プレスリリース

2003年11月14日

美浜発電所2号機の定期検査状況について(加圧器スプレ配管ベントライン閉止栓からの水漏れの原因と対策)

 美浜発電所2号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力50万キロワット 定格熱出力145万6千キロワット:平成15年9月12日から第21回定期検査を実施中)は、11月4日に原子炉を起動、11月6日16時54分より調整運転を開始し、定格熱出力一定運転中でしたが、11月9日7時頃、運転員の格納容器内監視カメラによる点検において、加圧器スプレ配管に取り付けられた空気抜き用ライン(ベントライン)の閉止栓にわずかにほう酸の析出を確認しました。
 このため、詳細に確認したところ、ほう酸析出下部から約4分に1滴程度の水が滴下していることを確認しました。
 この状況から、加圧器スプレ配管ベント弁のシート漏れと判断されることから、同日13時に原子炉を停止して点検を行うことを決定し、同日14時に出力降下を開始しました。
 なお、格納容器サンプ水位、放射線監視モニタ等、運転パラメータに有意な変動はなく、本事象による環境への影響はありません。

[平成15年11月9日 お知らせ済]

 11月9日21時に発電を停止、21時37分に原子炉を停止しました。その後、1次冷却系統の圧力と温度を低下させ、加圧器スプレ配管ベント弁と閉止栓の分解点検等の調査を実施しました。調査結果および推定原因、対策は次のとおりです。

1. 調査結果
(1) 加圧器スプレ配管ベント弁の分解点検結果等
a. 加圧器スプレ配管ベント弁(以下ベント弁)の分解前(1次冷却系統温度約40度、圧力約2.7MPa)に、増し締めをしたところ約25度回転したことから、わずかな締め付け不足が発生していたと推定されました。
b. ベント弁を分解し、各部品の寸法・形状、シート面の当たり(弁体と弁座の接触状況)、肌荒れ、弁棒・弁体の外観点検等を実施した結果、異常は認められませんでした。
c. 今定期検査時の水張り作業時に当該弁を閉止し、1次冷却水の漏えいがないことを確認していることから、この時点においては、ベント弁のシート漏れはなかったと推定されました。
(2) 加圧器スプレ配管ベントライン閉止栓の分解点検結果
 取り外した閉止栓について、分解点検を行ったところ、閉止栓内側に取り付けられているOリングの一部が損傷していることを確認しました。Oリングについては、定期検査ごとに交換しており、今定期検査において取り付けた際、一部が損傷したものと推定されました。

2. 推定原因
 今定期検査での水張り作業後のベント弁閉止時に、わずかに締め付け力が不足していたと考えられること、および原子炉起動に伴う系統内温度の上昇により、ベント弁の弁棒と弁箱が膨張した際、使用されている材料(弁棒:SUS630、弁箱:SUS316)の熱膨張係数が異なることから、それぞれの伸びに差が生じ、弁体を押さえる力が低下したため、水張り終了時(低温状態)には接触していた弁体と弁座の間にわずかなすき間が生じ、シート漏れが発生したものと推定されました。
 このベント弁からシート漏れした1次冷却水が、Oリングの一部が損傷し、シール(密封)機能が低下した閉止栓から漏れたものと推定されました。

3. 対策
 当該ベント弁を含む1次冷却系統に設置されているベント弁およびドレン弁については、系統内温度が低温の状態時にのみ増し締めと漏えい確認を行っているが、今後、系統内温度が高温の状態においても増し締めと漏えい確認を行います。
 また、その旨、作業要領書に記載します。

 対策実施後、11月16日に原子炉を起動し、同日に臨界、翌17日に調整運転を再開する予定です。

以 上

(経済産業省によるINESの暫定評価)
基準1 基準2 基準3 評価レベル
- - 0- 0-
INES:国際原子力評価尺度

<参考資料>


プレスリリース