プレスリリース

2004年3月29日
三菱マテリアル株式会社

低温作動固体酸化物形燃料電池(SOFC)の3kW級発電モジュールを開発~SOFCの大容量化へ向けて大きく前進~

 関西電力株式会社と三菱マテリアル株式会社は共同で、低温作動(※1)固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)の実用化に向けて様々な研究を行っていますが、中でもSOFCの大容量化は実用化に向けて不可欠な課題となっています。そこでこの度、SOFCを大容量化する上で基本となる、複数のスタック(発電反応を担うセルを積層したもの)を組み合わせる技術の確立に成功しました。この技術の確立により、SOFCは大容量化に向けて大きく前進したことになります。

(※1)作動温度800℃以下を指す。通常のSOFCは1000℃付近で作動する。

 この度確立した、複数のスタックを組み合わせる技術をもちいて、3つのスタックを組み合わせた「3kW級発電モジュール(発電機器を構成する最小単位)」を開発しました。この「3kW級発電モジュール」については、安定した運転を確認するとともに、55.3%(DC)(※2)という世界最高レベルの発電効率を達成したことも確認しました。           

(※2)発電効率は低位発熱量(LHV)を使用。

 また、平成15年12月に開発済みである(※3)「1kW級発電システム」においても、燃料の都市ガスから発電に必要な水素を取出す改質機能を改善することにより、1kW(AC)定格出力で前回実績(40%)を大きく上回る発電効率45.1%を達成しました。さらに、出力100Wの部分負荷で外部から熱の供給なしに運転を継続すること(熱自立)にも成功し、深夜等電力負荷の少ない時間帯でも連続して運転できることを確認し、起動や停止にともなう温度変化をなくすことによる電池の長寿命化や起動時間の短縮が期待できるようになるなど、実用化に向けて1歩ずつ前進しています。

 (※3)平成16年1月13日お知らせ済。

 SOFCは、PAFC(リン酸形燃料電池)やPEFC(固体高分子形燃料電池)といった他の形式の燃料電池に比べ、非常に発電効率が高い上、電気と熱を同時に供給するシステムとして実用化すれば、他のどの分散型電源よりランニングコストが安くつく電源として、既存のシステムに置き換わる可能性のある燃料電池です。今後は、「セル」や「モジュール」の更なる高性能化に取り組み、平成18年度末を目途に「数十kW級システム(中型店舗や小工場等向け)」の実用化・商品化に取り組む予定です。  

以 上

<参考資料>


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