プレスリリース

2002年3月12日

火力発電所における定圧貫流ボイラの発電効率の向上について

 当社は、この度、ベース運転用として開発された火力発電所の定圧貫流ボイラについて、ボイラの弁を最新型に取り替えて、過熱器での変圧運転を実施することで、定格出力以外の低出力運転時の発電効率を高めることに、国内で初めて成功しました。今回の取り組みは、平成14年度経営計画の骨子(アクションプラン)の方向性に沿った、効率化の一方策です。

  ベース運転の役割を原子力発電所が担うようになった昭和50年代中頃から、火力発電所は、ピーク運転の役割を担うことが多くなっています。さらに近年の、原子力発電所の利用率向上、高効率コンバインドサイクル発電所の建設等により、既存の火力発電所を低出力で運転する機会がますます多くなってきました。

  定圧貫流ボイラを採用した火力発電所で低出力運転を行う場合、定格出力時と同じ圧力の蒸気をボイラ内で発生させる必要があるため、エネルギーロスが大きく、その結果、発電効率が低くなっていました。

  今回、ボイラ過熱器の前弁が老朽化し、弁の取り替えが必要となったため、通常運転中の圧力変動にも耐える強度の弁を選定しました。理論上では、弁の取り替えによって、過熱器の中の圧力を出力変化に応じて変化させることができるため、変圧運転が可能になると判断しました。

  平成13年9月と11月に、海南発電所3号機にこの弁を取り付け、試験運転を実施した結果、変圧運転時にも充分な信頼性が確保でき、50%出力において約0.7%(相対値)発電効率が向上することを確認しました。海南発電所3号機の平成12年度実績の利用率ベースで試算した場合、燃料コストは年間約4500万円、CO2排出量は年間約5000t-CO2、低減できることとなります。

  今後は、平成14年6月までに海南発電所3号機、8月までに姫路第二発電所5号機の設備改造を行い、さらに、当社の定圧貫流ボイラを採用している火力発電所全てにおいて、長期的な視点で採用を検討していく予定です。

以 上 

<参考資料>


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