プレスリリース

2004年6月14日

高浜発電所1号機の原子炉起動および調整運転の開始について

1.主要な工事等について
(1)炉内計装筒管台予防保全対策工事(管台内表面加工手入れ)(図-1参照
 前回の定期検査(第21回)における渦流探傷検査(ECT)にて、微小な信号指示が認められた炉内計装筒管台1本(No.48)について、念のため管台内表面の加工手入れ(切削)を行いました。    
 なお、手入れ前後にはECTを実施し、前回の定期検査で確認された指示に変化がないことおよび、手入れ後には指示のないことを確認しました。 また、1次系水質環境下における応力腐食割れに対する予防保全対策として、金属表面の引張り残留応力を圧縮応力に変えるため、炉内計装筒管台の内表面手入れ後にウォータージェットピーニング*1を施工しました。
*1: ウォータージェットピーニング
水中にて金属表面に高圧ジェット水の噴霧により生じるキャビテーション気泡崩壊による衝撃圧を利用して、金属表面を塑性変化させ、金属表面の引張り残留応力を圧縮応力に変えるものである。

(2)燃料取替用水タンク取替工事(図-2参照
 屋外に設置されている燃料取替用水タンク(ステンレス製)については、建設当初に外面塗装を施していなかったため、海塩粒子の付着による塩素型応力腐食割れの発生が考えられることから、長期保全対策として、応力腐食割れに強いステンレス製で、海塩粒子の影響を受けないよう、工場にて外面塗装を施した燃料取替用水タンクに取り替えました。
 
(3)主変圧器取替工事(図-3参照)    
 主変圧器のコイル絶縁性能が経年劣化の傾向にあるため、予防保全対策として主変圧器を取り替えました。
 
(4)2次系熱交換器他取替工事(図-4参照)     
 2次系給水系統の水質向上対策として、低圧給水加熱器等の伝熱管を、銅合金製から耐食性に優れたステンレス製に取り替えました。これにより、蒸気発生器への不純物持ち込み低減を図ります。
 
(5)1次系電動弁取替工事
 保守性向上の観点より、化学体積制御系統主要弁1台および余熱除去系統主要弁2台を輸入弁から部品調達が容易となる国産弁へ取り替えました。
 
(6)廃樹脂貯蔵室プロセスモニタ検出器取替工事
 保守性向上の観点より、廃樹脂貯蔵室プロセスモニタ検出器*21台をGM管検出器*3から、部品調達が容易で現検出器と同等の性能を有するプラスチックシンチレーション検出器*4に取り替えました。
*2: プロセスモニタ検出器 発電所の各系統の流体(水、ガス等)から放出される放射線を測定し、放射性物質の漏えいを検知する検出器。
*3: GM管 ガラス管の中心部と側面に電極を設けガスを封入したものであり、電極に高電圧を印加して使用する。管内に入射した放射線によりガスが電離され、外部へ電気信号を発信する。
*4: プラスチックシンチレーション検出器 放射線がシンチレータ(プラスチック)に入射すると、相互作用によって微弱な光を発する。発生した光を光電子増倍管にて光から光電子へ変換および光電子を増加させ、外部へ電気信号を発信する。
 
 
2.保全対策について
(1)原子炉容器管台溶接部等の応力腐食割れに係る点検(図-5参照
 国内外PWRプラントにおいて、600系ニッケル基合金を用いた1次冷却材系統の溶接部で応力腐食割れが発生した事例に鑑み、溶接箇所に600系ニッケル基合金が使用されている原子炉容器冷却材出口管台および加圧器サージ管台等について、漏えいの有無を確認するため外観目視点検を実施するとともに、加圧器サージ管台については、超音波探傷検査を実施し、異常がないことを確認しました。
 
(2)高サイクル熱疲労割れに係る点検(図-6参照)     
 国内PWRプラントにおいて、再生熱交換器の胴側出口配管部で、高温水と低温水の混合により発生する温度ゆらぎを主な要因とする高サイクル熱疲労割れが発生した事例に鑑み、同様の熱疲労割れが発生する可能性のある余熱除去ポンプ入口ミニマムフローライン接続部などについて、超音波探傷検査を実施し、異常がないことを確認しました。
 
(3)海塩粒子による応力腐食割れに係る点検     
 国内プラントにおいて、ステンレス配管に海塩粒子が付着し、応力腐食割れが発生した事例に鑑み、海塩粒子が付着しやすい場所にあるステンレス配管について、目視点検および配管表面の塩分量測定を実施し、異常がないことを確認しました。
 
 
3.蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査(ECT)の結果
3台ある蒸気発生器のうち、B-蒸気発生器伝熱管(3,382本)について、健全性を確認するため、渦流探傷検査(ECT)を実施した結果、有意な信号は認められませんでした。
 
 
4.燃料集合体の取替え
燃料集合体(20体)について外観検査を実施した結果、異常は認められませんでした。 また、燃料集合体全数157体のうち69体(うち56体は新燃料集合体)を取り替えました。
 
 
5.次回定期検査の予定
平成17年夏頃  
以 上  
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