プレスリリース
2002
2002年3月20日
関西電力株式会社
株式会社関西総合環境センター
きのこ培地の再生処理装置の開発
当社は、株式会社関西総合環境センター(所在地:大阪市中央区、社長:足立一郎)と共同で、きのこ栽培後、残された菌床(廃菌床)を再利用し、きのこを収穫することを可能とするシステム「きのこ培地の再生処理装置」を開発しました。
きのこの人工栽培は、きのこの種類・生産量ともに年々増加の傾向にあります。そこで、きのこを収穫後の培地(廃菌床)は、堆肥にする等の再利用方法が広く知られていますが、その方法は、事業者が異なる場合や、必要とする時期の違いがあるなどの問題があり再利用が進んでいないのが実態であります。そこで、私どもは、きのこ生産者にメリットのある、廃菌床を遠赤外線により乾燥させ、菌床として再生する「廃棄物「ゼロ」の循環型きのこ栽培システム」を構築しました。
【本システムの概要】
本システムは菌床原材料(広葉樹のおがくず等)を撹拌するミキサーに、遠赤外線ヒーターを取り付けました。撹拌ミキサーに廃菌床を投入し、遠赤外線を照射しながら廃菌床を加熱撹拌します。この時、元のきのこ菌および雑菌類は、高温のために大幅に減少します。高温脱水させた廃菌床に、菌床として不足した量は、原材料を補充し撹拌します。これで、廃棄物「ゼロ」が達成されたことになります。
【本システムのメリット】
なによりも、廃棄物がゼロです。そして循環型自己完結であります。さらに、廃菌床処理コストがなく、購入菌床資材費が少なくなりますので、再生した菌床は安価で仕上がります。
きのこの収穫量は、再生処理済みの菌床を使用した場合と通常の菌床を使用した場合と比較しても、ほとんど変わりありません。
ブナシメジ試験 | 廃菌床混合率50% → 収穫量98.8% |
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廃菌床混合率60% → 収穫量95.9% | |
ナメコ試験 | 廃菌床混合率50% → 収穫量100.7% |
廃菌床混合率70% → 収穫量94.1% |
*通常培地、収穫量を100%とする。
廃菌床利用により危惧される雑菌の問題は、通常培地と何ら変わりはありません。
本システムは、きのこ生産者に最もメリットのある方法で、循環型システムを確立したことは、きのこ産業の発展に寄与できるものと確信しております。