プレスリリース

2002年8月30日

美浜発電所1号機の定期検査開始について


1.今回の定期検査を利用して実施する主要な工事
  (1)原子炉容器供用期間中検査
     原子炉容器の供用期間中検査として、原子炉容器の溶接部等について、計画的に超音波による探傷検査を行い、健全性を確認します。
(2)炉内構造物バッフルフォーマボルト取替工事 (図-1参照)
     海外において、不具合事例が見受けられたことに鑑み、長期的な信頼性を十分に確保する観点から、バッフルフォーマボルト全数(624本)について、材質・形状等を改良したものに取り替えます。
(3)炉内計装筒管台予防保全対策工事 (図-2参照)
     炉内計装筒管台の1次系水質環境下における応力腐食割れに対する予防保全対策として、引張り残留応力の低減を図るため、炉内計装筒管台の内表面にウォータージェットピーニング(*1)を施工します。

 (*1)ウォータージェットピーニング
水中にて金属表面に高圧ジェット水の噴霧により生じるキャビテーション気泡崩壊による衝撃圧を利用して、金属表面を塑性変化させ、金属表面の引張り残留応力を圧縮応力に変えるものである。

  (4)出力領域計測装置検出器取替工事
     信頼性維持の観点より、原子炉運転時の出力状況を監視するために原子炉外に設置している出力領域計測装置の検出器(全8個中2個)を計画的に取り替えます。
(5)放射線管理用計測装置検出器取替工事      (図-3参照)
   

 保守性向上の観点より、エリアモニタ検出器(*2)およびプロセスモニタ検出器(*3)をGM管検出器(*4)から、部品調達が容易で現検出器と同等の性能を有する半導体検出器に取り替えます。

(*2)エリアモニタ検出器
管理区域内および中央制御室等運転員他が留まる区域の放射線量率を測定・監視している検出器。

(*3)プロセスモニタ検出器
発電所の各系統の流体(水、ガス等)から放出される放射線を測定し、放射性物質の漏えいを検知する検出器。

(*4)GM管
ガラス管の中心部と側面に電極を設けガスを封入したものであり、電極に高電圧を印加して使用する。管内に入射した放射線によりガスが電離され、外部へ電気信号を発信する。
  発案者の名前をとってガイガー・ミューラー管(計数管)、略してGM管と呼ばれている。

(6)充てん配管継手部他取替工事 (図-4参照)
 高放射線区域内にある充てん配管について、信頼性を向上させて溶接部の点検箇所を減少し、被ばく低減を図るため、配管のソケット溶接箇所を応力集中が小さい突合わせ溶接に変更します。 
(7)低圧タービン外部車室グランド部他補修工事 (図-5参照)
   低圧タービン外部車室下半部グランド取付面および第2内部車室下半部ドレンオリフィス穴周辺のエロージョン対策として肉盛溶接等補修を実施します。
(8)炉外核計装装置測定処理部取替工事 (図-6参照)
   保守性および作業性向上の観点より、炉外核計装装置測定処理部について、作業時に計器類を引き出すドロワ式から、引き出しを要しないカード式に取り替えます。
  (9)定格熱出力一定運転(*5)に伴う運転管理強化
     定格熱出力一定運転の導入にあたり、運転管理の信頼性を一層向上させるため、運転情報を管理しているコンピュータのソフト改良や、発電機出力の監視画面追加を行います。

(*5)定格熱出力一定運転
  原子炉熱出力を原子炉設置許可で認められた最大値である定格熱出力(美浜発電所1号機の場合、103万1千キロワット)で一定に保ったまま運転する方法。冬季のように海水温度が低い時期には発電効率が良くなり、従来の定格電気出力一定運転と比べ、発生する電気が増加する。
     
2.燃料集合体の取替え
燃料集合体全数121体のうち40体を取り替える予定です。
(取替用燃料集合体のうち32体は新燃料集合体。)

3.今後の予定

原子炉起動、臨界:平成14年11月中旬
調整運転開始 :平成14年11月下旬
本格運転再開 :平成14年12月中旬

 なお、本定期検査については、主要工事である炉内構造物バッフルフォーマボルト取替工事の作業の進捗によっては、定期検査期間が若干変動する可能性があります。
また、11月下旬に予定される調整運転の開始から、定格熱出力一定運転を実施する予定です。

以 上



<参考資料>
図-1 炉内構造物バッフルフォーマボルト取替工事概要図
図-2 炉内計装筒管台予防保全対策工事概要図
図-3 放射線管理用計測装置検出器取替工事概要図
図-4 充てん配管継手部他取替工事概要図
図-5 低圧タービン外部車室グランド部他補修工事概要図
図-6 炉外核計装装置測定処理部取替工事概要図

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