル基合金を用いた1次冷却材系統の溶接部で応力腐食割れが発生した事例に鑑み、溶接箇所に600系ニッケル基合金が使用されている原子炉容器冷却材出入口管台、原子炉容器炉内計装筒管台、蒸気発生器冷却材出入口管台や加圧器逃し弁管台等について、外観目視点検や超音波探傷検査を実施しました。
その結果、原子炉容器上部ふた管台の1箇所を除いて漏えい等の異常は認められませんでした。
国内PWRプラントにおいて、再生熱交換器の胴側出口配管部で、高温水と低温水の混合により発生する温度ゆらぎを主な要因とする高サイクル熱疲労割れが発生した事例に鑑み、同様の熱疲労割れが発生する可能性のある余熱除去ポンプ入口ミニマムフローライン接続部等について、超音波探傷検査を実施し、健全性を確認しました。
美浜発電所3号機2次系配管破損事故を踏まえ、2次系配管の1,018箇所について超音波検査(肉厚測定)を実施しました。
その結果、今回検査を実施した部位については、全て、計算必要厚さを満足していることを確認しました。
また、余寿命を評価した結果、次回定期検査時点で余寿命が5年を下回ると評価された部位が12箇所あり、現時点での余寿命は最も短いもので、3.4年と評価されました。これらの部位については、次回定期検査において、肉厚測定または配管の取り替えを実施します。
3.定期検査中に確認された異常事象
原子炉容器上部ふた管台全数(70箇所)の外観目視点検の結果、制御棒駆動装置取付管台(No.47)の1箇所で漏えいが確認され、調査の結果、原因は管台溶接部での応力腐食割れによるものと推定しました。その他の69箇所については漏えい等の異常は認められませんでした。
対策として、当該管台溶接部について、耐食性に優れた690系ニッケル基合金を用いて、溶接内表面全面の溶接補修を実施しました。
また、長期的な信頼性確保および保守性の観点から、次々回定期検査時に、管台部に耐食性に優れた690系ニッケル基合金を用いた原子炉容器上部ふたに取り替えることとします。
なお、原子炉容器上部ふたの取り替えを行うまでの間、運転中において原子炉容器上部ふた管台部からの漏えいを早期に検知するため、漏えい監視装置を設置しました。
4.燃料集合体の検査結果
今定期検査前の運転中、1次冷却材中のよう素(I-131)の濃度が、通常値をわずかに上回っており、燃料集合体に漏えいが発生した疑いがあると判断したことから、今定期検査において、燃料集合体全数(193体)のシッピング検査* を実施しました。
その結果、1体の燃料集合体に漏えいが認められ、詳細な調査の結果、今回の漏えいは、当該燃料棒に偶発的に発生した微小孔(ピンホール)によるものと推定しました。なお、残り192体の燃料集合体には漏えいは認められませんでした。
今後、当該燃料集合体は再使用しないこととしました。
燃料集合体全数193体のうち、漏えい燃料1体を含む81体(うち28体は新燃料集合体)を取り替えました。
また、燃料集合体の外観検査(14体)を実施した結果、異常は認められませんでした。
(1)原子炉容器管台溶接部等の応力腐食割れに係る点検 |
その結果、原子炉容器上部ふた管台の1箇所を除いて漏えい等の異常は認められませんでした。
(2)高サイクル熱疲労割れに係る点検 |
(3)2次系配管の肉厚検査 |
その結果、今回検査を実施した部位については、全て、計算必要厚さを満足していることを確認しました。
また、余寿命を評価した結果、次回定期検査時点で余寿命が5年を下回ると評価された部位が12箇所あり、現時点での余寿命は最も短いもので、3.4年と評価されました。これらの部位については、次回定期検査において、肉厚測定または配管の取り替えを実施します。
2.蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査(ECT)の結果
4台ある蒸気発生器のうち、AおよびC-蒸気発生器伝熱管(計6,764本: 3,382本×2台)について、健全性を確認するため渦流探傷検査(ECT)を実施した結果、有意な信号は認められませんでした。
3.定期検査中に確認された異常事象
原子炉容器上部ふた制御棒駆動装置取付管台からの漏えいについて |
対策として、当該管台溶接部について、耐食性に優れた690系ニッケル基合金を用いて、溶接内表面全面の溶接補修を実施しました。
また、長期的な信頼性確保および保守性の観点から、次々回定期検査時に、管台部に耐食性に優れた690系ニッケル基合金を用いた原子炉容器上部ふたに取り替えることとします。
なお、原子炉容器上部ふたの取り替えを行うまでの間、運転中において原子炉容器上部ふた管台部からの漏えいを早期に検知するため、漏えい監視装置を設置しました。
(平成16年5月6日、7月9日、10月19日 お知らせ済) |
4.燃料集合体の検査結果
(1)燃料集合体漏えいの疑いに伴う燃料集合体検査 |
その結果、1体の燃料集合体に漏えいが認められ、詳細な調査の結果、今回の漏えいは、当該燃料棒に偶発的に発生した微小孔(ピンホール)によるものと推定しました。なお、残り192体の燃料集合体には漏えいは認められませんでした。
今後、当該燃料集合体は再使用しないこととしました。
*シッピング検査: | 漏えい燃料集合体から漏れ出てくる核分裂生成物(キセノン133)を検出し、バックグランドと比較することにより、漏えい燃料集合体かどうか判断する検査。 |
(平成16年3月16日、4月15日、5月12日お知らせ済) |
(2)燃料集合体の取り替え |
また、燃料集合体の外観検査(14体)を実施した結果、異常は認められませんでした。
5.次回定期検査の予定
平成17年夏頃
以 上