プレスリリース

2004年5月12日

大飯発電所3号機の定期検査状況について(燃料集合体漏えい検査結果)

 大飯発電所3号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力118万キロワット、定格熱出力342万3千キロワット)は、平成16年4月20日から第10回定期検査を実施しております。
 定格熱出力一定運転中の平成16年2月25日、定例の1次冷却材中よう素濃度(I131)のサンプリング分析(3回/週)を行った結果、通常値(0.6Bq/cm)をわずかに上回る値(0.98Bq/cm)が確認されました。  
 その後、1次冷却材中の放射能濃度測定頻度を増加して監視を強化していましたが、その濃度はほぼ一定の値で推移しているものの通常値を上回るレベルであったことから、3月2日、燃料集合体に漏えいが発生した疑いがあるものと判断しました。      
 なお、よう素濃度(I131)は運転上の制限値(40,000Bq/cm)に比べ十分低いもので、発電所の運転および安全上問題はありません。(3月16日、4月15日お知らせ済み)  

 このため、今定期検査において漏えい燃料集合体を特定するため、燃料集合体全数(193体)について燃料集合体シッピング検査(※1)を行いました。
 検査内容及び結果は以下のとおりです。

  (※1) シッピング検査
漏えい燃料集合体から漏れ出てくる核分裂生成物(キセノン133)を検出し、バックグランドと比較することにより、漏えい燃料集合体かどうか判断する。

(1) 燃料集合体シッピング検査結果
  燃料集合体全数(193体)について、シッピング検査を実施したところ、1体の燃料集合体に漏えいが認められました。
(2) 燃料集合体外観検査結果
  漏えいが認められた燃料集合体について、水中カメラによる外観検査を実施したところ、特に異常は認められませんでした。
   
   また、超音波による漏えい燃料棒の特定(※2)を行った結果、燃料棒1本に漏えいが認められました。なお、当該燃料棒についてファイバースコープにより詳細な観察を行った結果、漏えいの原因となるような有意な傷等は認められませんでしたが、被覆管表面3箇所で局所的に、ごくわずかな膨れが確認されました。この膨れは、漏えい発生後に燃料棒内部に浸入した水により、被覆管内面の局所水素化(※3)が生じたものと考えられます。
 
(※2) 超音波による漏えい燃料棒の特定:漏えいが発生した燃料棒の内部には水か浸入しているため、超音波が燃料被覆管を伝播する際の減衰を検出することで、燃料棒内部の水の有無を判断し、漏えい燃料棒を特定する。
(※3) 局所水素化:漏えい発生後、燃料棒内に浸入した水が放射線で分解されて生じた水素が、被覆管内表面に局所的に吸収されて水素化物を形成し、被覆管が膨れる事象。

 これらのことから、燃料集合体の漏えいは、当該燃料棒に、偶発的に微小孔(ピンホール)が発生したことによるものと推定されます。  
 今後、当該燃料集合体は使用しないこととし、健全な燃料集合体に取り替えます。  

 また、燃料集合体外観検査において、漏えい燃料集合体以外の3体の燃料集合体下部ノズル部に異物が確認されたことから、異物を回収し調査を行います。

以 上

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