プレスリリース

2003年6月16日

美浜発電所3号機の定期検査状況について (炉内計装用コンジットチューブの点検結果の原因と対策について)

 美浜発電所3号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力82万6千キロワット)は、平成15年5月8日から第20回定期検査を実施中ですが、配管に貼り付けられた塩化ビニールテープが原因で応力腐食割れが発生した事象に鑑み、原子炉容器下部に接続されている炉内計装用コンジットチューブ(*1)(本数:50本、全長:約25m、外径:25.4mm、厚さ:7.6mm)の外観目視点検を行っていたところ、1本の表面にわずかな変色が1箇所認められたことから、浸透探傷検査(PT)(*2)を実施した結果、浸透指示模様が確認されました。このため浸透指示模様が認められた箇所について軽微な手入れを実施しましたが、指示が残存したため、超音波探傷検査(UT)(*3)による指示深さ、並びに健全部の厚さを調査したところ、残存厚さは計算上必要な厚さを十分確保しており、構造健全性に問題のないことを確認しました。
 また、当該コンジットチューブを除く全数について、変色の有無を確認しましたが、変色は認められませんでした。
 原因については、今後調査し、当該部(浸透指示部を含む一部)は、念のため、本定検中に同寸法・同材料のコンジットチューブに取り替えることとしました。
  なお、本事象による環境への放射能の影響はありませんでした。
(*1) 炉内計装用コンジットチューブ
 原子炉内の中性子を計測するための炉内核計装検出器を原子炉内に挿入するシンブルチューブの案内管。
(*2) 浸透探傷検査(PT)  
 試験体表面に開口している傷を目で見やすくするため、可視染料の入った高浸透性の液(浸透液)を浸透させた後、余分な浸透液を除去し、現像剤により浸透指示模様として観察する方法。
(*3) 超音波探傷検査(UT)
 試験体表面の傷に超音波をあてて、その反射波を利用して、傷の深さ等を計測する方法。
  [平成15年5月21日 記者発表済]


1.調査結果
 有意な指示が認められた箇所を含むコンジットチューブ(長さ約160mm)を切断し、詳細調査を実施しました。 結果は次のとおりでした。

(1) 浸透探傷検査 
   外表面の浸透探傷検査(PT)を実施した結果、周方向に約14mm、軸方向に約14mmの範囲において、周方向の線状指示(最大長さ約14mmと評価)が複数認められました。また、内表面の浸透探傷検査を実施した結果、有意な指示は認めら れませんでした。
   
(2) 破面観察  
   最も長い線状指示が認められた箇所を強制的に開放し、破面観察を実施した結果、割れの形状は半円状で外面から内面に向かって複数にわたって円弧状に進展していることを確認しました。また、破断面には凹凸が見られ、一部に茶褐色の薄いスケールの付着が認められました。この箇所での割れ深さの最大は約3.2mmでした。この結果、残存厚さは約3.4mmとなり、計算上の必要厚さ(2.2 mm)を満足していることを確認しました。
   
(3) 走査型電子顕微鏡(SEM)(*4)による拡大観察
   破面の伝播部から先端部にかけて塩素型応力腐食割れの特徴である羽毛状模様が認められました。              
 
(*4) 走査型電子顕微鏡(SEM)
 走査型電子顕微鏡は、焦点を絞った入射電子線を試料面上で走査させることにより、反射または2次電子の拡大像を得る顕微鏡である。電子線を用いることにより、光学顕微鏡よりも分解能が高く、焦点深度の深い像が得られるため、凸凹の大きい破面等を高倍率で詳細に観察する場合に用いられるものである。
   
(4) 破面付着物分析
   割れの破面表面に付着したスケールを分析した結果、塩素型応力腐食割れの要因となる塩素が検出されました。
   
(5) 塩化物持ち込み調査 
   他のコンジットチューブ表面およびインコアモニタチェス室壁面の塩化物量は非常に低いことから、コンジットチューブの据付工事時あるいはインコアモニタチェ ス室に、海風等により塩化物が持ち込まれた可能性は低いと推定されました。

2.推定原因   
 調査の結果、有意なPT指示部には、破面に塩素型応力腐食割れの特徴である羽毛 状模様が確認されたこと、また、付着物分析により塩素が検出されたことから、塩素型応力腐食割れが発生したものと推定されました。  
 なお、塩化物が当該コンジットチューブ表面に付着した原因は、当該部に変色がみられ、その範囲が一部に限られていること、また、コンジットチューブがあるインコアモニタチェス室は、海風等により塩化物が持ち込まれた可能性が低いことから、建 設時等に当該箇所に貼り付けられた塩化ビニールテープによるものと推定されます。

3.対  策
 浸透指示が確認され切断した箇所については、ソケット溶接により同寸法・同材料のコンジットチューブに取替えました。

以 上

<参考資料>