プレスリリース

2003年10月17日

高浜発電所2号機の原子炉起動および 調整運転の開始について

1. 今回の定期検査を利用して実施した主要な工事
  (1) 原子炉容器供用期間中検査
     原子炉容器の供用期間中検査として、原子炉容器の溶接部等について、超音波による探傷検査を行い、健全性を確認しました。
     
  (2) 原子炉冷却系統設備小口径配管他取替工事   (図-1参照
     海外における原子炉冷却系統設備の損傷事象等に鑑み、将来的な健全性維持を図るという予防保全の観点から、原子炉冷却系統設備のうち、余熱除去系統等の配管の一部について、材質等を変更したものに取り替えました。
     
  (3) 燃料取替用水タンク取替工事     (図-2参照
     屋外に設置されている燃料取替用水タンク(ステンレス製)については、海塩粒子の付着による塩素型応力腐食割れの発生が考えられることから、長期保全対策として、応力腐食割れに強いステンレス製で、外面塗装を施した燃料取替用水タンクに取り替えました。
     
  (4) 海水ポンプ取替工事   (図-3参照)  
     海水ポンプ(全4台)の構成部品である主軸やケーシング等は、常時、海水に浸っており、腐食を受けやすい環境にあるため、設備信頼性向上の観点から、耐腐食性に優れた材質のものに取り替えました。
     
  (5) 原子炉容器照射試験片取出工事
     中性子照射による原子炉容器の材料特性変化を定期的に把握するため、原子炉容器内部に設置している照射試験片を取り出しました。
     
  (6) 炉内計装筒管台予防保全対策工事    (図-4参照
      炉内計装筒管台の1次系水質環境下における応力腐食割れに対する予防保全対策として、金属表面の引張り残留応力を圧縮応力に変えるため、炉内計装筒管台の内表面にウォータージェットピーニング(*)を施工しました。
(*) ウォータージェットピーニング
  水中にて金属表面に高圧ジェット水の噴霧により生じるキャビテーション気泡崩壊による衝撃圧を利用して、金属表面を塑性変化させ、金属表面の引張り残留応力を圧縮応 力に変えるものである。
     
  (7) 発電機固定子コイル取替工事    (図-5参照
     発電機固定子コイルの絶縁物材料が経年劣化傾向にあることから、予防保全対策として、耐久性に優れた絶縁物材料を用いた発電機固定子コイルに取り替えました。
     
  (8) 復水器および2次系熱交換器他取替工事     (図-6参照
     2次系給水系統の水質向上対策として、復水器伝熱管管群については、銅合金から海水腐食性に優れたチタン製に取り替えました。また、給水加熱器および湿分分離加熱器の伝熱管については、銅合金から耐食性に優れたステンレス製に取り替えました。これにより、海水漏えいの未然防止や、蒸気発生器への不純物の持ち込みの低減を図ります。
     
2.今定検中に実施した保全対策について
  (1) 余熱除去系統他配管の点検工事   (図-7参照
     国内PWRプラントのステンレス配管に貼り付けられた塩化ビニールテープが原因で応力腐食割れが発生した事例に鑑み、余熱除去系統や化学体積制御系統等の配管について、配管外表面の点検を行った結果、17箇所に塩化ビニールテープの貼り付け跡が認められました。塩化ビニールテープの貼り付け跡が認められた箇所について、浸透探傷検査(PT)を実施し、2箇所で浸透指示模様が確認されましたが、配管外表面の手入れにて指示部を除去し、浸透探傷検査により健全性を確認しました。    
     
  (2) 海塩粒子による応力腐食割れに係る点検
     国内プラントにおいて、ステンレス配管に海塩粒子が付着し、応力腐食割れが発生した事例に鑑み、海塩粒子が付着しやすい場所にあるステンレス配管37箇所について、目視点検および配管表面の塩分量測定を実施し、異常がないことを確認しました。
     
3.蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査(ECT)の結果
   3台ある蒸気発生器のうち、B-蒸気発生器伝熱管(計3,382本)について、健全性を確認するため渦流探傷検査(ECT)を実施した結果、有意な信号は認められませんでした。
     
4.燃料集合体の検査結果
   燃料集合体(12体)について外観検査を実施した結果、異常は認められませんでした。また、燃料集合体全数157体のうち、57体(うち56体は新燃料集合体)を取り替えました。
   
5.次回定期検査の予定  
   平成16年冬頃
   
  以 上

<参考資料>

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