プレスリリース
2004
2004年11月1日
大飯発電所4号機の原子炉起動および調整運転の開始について
- 1.保全対策について
(1)原子炉容器管台溶接部等の応力腐食割れに係る点検(図-1参照) - 国内外PWRプラントにおいて、600系ニッケル基合金を用いた原子炉容器上部ふた管台や1次冷却材系統の溶接部で応力腐食割れが発生した事例に鑑み、以下の点検を行いました。
原子炉容器上部ふた管台の点検
原子炉容器上部ふた管台全数(70本)について、上部ふた表面の外観目視点検を実施し、漏えいのないことを確認しました。
なお、大飯発電所3号機の原子炉容器上部ふた制御棒駆動装置取付管台からの漏えい事象を踏まえ、原子炉容器上部ふた管台からの漏えいを早期に検知するため、漏えい監視装置を設置しました。
1次冷却材系統管台溶接部等の点検
溶接箇所に600系ニッケル基合金が使用されている原子炉容器冷却材出入口管台、蒸気発生器冷却材出入口管台、加圧器逃がし弁管台等について、外観目視点検や超音波探傷検査を実施し、異常のないことを確認しました。 - (2)高サイクル熱疲労割れに係る点検(図-2参照)
- 国内PWRプラントにおいて、再生熱交換器の胴側出口配管部で、高温水と低温水の混合により発生する温度ゆらぎを主な要因とする高サイクル熱疲労割れが発生した事例に鑑み、同様の熱疲労割れが発生する可能性のある余熱除去ポンプ入口ミニマムフローライン接続部などについて、超音波探傷検査を実施し、健全性を確認しました。
- (3)2次系配管の肉厚検査(図-3参照)
- 2次系配管については、当初283箇所の点検を計画していましたが、美浜発電所3号機2次系配管破損事故を踏まえ、805箇所を追加し、合計1,088箇所について、点検(肉厚測定)を実施しました。
その結果、計算必要厚さを下回る部位が1箇所確認されたことから、当該配管を同材料・同寸法の配管に取り替えました。なお、この1箇所以外の部位については、全て計算必要厚さを満足していることを確認しました。
また、余寿命を評価した結果、次回定期検査で余寿命が5年を下回ると評価された部位は12箇所あり、現時点での余寿命は最も短いもので、3.1年と評価されました。
これらの部位については、次回定期検査において、点検または配管の取り替えを実施する予定です。
※: 大飯発電所4号機は8月13日〜9月5日の間、プラントを停止(第1グループ)し、2次系配管47箇所の超音波検査(肉厚測定)を実施し、健全性を確認しています。 - 3.蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査(ECT)の結果
- 4台ある蒸気発生器のうち、AおよびC-蒸気発生器伝熱管(計6,764本: 3,382本×2台)について、健全性を確認するため、渦流探傷検査(ECT)を実施した結果、有意な信号は認められませんでした。
- 4.燃料集合体の検査結果
- 燃料集合体(29体)について外観検査を実施した結果、異常は認められませんでした。
また、燃料集合体全数193体のうち97体(うち68体は新燃料集合体)を取り替えました。
なお、新燃料集合体68体のうち、52体は集合体最高燃焼度 55,000MWd/tの高燃焼度燃料です。 - 5.次回定期検査の予定
- 平成17年度冬頃
以 上