プレスリリース

2004年2月2日

「超高性能空冷小型ターボヒートポンプ」の共同開発について~散水式空気熱交換器の採用により業界最高効率COP5.0を達成、本年6月より販売開始~


 三菱重工業株式会社と東京電力株式会社、中部電力株式会社、関西電力株式会社の4社は、このたび、ビル空調や工場空調等に使用する空冷ヒートポンプ分野において、業界最高効率のCOP(※1)5.0(冷房時)の「超高性能空冷小型ターボヒートポンプ(※2)(冷房能力175kW/暖房能力200kW)」(マイクロターボ Sシリーズ MTSH175)を共同開発いたしました。

 近年、テナントビルや工場などにおいては、機器の高効率化によるエネルギーコストの低減に加え、オゾン層を破壊しない冷媒の採用やCO2排出量を抑える地球環境に優しい省エネルギー製品の導入への意識が高まっています。
 今回の開発機は、三菱重工業が最新の加工技術により実現した小型かつ高性能なターボ圧縮機(※3)の採用に加えて、外気で冷却した水を空気熱交換器に散布することにより高い冷却効果を有する「散水式空気熱交換器」を採用することで、COP5.0(冷房時)という業界最高効率を達成することができました。さらに、インバータの標準装備により部分負荷時の高効率化も図り、大幅な省エネルギーとランニングコスト低減を実現しました。
 また、冷媒にはオゾン層を破壊しない地球環境に優しいHFC-134a(※4)を採用しております。  

 今回開発した製品の特長は、以下のとおりです。

  1. エネルギーコストを削減!
     業界最高効率のCOP5.0(冷房時)を達成し、部分負荷時や外気温度変化時の効率が、ほぼ全域にわたって大幅に向上。これにより、三菱重工業製従来機の空冷スクリューヒートポンプと比較して約80%程度の大幅な効率アップが図られ、年間を通じたランニングコストを約3割削減。
  2. 小型高性能ターボ圧縮機の採用!    
     従来のターボ圧縮機は、小型化に伴い性能が低下するという課題があったため、大型のビル空調や工場空調等での用途に限られていたが、当開発機により市場規模の大きい小型ビル空調分野にも対応が可能。
  3. 運転制御性が向上!
     段階的な運転制御をしていた従来機に比べ、当開発機はインバータを標準装備したことにより、きめこまやかな運転制御が可能。
  4. 耐久性が大幅に向上!    
     圧縮機の軸受け等の摩耗を防ぐ技術により、オーバーホール(分解点検)間隔が従来機に比べ約5倍の20万時間と、耐久性が大幅にアップ。

 三菱重工業は、本年6月から「マイクロターボ Sシリーズ」として販売開始し、年間200台以上の販売を目指します。製品価格は当開発機(175kW)で2,500万円。製品ラインアップとしては、冷房能力175kW、350kW、525kW、700kWの4機種をご用意いたします。
 また、小型高性能ターボ圧縮機を採用した水冷機、空冷冷専機、空冷ヒートポンプを今後順次シリーズ化していく予定です。

 一方、電力各社は、エネルギー間競争が激化する中で、お客さまから選択していただけるように、幅広いニーズにお応えするソリューション営業力の強化に取り組んでおりますが、今回の、より環境性が高く省エネに優れた「超高性能空冷小型ターボヒートポンプ」の開発は、そうした強化策のツールとしても期待しております。新規物件をはじめ、機器の更新時期を迎えるリニューアル計画まで含めた幅広いお客さまのニーズにお応えしてまいります。

 なお、当製品につきましては、2月3日から開催される展示会「HVAC&R JAPAN 2004(主催:(社)日本冷凍空調工業会)」(※5)の中で紹介します。

以 上

※1   Coefficient of Performance:
    COP=(冷・暖房能力/消費電力)値が大きいほど省エネ性が高い。
※2    ヒートポンプ:ビル空調や工場空調等に使用する冷水および温水をつくる機器。
※3    圧縮機:冷媒を圧縮するための機器。冷媒ガスを加速させて圧縮するターボ式や、
     冷媒ガスの体積を直接圧縮するスクリュー式などがある。
※4    HFC-134a:オゾン層破壊係数ゼロのHFC(ハイドロフルオロカーボン)系冷媒。
※5    「HVAC&R JAPAN 2004」(ヒーバックアンドアールジャパン) 第33回冷凍・空調・暖房展 2004年2月3日(火)~6日(金)10:00~17:00(最終日は16:00まで) 東京国際展示場(東京ビッグサイト)西展示場(西1ホール・西2ホール) 主催:社団法人日本冷凍空調工業会(http://www.sovic.jp/hvacr/) 入場料:無料(登録制)

<参考資料>


プレスリリース