プレスリリース

2003年5月7日

低温作動固体酸化物形燃料電池(SOFC)の1kW級発電モジュールを開発~メタン燃料の低温作動SOFCで1kW発電に成功、世界最高レベルの発電効率達成~

 関西電力株式会社と三菱マテリアル株式会社は共同で、低温作動固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)の1kW級発電モジュールを開発し、メタン燃料の低温作動(※1)SOFCでは国内で初めて、外部から熱供給をしない状態(熱自立)で1kWの発電実験に成功し、現在の世界的水準である発電効率30~35%(※2)を大幅に上回る、発電効率40%を達成しました。

  (※1) 作動温度800℃以下を指す。通常は1000℃付近で作動する。
  (※2) Sulzer Hexis社(スイス)、Global Thermoelectric社(カナダ)のSOFCシステムでの実績値をモジュールでの値に換算した数値。

 両社は、安定性と環境性に優れ、発電効率が高い燃料電池として、将来的には家庭用小型電源から火力発電所の代替用まで幅広く適用できる点に着目して、平成9年にSOFCの研究を開始しました。特に、商品化・実用化を睨み、電池の材料の一部に安価なステンレスなどの金属を使えるようにして、大幅なコストダウンを図るため、「低温作動化」に重点をおいて開発に取り組んでまいりました。

 今回開発した「モジュール」(発電システムを構成する基本構造体)は、すでに開発済みであった(※3)、単位面積あたりの発電電力が世界最高レベルの「セル」(発電反応を担う部材)を、実用サイズ(直径120mm)に大型化して41枚積み上げたものです。このモジュールは、発電時の熱を利用して、燃料であるメタンから発電に必要な水素を取り出す機能(※4)を持ち、外部から熱を供給することなく運転を継続させる熱自立を達成することができました。このように高性能セルを実用化し、モジュール内部で効率よく熱を使うことにより、世界最高レベルの発電効率40%を達成し、非常にシンプルな構成を持つ高効率なSOFCシステムの実用化に、さらに1歩近づきました。

  (※3) 平成13年12月17日お知らせ済。
  (※4) 「内部改質機能」という。

 SOFCは、PAFC(リン酸形燃料電池)やPEFC(固体高分子形燃料電池)といった他の形式の燃料電池に比べ、非常に発電効率が高い上、電気と熱を同時に供給するシステムとして実用化すれば、他のどの分散型電源よりランニングコストが安くつく電源として、既存のシステムに置き換わる可能性のある燃料電池です。今後は、「モジュール」の次の段階である「システム」の開発に向けて研究を進め、関西電力の平成15年度経営計画にもあるとおり、まずは今年度中に、1kW級のシステム実証機を開発し、運転性能試験を行います。さらに平成18年度末を目途に、数十kW級システム(中型店舗や小工場等向け)の実用化・商品化に取り組む予定です。

以 上

<参考資料>


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