プレスリリース

2003年4月11日

大飯発電所1号機の定期検査開始について

1.今回の定期検査を利用して実施する主要な工事
  (1)炉内温度監視用熱電対支持構造物取替工事  (図-1参照
     炉内温度監視用熱電対(*1)支持構造物のシート面に僅かな面荒れがあり、手入れ等に時間を要しているため、支持構造物(1箇所)(*2)を同一仕様の構造物に取り替えます。これにより、作業時間を短縮し、作業員の被ばく低減を図ります。
(*1) 炉内温度監視用熱電対:原子炉内上部の1次冷却材の温度を測る電気式温度計。
(*2) 原子炉容器上部には、炉内温度監視用熱電対支持構造物は5箇所設置されている。
   
  (2)放射線管理用計測装置検出器取替工事  (図-2参照)      
     保守性向上の観点より、エリアモニタ検出器(*3)全数およびプロセスモニタ検出器(*4)の一部をGM管検出器(*5)から、部品調達が容易で現検出器と同等の性能を有する半導体検出器に取り替えます。
(*3)エリアモニタ検出器
 管理区域内および中央制御室等、運転員他が立ち入る区域の放射線量率を測定・監視している検出器。
(*4)プロセスモニタ検出器
 発電所の各系統の流体(水、ガス等)から放出される放射線を測定し、放射性物質の漏えいを検知する検出器。
(*5)GM管
 ガラス管の中心部と側面に電極を設けガスを封入したものであり、電極に高電圧を印加して使用する。管内に入射した放射線によりガスが電離され、外部へ電気信号を発信する。
 発案者の名前をとってガイガー・ミューラー管(計数管)、略してGM管と呼ばれている。
   
  (3)定格熱出力一定運転(*6)に伴う運転管理強化
     定格熱出力一定運転の導入にあたり、運転管理の信頼性を一層向上させるため、運転情報を管理しているコンピュータのソフト改良や、発電機出力の監視画面の追加を行います。
(*6)定格熱出力一定運転
  原子炉熱出力を原子炉設置許可で認められた最大値である定格熱出力(大飯発電所1号機の場合、342万3千キロワット)に保ったまま運転する方法。冬季のように海水温度が低い時期には発電効率が良くなり、従来の定格電気出力一定運転と比べ、発生する電気が増加する。

 

2.今定検中に実施する保全対策について

  (1)余熱除去系他配管の一部補修工事  (図-3参照
      国内PWRプラントのステンレス配管に貼り付けられた塩化ビニールテープが原因で応力腐食割れが発生した事例に鑑み、今定期検査においては、余熱除去系統、化学体積制御系等の配管について、配管外表面の点検を行い、塩化ビニールテープの貼り付け跡が認められた箇所については、浸透探傷検査を実施します。
 なお、前回定期検査(第17回定期検査)で指示が認められた9箇所のうち、深さ測定にて配管の最小厚さを満足している1箇所ならびに軽微な手入れにより傷を除去した1箇所について、今後の継続的な点検に伴う作業性等を勘案し、念のため同種配管に取り替えます。
   
  (2)海塩粒子による応力腐食割れに係る点検
   国内プラントにおいて、ステンレス配管に海塩粒子が付着し応力腐食割れが発生した事例に鑑み、今定期検査においては、海塩の付着した可能性のあるステンレス配管(海水系配管下方にある配管等)について、目視点検および塩分量測定を実施します。
 また、屋外に設置されている燃料取替用水タンク(ステンレス製)についても同様の点検を行います。
       
3.燃料集合体の取替え
   燃料集合体全数193体のうち73体を取り替える予定です。
 (取替用燃料集合体のうち68体は新燃料集合体。)
       
4.今後の予定
 
原子炉起動、臨界
平成15年6月上旬
調整運転開始
平成15年6月上旬
本格運転再開
平成15年7月上旬

 なお、大飯発電所1号機は、6月上旬に予定される調整運転の開始から、定格熱出  力一定運転を実施する予定です。

以 上

<参考資料>

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