プレスリリース
2004
2004年3月5日
高浜発電所3号機の原子炉起動および調整運転の開始について
- 主要な工事
原子炉補機冷却水冷却器伝熱管補修工事 (図-1参照)
設備の信頼性維持の観点より、4台ある原子炉補機冷却水冷却器の伝熱管(既施栓管を除く11,315本)について、渦流探傷検査(ECT)を行い、有意な信号指示(肉厚の50%以上)が認められた伝熱管について、施栓または同形状、同材質の新しい伝熱管に取り替えました。
また、既施栓伝熱管や40%以上の信号指示が確認された伝熱管についても、同形状、同材質の新しい伝熱管に取り替えました。
(注) 信号指示は、伝熱管内表面に付着した貝類等の海生物により、伝熱管内の流体の流 れが局所的に変化し、流速が過大となり、伝熱管内表面に減肉が生じたものであり、これまでの定期検査においても同様の減肉は確認されており、その都度、施栓や新管への取り替えを実施しています。
- 保全対策について
(1) 原子炉容器管台溶接部等の応力腐食割れに係る点検 (図-2参照) 国内外PWRプラントにおいて、600系ニッケル基合金を用いた1次冷却材系統の溶接部で応力腐食割れが発生した事例に鑑み、溶接箇所に600系ニッケル基合金が使用されている原子炉容器冷却材出口管台、原子炉容器底部の炉内計装筒管台、蒸気発生器冷却材入口管台や加圧器逃がし弁管台他について、外観目視点検や超音波探傷検査を実施し、異常のないことを確認しました。 (2) 高サイクル熱疲労割れに係る点検 (図-3参照) 国内PWRプラントにおいて、再生熱交換器の胴側出口配管部で、高温水と低温水の混合により発生する温度ゆらぎを主な要因とする高サイクル熱疲労割れが発生した事例に鑑み、同様の熱疲労割れが発生する可能性のある再生熱交換器の胴側出口配管部や余熱除去ポンプ入口ミニマムフローライン接続部等について、超音波探傷検査等を実施し、健全性を確認しました。 (3) 余熱除去系統他配管の点検工事 国内PWRプラントのステンレス配管に貼り付けられた塩化ビニールテープが原因で応力腐食割れが発生した事例に鑑み、余熱除去系統や化学体積制御系統等の配管について、配管外表面の点検を行った結果、21箇所に塩化ビニールテープの貼り付け跡が認められました。
塩化ビニールテープの貼り付け跡が認められた箇所について、浸透探傷検査(PT)を実施し、浸透指示模様のないことを確認しました。(4) 海塩粒子による応力腐食割れに係る点検国内プラントにおいて、ステンレス配管に海塩粒子が付着し、応力腐食割れが発生した事例に鑑み、海塩粒子が付着しやすい場所にあるステンレス配管7箇所について、目視点検および配管表面の塩分量測定を実施し、異常がないことを確認しました。
- 蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査(ECT) (図-4参照)
3台ある蒸気発生器の伝熱管全数(既施栓管を除く10,097本)について、健全性を確認するため検出精度を向上させたマルチコイル型(インテリジェント)ECTを導入し渦流探傷検査(ECT)を実施した結果、合計311本に判定基準を超える信号(有意な信号指示)が認められました。
有意な信号指示は、平成3年まで旧振止め金具が取り付けられていた位置に確認されました。
念のため、有意な信号指示が認められた伝熱管の抜管調査(1本)を行ったところ、伝熱管外表面の減肉であること、および減肉部に光沢が認められず摩耗の進展性がないことが確認されました。
また、これまでに採取したDF-ECT(従来型)データの履歴調査の結果からも、経年変化がないことを確認しました。
これらのことから、今回認められた有意な信号指示は、過去に発生した旧振止め金 具部伝熱管の摩耗減肉と推定され、マルチコイル型(インテリジェント)ECTにより検出精 度および深さ測定精度が向上したことから、有意な信号指示として311本検出された ものと推定されました。
対策として、有意な信号指示が認められた伝熱管については、施栓を実施しました。
[平成16年1月23日、30日 お知らせ済]
- 燃料集合体の検査結果
燃料集合体(27体)について外観検査を実施した結果、異常は認められませんでした。
また、燃料集合体全数157体のうち69体(うち56体は新燃料集合体)を取り替えました。
- 次回定期検査の予定
平成17年春頃
以 上
<参考資料>