プレスリリース

2003年5月30日

大飯発電所1号機の原子炉起動および 調整運転の開始について

1.今回の定期検査を利用して実施した主要な工事
   (1) 炉内温度監視用熱電対支持構造物取替工事   (図-1参照
 炉内温度監視用熱電対(*1)支持構造物のシート面に僅かな面荒れがあり、手入れ等に時間を要しているため、支持構造物(1箇所)(*2)を同一仕様の構造物に取り替えました。これにより、今後は作業時間を短縮することができ、作業員の被ばく低減が図れます。
(*1) 炉内温度監視用熱電対:原子炉内上部の1次冷却材の温度を測る電気式温度計。
(*2) 原子炉容器上部には、炉内温度監視用熱電対支持構造物は5箇所設置されている。
 
(2) 放射線管理用計測装置検出器取替工事  (図-2参照
 保守性向上の観点より、エリアモニタ検出器(*3)全数およびプロセスモニタ検出器(*4)の一部をGM管検出器(*5)から、部品調達が容易で現検出器と同等の性能を有する半導体検出器に取り替えました。
(*3) エリアモニタ検出器
 管理区域内および中央制御室等、運転員他が立ち入る区域の放射線量率を測定・監視している検出器。
(*4) プロセスモニタ検出器
 発電所の各系統の流体(水、ガス等)から放出される放射線を測定し、放射性物質の漏えいを検知する検出器。
(*5) GM管
 ガラス管の中心部と側面に電極を設けガスを封入したものであり、電極に高電圧を印加して使用する。管内に入射した放射線によりガスが電離され、外部へ電気信号を発信する。発案者の名前をとってガイガー・ミューラー管(計数管)、略してGM管と呼ばれている。
 
(3) 定格熱出力一定運転に伴う運転管理強化     
 定格熱出力一定運転の導入にあたり、運転管理の信頼性を一層向上させるため、運転情報を管理しているコンピュータのソフト改良や、発電機出力の監視画面の追加を行いました。
 
2.今定検中に実施した保全対策について
(1) 余熱除去系他配管の一部補修工事  (図-3参照
 国内PWRプラントのステンレス配管に貼り付けられた塩化ビニールテープが原因で応力腐食割れが発生した事例に鑑み、今定期検査においては、余熱除去系統、化学体積制御系統等の配管について、配管外表面の点検を行い、塩化ビニールテープの貼り付け跡が認められた箇所については、浸透探傷検査を実施しました。
·今定期検査で指示が確認された49箇所について
 今定期検査において、新たに49箇所で指示模様が確認されましたが、配管外表面の手入れを行った結果、31箇所については、指示部を除去した後、浸透探傷検査等により健全性を確認しました。残りの18箇所については、当該配管の必要厚さを満足しているが、今後の継続的な点検に伴う作業性等を勘案し、念のため同種配管に取り替えました。
·前回定期検査で指示が確認された箇所について
 前回定期検査で配管外表面の浸透探傷を実施した結果、9箇所に指示が認められ、8箇所については軽微な手入れにより指示を除去し、1箇所については深さ測定にて配管の必要厚さを満足していることを確認していました。
 今定期検査では、この1箇所と手入れにより指示を除去した1箇所(配管の必要厚さを満足しているが、指示深さが比較的深かった箇所)についても、念のため同種配管に取り替えました。    
以上、20箇所について同種配管(配管数としては6本)に取り替えました。
 
(2) 海塩粒子による応力腐食割れに係る点検
 国内プラントにおいて、ステンレス配管に海塩粒子が付着し応力腐食割れが発生した事例に鑑み、今定期検査においては、海塩粒子が付着しやすい場所にあるステンレス配管(海水系配管下方にある配管等)34箇所について、目視点検および塩分量測定を実施し、異常のないことを確認しました。
 また、屋外に設置されている燃料取替用水タンク(ステンレス製)についても同様の点検を行い、異常のないことを確認しました。
 
3.蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査(ECT)の結果
 4台ある蒸気発生器のうち、AおよびC-蒸気発生器伝熱管(計6,764本:3,382本×2基)について、健全性を確認するため、渦流探傷検査(ECT)を実施した結果、有意な信号は認められませんでした。
 
4.燃料集合体の検査結果
 燃料集合体(34体)について外観検査を実施した結果、異常は認められませんでした。
 また、燃料集合体全数193体のうち85体を取り替えました。
 (取替用燃料集合体のうち68体は新燃料集合体。)
 
5.次回定期検査の予定
平成16年春頃

以 上

<参考資料>

プレスリリース