プレスリリース
2004
2004年8月13日
美浜発電所3号機における2次系配管破損事故について(第8報)(法令に基づく定期検査の開始について)
1.主要な工事等について
- (1)原子炉容器供用期間中検査
- 原子炉容器の供用期間中検査として、原子炉容器の溶接部等について、計画的に超音波による探傷検査を行い、健全性を確認します。
- (2)炉内計装筒管台予防保全対策工事(図-1参照)
- 炉内計装筒管台の1次系水質環境下における応力腐食割れに対する予防保全対策として、金属表面の引張り残留応力を圧縮応力に変えるため、炉内計装筒管台の内表面にウォータージェットピーニング*1を施工します。
*1: ウォータージェットピーニング 金属表面に気泡を含んだ高圧ジェット水を吹き付けることにより、金属表面を塑性変化が生じ、表面にある引張り残留応力を圧縮応力に変えるものである。
- (3)再生熱交換器連絡管取替工事(図-2参照)
- 国内PWRプラントにおいて、再生熱交換器の連絡配管エルボ部及び胴体内面の割れによる1次冷却材漏えい事象に鑑み、第18回定期検査(平成12年)に、再生熱交換器連絡管について超音波探傷検査(UT)を実施した結果、連絡管の3本に製作時の加工痕・へこみ等によるものと推定される信号指示が認められました。
これらについては、定期検査毎に各種検査により進展性がないことを確認していましたが、その検査にかかる作業量、作業員の被ばく量等を考慮して当該連絡管を同仕様のものに取り替えます。 - (4)原子炉冷却系統設備小口径配管他取替工事(図-3参照)
- 海外における原子炉冷却系統設備の酸素型応力腐食割れ*2による損傷事象等に鑑み、将来的な健全性維持を図るという予防保全の観点から、原子炉冷却系統設備のうち、化学体積制御系統等の配管の一部について、耐腐食性の優れた材質の配管に取り替えるとともに、ソケット溶接継手から、突き合わせ溶接継手に変更します。
また、作業性を考慮し弁についても併せて取り替えます。
*2: 酸素型応力腐食割れ 溶接等の熱影響により鋭敏化(耐食性が低下)した配管に、高応力および高温、高溶存酸素濃度の水質条件下で割れが発生する事象である。
- (5)1次系小口径配管継手部取替工事(図-4参照)
- 信頼性向上の観点から、トラブル時に通水される安全注入系統のうち、母管と共振する可能性のある小口径分岐配管の継手形状を、応力の集中を受けやすいソケット溶接から、応力を低減できる突き合わせ溶接に変更するとともに、作業性を考慮し弁について併せて取り替えます。また、隣接する配管の継手部についても突き合わせ溶接に変更します。
- (6)主蒸気、主給水管ベローズ他取替工事(図-5参照)
- 前回の定期検査において、主蒸気、主給水管ベローズの外表面に軽微な錆が確認され、手入れにより錆を除去し、健全性を確認しているが、今後の保全に万全を期す観点から、当該ベローズなどを取り替えます。
- (7)発電機負荷開閉装置設置工事(図-6参照)
- 所内電源の信頼性向上の観点から、発電機と主変圧器の間に、発電機負荷開閉装置を設置するとともに、所内変圧器から非常用所内母線への電源供給ラインおよびしゃ断器を設置します。
- (8)復水器および2次系熱交換器他取替工事(図-7参照)
- 2次系給水系統の水質向上対策として、復水器伝熱管管群については、銅合金から海水耐食性に優れたチタン製に取り替えます。また、給水加熱器などの伝熱管を、銅合金から耐食性に優れたステンレス製に取り替えます。これにより、海水漏えいの未然防止や、蒸気発生器への不純物持ち込み低減を図ります。
- 2.保全対策について
- (1)原子炉容器管台溶接部等の応力腐食割れに係る点検(図-8参照)
国内外PWRプラントにおいて、600系ニッケル基合金を用いた1次冷却材系統の溶接部で応力腐食割れが発生した事例に鑑み、溶接箇所に600系ニッケル基合金が使用されている原子炉容器冷却材出入口管台、加圧器サージ管台等について、外観目視点検や超音波探傷検査を実施し、漏えいの有無を確認します。
(2)高サイクル熱疲労割れに係る点検(図-9参照)
国内PWRプラントにおいて、再生熱交換器の胴側出口配管部で、高温水と低温水の混合により発生する温度ゆらぎを主な要因とする高サイクル熱疲労割れが発生した事例に鑑み、同様の熱疲労割れが発生する可能性のある余熱除去ポンプ入口ミニマムフローライン接続部等について、超音波探傷検査を実施します。
(3)余熱除去系統他配管の点検
国内PWRプラントにおいて、ステンレス配管に貼り付けられた塩化ビニールテープが原因で応力腐食割れが発生した事例に鑑み、余熱除去系統や化学体積制御系統等の配管について、配管外表面の点検を行い、塩化ビニールテープの貼り付け跡が認められた箇所については、浸透探傷検査を実施します。
(4)主蒸気・主給水配管の検査(図-10参照)
大飯発電所1号機において、2次系主給水配管の主給水隔離弁下流の配管曲がり部で、水流の乱れに起因するエロージョン・コロージョンによる減肉が進展した事象に鑑み、今定期検査より、定期事業者検査として、主給水隔離弁から蒸気発生器入口までの配管および蒸気発生器出口から主蒸気隔離弁までの配管について、計画的に肉厚測定を実施します。 - 3.「2次系配管破損事故」に伴う2次系配管の調査等
- 破口配管に関する調査を実施していくと共に、原因の特定を行い、再発防止の措置を行なっていきます。
- 4.燃料集合体の取替え
- 燃料集合体全数157体のうち64体を取り替える予定です。
(取替用燃料集合体のうち52体は新燃料集合体。) - 5.今後の予定
- 「2次系配管破損事故」に伴う原子炉自動停止の調査中であり、現在、今後の工程は未定です。
以 上