プレスリリース

2002年11月18日

美浜発電所1号機の原子炉起動および調整運転の開始について


1.今回の定期検査を利用して実施した主要な工事
  (1)原子炉容器供用期間中検査
      原子炉容器の供用期間中検査として、原子炉容器の溶接部等について、計画的に超音波による探傷検査を行い、健全性を確認しました。
   
  (2)炉内構造物バッフルフォーマボルト取替工事       (図-1参照
     海外において、不具合事例が見受けられたことに鑑み、長期的な信頼性を十分に確保する観点から、バッフルフォーマボルト全数(624本)について、材料・形状等を改良したものに取り替えました。
   
  (3)炉内計装筒管台予防保全対策工事       (図-2参照
     炉内計装筒管台の1次系水質環境下における応力腐食割れに対する予防保全対策として、金属表面の引張り残留応力を圧縮応力に変えるため、炉内計装筒管台の内表面にウォータージェットピーニング(*1)を施工しました。
    (*1)ウォータージェットピーニング
       水中にて金属表面に高圧ジェット水の噴霧により生じるキャビテーション気泡崩壊による衝撃圧を利用して、金属表面を塑性変化させ、金属表面の引張り残留応力を圧縮応力に変えるものである。
       
  (4)出力領域計測装置検出器取替工事
     信頼性維持の観点より、原子炉運転時の出力状況を監視するために原子炉外に設置している出力領域計測装置の検出器(全8個中2個)を計画的に取り替えました。
       
  (5)放射線管理用計測装置検出器取替工事       (図-3参照
     保守性向上の観点より、エリアモニタ検出器(*2)全数およびプロセスモニタ検出器(*3)の一部をGM管検出器(*4)から、部品調達が容易で現検出器と同等の性能を有する半導体検出器に取り替えました。
    (*2)エリアモニタ検出器
       管理区域内および中央制御室等運転員他が立ち入る区域の放射線量率を測定・監視している検出器。
    (*3)プロセスモニタ検出器
       発電所の各系統の流体(水、ガス等)から放出される放射線を測定し、放射性物質の漏えいを検 知する検出器。
    (*4)GM管
       ガラス管の中心部と側面に電極を設けガスを封入したものであり、電極に高電圧を印加して使用する。管内に入射した放射線によりガスが電離され、外部へ電気信号を発信する。発案者の名前をとってガイガー・ミューラー管(計数管)、略してGM管と呼ばれている。
       
  (6)充てん配管継手部他取替工事       (図-4参照
     高放射線区域内にある充てん配管について、信頼性を向上させて溶接部の点検箇所を減少し、被ばく低減を図るため、配管の継手形状をソケット溶接から応力集中が小さい突合わせ溶接に変更しました。    
   
  (7)低圧タービン外部車室グランド部他補修工事       (図-5参照
     低圧タービン外部車室下半部グランド取付面および第2内部車室下半部ドレンオリフィス穴周辺のエロージョン対策として肉盛溶接等補修を実施しました。

   
  (8)炉外核計装装置測定処理部取替工事       (図-6参照
     保守性および作業性向上の観点より、炉外核計装装置測定処理部について、作業時に計器類を引き出すドロワ式から、引き出しを要しないカード式に取り替えました。
   
  (9)定格熱出力一定運転に伴う運転管理強化
     定格熱出力一定運転の導入にあたり、運転管理の信頼性を一層向上させるため、運転情報を管理しているコンピュータのソフト改良や、発電機出力の監視画面を追加しました。
 
2.蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査(ECT)の結果
   2台ある蒸気発生器のうち、A-蒸気発生器伝熱管(2,918本)について、健全性を確認するため渦流探傷検査(ECT)を実施した結果、有意な信号は認められませんでした。
       
3.今定期検査中に実施した保全対策について       (図-7参照
   余熱除去系配管の一部取替工事
     国内プラントで化学体積制御系のステンレス配管に取り付けられた塩化ビニールテープが原因で応力腐食割れが発生した事例に鑑み、化学体積制御系充てん配管や余熱除去系配管について、配管外面の点検を行い、塩化ビニールテープの取り付け跡が認められた箇所については浸透探傷検査を実施した。
 その結果、4箇所で指示が確認されたが、2箇所については、配管外表面の手入れを行い指示模様は消えた。また、余熱除去ポンプミニマムフロー配管(*5)(60.5mm)で認められた2箇所については、超音波探傷検査で指示の最大深さが約1.8mm(公称肉厚3.9mm)と確認され、当該配管の必要厚さ(1.2mm)を満足しているが、今後の継続的な点検に伴う作業性等を勘案し、同種配管に取り替えた。
    (*5)ミニマムフロー配管 
       余熱除去ポンプの最低流量を確保し、ポンプの過熱や振動を防止するための系統を構成する配管。
 
4.燃料集合体の検査結果
    燃料集合体(17体)について外観検査を実施した結果、異常は認められませんでした。
 また、燃料集合体全数121体のうち41体を取り替えました。
(取替用燃料集合体のうち28体は新燃料集合体。)
   
5.次回定期検査の予定
   平成15年度冬頃

以 上

<参考資料>

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