プレスリリース

2003年6月11日

SiC(シリコンカーバイト)製4kVA級3相インバータの開発について

 当社はこの度、素子にSiC(シリコンカーバイト)を用いた4kVA級3相インバータを開発し、電力線への連系接続に成功しました。SiCインバータの実際の電力線への連系接続は、世界で初めてのことです。

 インバータとは、電気の交流・直流を変換したり、周波数の変換を行なう機器で、エアコンや各種モーターの制御用に広く用いられている他、燃料電池や風力発電機を電力線に連系接続するためにも欠かせない装置です。
 インバータの材料としては従来、Si(シリコン)製のパワー半導体(※1)が用いられてきましたが、当社では平成9年から、Siに比べて耐電圧性能が高く、高温に耐え、電力損失が少ないSiCパワー半導体の開発に取り組んできた結果、今回、全てのパワー半導体部分にSiCを用いたインバータの実験機開発に成功し、4kVAの出力電力を確認しました。これはSiCインバータでは、世界最大の電力容量です。

(※1) 電流のオン・オフや電流の方向等を制御する半導体の中でも、耐電圧12V 以上で電流容量が0.1A以上のものをパワー半導体と呼ぶ。パワーが大きい ことから、電力制御機器等に使用されている。

 将来、このSiCインバータが実用化され、従来のSiインバータに置き換われば、電力の損失を半分以下(SiC:約1.4%、Si:約3.5%)に抑えられることから、産業界全体の省エネが実現できます。当社では今後、電力系統関連設備はもとより、産業用モーターや燃料電池等の分散型電源、新幹線、リニアモーターカーなど様々な用途に適用できるよう、SiCインバータの大容量化をすすめ、平成18年頃を目途に、数百kVA級の汎用インバータとして、実用化を目指してまいります。

 なお今回開発したSiCインバータの特長は次のとおりです。

(1) インバータは、制御信号により電流のオン・オフの切り替えを行う「スイッチング素子」と、電流が流れる方向を制御する「ダイオード」によって構成されていますが、これらのパーツを下記のようにそれぞれSiC化しました。
スイッチング素子の一種である「SICGT」を新開発(米国の株式会社クリーと共同開発)。これにより、電流のオン・オフを切り替えるスピードを、Si製スイッチング素子の約10倍に高め(※2)、インバータの電力損失を減らすとともに、小型化を図りました。 
(※2)スイッチングスピード:1マイクロ秒以下。
高速「SiCダイオード」を開発(平成11年1月28日お知らせ済み)。

(2)

これら2つのパーツを、高熱に耐える(※3)金属タイプの新型「パッケージ」に収めた「スイッチングモジュール」を開発したことで、インバータの小型化を図りました。

(※3)Siモジュールの耐熱温度:125℃、SiCモジュールの耐熱温度:250℃。

以 上

 

<参考資料>